「生前退位」をめぐって

お父ちゃんが辞めたいと言い出したことにかんするメモ

  • 陛下の「お気持ち」に思う – 毎日新聞 吉田裕氏の「陛下」は新聞社が直してくれと言ったものだろう(個人の勝手な想像 mainichi.jp/articles/20160… posted at 12:56:23
  • 吉田氏のコメントは、皇室典範はそもそも戦後制定する際に新憲法に適合する形で踏み込んで見直すべきだったものを、長い間手をつけてこなかった政治の側の責任を指摘して、政治が自主的に議論を再開すべきだとするほか、すでに統合されている「国民の象徴」ではなく、国民を精神的に統合する能動的(続 posted at 13:06:59
  • @GAKU_IZ 役割と本人が考えていることがわかったとした上で、憲法上の根拠が曖昧なまま公務が拡大してきた危険を指摘するなど、やはりさすが吉田先生らしい発言。なんとなくふわふわと「生前退位を認めればいいんじゃない」という雰囲気満載のもとで、言うべきことをきちんと言ったと思う posted at 13:10:36
  • @GAKU_IZ それだけに、吉田氏がみずから「陛下」と呼んだとはなかなか思えない。新聞社がここだけは絶対直させてくれ、あるいは直らないなら掲載できないと言ったのではないか。もちろん、それを拒絶する手もあっただろうが、ふわふわとした雰囲気のもとで言うべきことを言う役割を果たすため posted at 13:13:01
  • @GAKU_IZ あえて新聞社の直すに任せたという可能性もある。 posted at 13:13:33
  • 議論すべき問題はだいたいこの辺だと思う pic.twitter.com/wZwDihjeFK posted at 15:22:00
  • @GAKU_IZ 最初のが毎日新聞、あとの3つは朝日新聞 posted at 15:23:00

読み終わりました。古瀬奈津子『摂関政治』

古瀬奈津子『摂関政治 シリーズ日本古代史6』(岩波新書)

古瀬奈津子『摂関政治』(岩波新書)

岩波新書の日本古代史シリーズ最終巻の古瀬奈津子『摂関政治』。オビにあるとおり、藤原道長を中心に、9世紀から11世紀ぐらいまでを対象にしています。

以前に、講談社の『天皇の歴史』シリーズでも書いたことですが、摂関期ぐらいになってくると、描かれている時代のスケールがうんと小さくなってしまいます。古代律令国家で権力の頂点にあった天皇が、この時代になると、ほとんど内裏から外へはでなくなり、政治もほんの近親の公卿たちによって担われてゆきます。

そのことを、本書でも著者は、天皇との私的関係によって政治がおこなわれるようになると表現するのですが、国のまつりごとが私的な関係によって処理されてゆくというのは、いったいどういうことなのでしょうか?

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日経新聞、ズバリ指摘!!

「日経新聞」本日の夕刊に載っていた「お言葉・宮中祭祀、軽減を 手術後、配慮さらに」という記事(8面)。

お言葉も宮中祭祀は私的なことだから、減らすなりやめるなり、自由にすればよいのにと思って記事を読んでいたら、最後のところで、こんな指摘が。

祭祀のほとんどは明治期に新設されたもので、古来の伝統といえるものはごくわずかだ。

う〜む、日経新聞がここまできっぱり真実を指摘するとは! 偉い!!

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共同世論調査 内閣不支持初の50%を超える

共同通信の世論調査で、野田内閣の不支持率が初めて50%を超えました。

主要な理由は、いうまでもなく消費税増税。「賛成」(「どちらかといえば賛成」を含む)45.6%にたいして「反対」(「どちらかといえば反対」を含む)52.9%を占めただけでなく、野田首相は「十分説明していると思うか」の問いに、「説明している」(「十分説明している」「ある程度説明している」)23.9%にたいし「説明していない」(「あまり説明していない」「全く説明していない」)74.4%にのぼっています。

内閣不支持 初の50%超 世論調査 増税74%「説明不足」:東京新聞
女性宮家 6割超支持 世論調査 ほぼ全世代で前向き:東京新聞

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「女性宮家」の創設を検討すると言うが…

スクープなのかリークなのかはわかりませんが、「読売新聞」が朝刊で大きく報道した女性宮家の問題。タイミングを計ったかのように、午前中の記者会見で、官房長官が「国民的議論を踏まえて検討を進める」ことを明らかにしました。

「女性宮家」創設検討を…宮内庁、首相に要請:読売新聞
「女性宮家」国民的議論踏まえ検討…官房長官:読売新聞

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森浩一先生、83歳でもまだまだお元気

森浩一『天皇陵古墳への招待』(筑摩書房)

森浩一『天皇陵古墳への招待』

考古学の森浩一氏の新著『天皇陵古墳への招待』(筑摩選書)。

天皇陵古墳というのは、宮内庁が天皇陵(あるいは陵墓参考地)だとしている古墳のことです。僕が小学生のころ、初めて古墳のことを習ったころは「仁徳天皇陵」「応神天皇陵」だったけれども、大学で日本史を勉強し始めたころには「大山古墳」「誉田山古墳」になっていました。この名前の変更を提唱したのが森浩一氏だったのです。

なぜ、「仁徳陵」ではなくて「大山古墳」なのか? そこに「天皇陵古墳」にたいする考古学者としての森氏の学問的こだわりがあるのです。

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日本古代史の文献をあれこれ読みました

吉川真司『<シリーズ日本古代史3>飛鳥の都』(岩波新書)吉川真司『<天皇の歴史2>聖武天皇と仏都平城京』(講談社)
左=吉川真司『飛鳥の都』(岩波新書)、右=同『聖武天皇と仏都平城京』(講談社)

日本古代史のシリーズを読んでいます。1つは、岩波新書ではじまった「シリーズ日本古代史」。「農耕社会の成立」から「摂関政治」までを対象とした全6冊のシリーズで、先月、3冊目の『飛鳥の都』がでました。著者は京都大学の吉川真司氏。「七世紀史」というくくりで、推古朝の成立から遣唐使の派遣、「大化改新」、白村江の戦い、近江大津宮への遷都、壬申の乱、飛鳥浄御原令の制定・施行、藤原宮遷都あたりまでを取り上げています。こうやって概略を書き並べただけでも、激動の時代だったことが分かります。

もう1冊は、講談社が刊行中の『天皇の歴史』第2巻、『聖武天皇と仏都平城京』です。著者は同じ吉川氏で、こちらは天智朝、壬申の乱(672年)あたりから書き起こして、承和の変(842年)あたりまで。こちらは「天皇の歴史」ということなので、天智系と天武系の系譜問題や、近江令、飛鳥浄御原令から律令制の成立、さらに天皇と仏教の関係などが取り上げられています。

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これまた日本史研究者には必読論文が

またもや、日本史研究者には必読の論文が、『歴史学研究』2011年3月号(第877号)に載っている。安田浩氏の論文「法治主義への無関心と似非実証的論法――伊藤之雄「近代天皇は『魔力』のような権力を持っているのか」(本誌831号)に寄せて――」だ。

サブタイトルにあるとおり、これは、同じく『歴史学研究』2007年9月号に載った伊藤之雄氏の論文「近代天皇は『魔力』のような権力を持っているのか」にたいする反論。伊藤氏の同論文は、同氏の『昭和天皇と立憲君主制の崩壊』(名古屋大学出版会、2005年)の書評(瀬畑源氏執筆、『歴史学研究』2006年10月号掲載)にたいするリプライなのだが、そのなかで、伊藤氏が、安田氏の名前をあげて、「近代天皇は『魔力』的な権力がある」とする見解を主張しているとして批判したことから、安田氏が伊藤氏への反論を書いたというわけだ。

「魔力」というのは、もちろん「」付きで使われているもので、伊藤氏は「天皇の特殊な権力を、ここで便宜的に『魔力』と表す」(17ページ)と断っている。しかし、そもそも正体不明の力のことを魔力というのだから、いくら「便宜的」といってみても、戦前の天皇が実際にもち、行使した権力を「魔力」とくくってしまったのでは、およそ学問研究にはならないだろう。

しかし、安田氏の批判は、そうした言葉上の問題にとどまらない。

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いちおう勉強もしてます… (^^;)

大津透『神話から歴史へ』天皇の歴史1(講談社)

大津透『神話から歴史へ』(講談社)

年末からコンサートと映画の記事ばかりで、遊んでばかりいると思われると困るので、まだ3分の2程度しか読んでいませんが、いま読んでいる本を紹介しておきます。

講談社の「天皇の歴史」(全10巻)の第1巻、大津透『神話から歴史へ』です。

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天皇「政治利用」問題

来日した中国の習近平・国家副主席が天皇と会見することにかんして、宮内庁長官が内閣の対応を批判したことから、にわかに「政治利用」云々の論争が巻き起こっています。

もともと、憲法に定められた天皇の外交上の国事行為は、「批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること」と「外国の大使及び公使を接受すること」しかありません。それ以外のこと ((一般に天皇の「公的行為」と言われていますが、憲法に天皇の「公的行為」についての規定はありません。つまり、一種の「超憲法的行為」といえます。したがって、「公的行為」の内容などは、きわめて厳格、限定的に考えられるべきであり、また、そうしたものとして行なわれなければなりません。もちろん、「国政に関する権能を有しない」(第4条)という憲法の規定を犯すことは絶対に許されません。また、直接には宮内庁が決めるにしても、「公的行為」についても「内閣の助言と承認」のもとにおこなわれ、「内閣が、その責任を負」っていると考えなければなりません。))は、歴代自民党政権が、自らの外交に天皇を「政治利用」して積み重ねてきたものです。それを棚上げして、今回の事態で自民党がにわかに「天皇の政治利用」に反対し始めるのは筋が通らないと思います。

:天皇陛下の要人会見「政治判断と別次元で」 宮内庁長官 : 朝日新聞
安倍元首相、「天皇の政治利用」と批判 : TBS News-i
隣国との付き合い大事=首相 : 時事通信

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アナクロな人たち

「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」という名前の議員連盟の設立総会が開かれた。

9年前にも皇居前で即位10年の「国民祭典」なるものが開かれたが、来年また即位20年の「国民祭典」をやろうというのだ。勝手にやるならともかく、それに政府を巻き込んで、自分たちの私的な集会を国家的行事に仕立てようというのだから、迷惑な話。

来年11月12日、天皇在位20年を休日に 超党派議連(asahi.com)
“即位の礼にちなみ 休日を”(NHKニュース)

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これは必読文献! 豊下楢彦『昭和天皇・マッカーサー会見』

豊下楢彦『昭和天皇・マッカーサー会見』(岩波現代文庫)

1945年9月27日、昭和天皇が初めてマッカーサーを訪問する。このとき、天皇が「私は、国民が戦争遂行にあたって政治、軍事両面で行なったすべての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身をあなたの代表する諸国の採決にゆだねるためにおたずねした」と発言したとされる。しかし、この記述の元になったマッカーサーの『回想記』には、事実関係と矛盾した記述が多いという。

それでは、実際には、昭和天皇はマッカーサーとの会見で何をしゃべったのか? 第1回会見の記録は、2002年10月に初めて公開された。さらに、2002年8月に、朝日新聞が、1949年7月の第8回会見から通訳を務めた故松井明氏の記録(写し)を入手し、その概要が公表された(ただし、同写しの全文はなお公表されていない)。

本書は、こうした資料にもとづいて、占領下あるいはサンフランシスコ講和条約締結前後の時期に、昭和天皇が主体的・能動的にはたした政治的役割を探究している。

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鳩山由紀夫氏、天皇の元首化を求める

鳩山由紀夫・民主党幹事長が、都内で開かれた「天皇陛下ご即位20年奉祝委員会」で、憲法を改正して「天皇は元首」と明記するように改めて訴えた。鳩山氏は、自分自身の改憲案でも天皇の元首化をうたった、根っからの「天皇元首化」論者。

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最後まで主権者のつもりだった人

昭和天皇の侍従の日記が公開されたというニュース。

報道された限りでは、とくに重大な「新事実」が明らかになった、といったことはないようだ。まあ、靖国参拝をやめた理由が「A級戦犯合祀」だということがあらためて裏づけられたことぐらいか。過日の「富田メモ」での天皇発言がほぼ傍証されたといえる。

それにしても、あらためて感じるのは、この人が最後の最後まで、自分が「統治権の総攬者」のつもりだったということ。「公務」復帰への執念、統一地方選挙で与党が大敗したときには「政変が起こるのか」との「御下問」等々、ホントに変わってないなぁ…。

逝く昭和と天皇、克明に 卜部侍従32年間の日記刊行へ(朝日新聞)

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