こんどはニューヨークタイムズ紙が

米ニューヨークタイムズ紙が、安倍首相の「私が憲法解釈を決める」発言にたいして、厳しく批判する社説を掲載している。憲法9条の条文を引きながら、「安倍首相は、他のナショナリストのように、憲法の条文によって示された平和主義を拒絶している」と指摘するなど、かなり厳しい批判だ。

War, Peace and the Law – NYTimes.com

 社説は、「安倍首相は、改正手続きよりも彼自身の再解釈を通じて憲法の基本の変更に恐ろしいほど接近している」と指摘。「安倍首相は、憲法が日本領土内での守備的役割しか許していないにもかかわらず、日本軍を攻撃的に、日本の領土外で同盟国と共同作戦ができるようにする法律を通そうとしている」と述べて、安倍首相が国会で、「最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と述べたことについても「これは立憲主義についての誤った見地である」、憲法改正をもくろむのは自由だが、そのプロセスが面倒で不人気だからといって「彼が法の支配を否定することには道理がない」と批判している。最後には、「もし安倍首相が彼の見解を国に押しつけ続けるなら、これまで憲法の平和条項についての態度表明を控えてきた最高裁こそが彼の解釈を拒否し、政治指導者は誰も個人的な意思で憲法を書き換えることはできないことを明確にすべきだろう」とも述べている。

欧米諸国が安倍首相に向けるまなざしは厳しい。

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英フィナンシャルタイムズ紙、麻生発言を批判

麻生発言にかんして、日本経済新聞8月5日付が、英経済紙フィナンシャル・タイムズの論評を翻訳転載した。

FT紙の論評は、麻生発言は「与党自民党を牛耳る文化的保守派が修正主義の夢を捨てていないことを思い出させる」と指摘するとともに、自民党の憲法改正案については「新憲法を得た方が日本のためになるかどうかは議論の余地がある」とも述べて批判をにじませている。

さらに面白いのは、「矛盾しているようだが、現行憲法の最大の受益者に数えられるのは自民党自身かもしれない」と述べていること。すなわち、「憲法が多くのことをするのを許さないため」に、自民党は、「大半の有権者より右寄りの思想を持つ」にもかかわらず、「国民は自民党が軍隊(自衛隊)や自分たちの権利についてどんなことをするか心配せずに同党に票を投じることができた」と述べて、「新憲法を提言すること」は「日本と自民党にとっては、よりリスクが高いものかもしれない」と皮肉っている。

[FT]ナチス発言に見える自民党の憲法改正の野望:日本経済新聞

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自民党の憲法改正草案についてつぶやきました

  • 自民党憲法改正案第11条。現行憲法が「基本的人権の享有を妨げられない」とあるのを単に「基本的人権を享有する」に。意味は変わらないようにも読めるが、現行憲法ではわずかな差し支えでも「享有を妨げられている」と主張できるが、自民案では「まあだいたい享有できてるから文句を言うな」と却下。 posted at 21:37:26
  • 同第12条。現行憲法「自由及び権利は…これを保持しなければならない」を「保持されなければならない」と受身に。これも意味に違いないように読めるが、保持する主体が不分明に。現行憲法は、国民が不断の努力で保持しなければならないといっているのは明らか。 posted at 21:41:57

まだまだ続きます。

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自民党の憲法改正草案についてつぶやきました

自民党が27日に発表した憲法改正草案を読んでみました。9条を改悪して、国防軍を設置するなど大きな問題もありますが、同時に、細かいツッコミどころもたくさんあります。思いつくままに、つぶやきました。

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自民党は懲りずに新憲法制定を新綱領案にかかげるつもりらしい

まだ第一報的なものだけど、共同通信が要旨を流している。綱領に新憲法制定をかかげるだけでなく、自民党の新憲法草案の第2次案をつくるらしい。第1次案として条文まで公表し、任期中の憲法改正を掲げた安倍内閣が惨めに破産したにもかかわらず、懲りない面々である。

他方、新綱領にはもはや「小さな政府」という言葉は登場しないらしい。小泉改革の誤りは、自民党も否定できないということだ。

自民党:新綱領原案まとまる 新憲法制定など掲げ : 毎日新聞
自民新綱領原案の要旨 : 共同通信
自民党、市場主義から財政再建へ 新綱領原案 : 中国新聞
憲法改正、自民が「第2次草案」策定へ(読売新聞) – goo ニュース

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アナクロな人たち

「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」という名前の議員連盟の設立総会が開かれた。

9年前にも皇居前で即位10年の「国民祭典」なるものが開かれたが、来年また即位20年の「国民祭典」をやろうというのだ。勝手にやるならともかく、それに政府を巻き込んで、自分たちの私的な集会を国家的行事に仕立てようというのだから、迷惑な話。

来年11月12日、天皇在位20年を休日に 超党派議連(asahi.com)
“即位の礼にちなみ 休日を”(NHKニュース)

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鳩山由紀夫氏、天皇の元首化を求める

鳩山由紀夫・民主党幹事長が、都内で開かれた「天皇陛下ご即位20年奉祝委員会」で、憲法を改正して「天皇は元首」と明記するように改めて訴えた。鳩山氏は、自分自身の改憲案でも天皇の元首化をうたった、根っからの「天皇元首化」論者。

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改憲議連が「推進大会」開く

自民、民主、公明、国民新党などの国会議員でつくる改憲議連(「新憲法制定議員同盟」)が、改憲「推進大会」を開催し、衆参憲法審査会の早期始動を求める決議を採択。

民主党・長島昭久副幹事長が「昨日は(租税特別措置法改正案の再可決で)敵味方に分かれて対決したが、実は民主党も憲法改正を党是としている」と、みずから自民党と“同じ穴の狢”であることを自認する発言。

憲法審査会:早期始動求める決議採択…超党派議連初大会(毎日新聞)
「今こそ憲法改正を」 中曽根元首相が新憲法制定推進大会で(MSN産経ニュース)
「憲法審査会の早期始動を」超党派議員ら憲法の4目標提示(読売新聞)
改憲推進の超党派大会、民主鳩山・前原氏ら不参加(NIKKEI NET)

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「新憲法制定議員同盟」総会で自民・民主の新体制

「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)が、4日、昨年発足以来の総会を開催。

町村官房長官が現職閣僚として副会長に選んだほか、民主党からも鳩山由紀夫幹事長が顧問に、前原誠司副代表らが副会長に就任して、新体制をスタート。当面、憲法調査会の始動をめざすとともに、「九条の会」に対抗していくための地方の運動拠点づくりをすすめることを確認した。

改憲同盟 自・民で新体制 役員に両党幹事長ら(しんぶん赤旗)
新憲法同盟、自民党と民主党の幹事長を顧問に(読売新聞)
新憲法制定議員同盟:自・民同舟 鳩山由氏らが初の役員入り(毎日新聞)
憲法議連 与野党幹部が役員に(NHKニュース)
新憲法制定目指す超党派議連、新体制(TBS News-i)

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改憲議連に民主も参加

今朝の読売新聞に、「新憲法同盟に民主参加」の記事。読んでみると、中曽根元首相が会長を務める「新憲法制定議員同盟」が、3月4日に総会を開き、民主党の鳩山幹事長、羽田元首相が顧問に、前原副代表、藤井裕久最高顧問が副会長に就任する新体制を発足させる、という。

何だこのニュースは? と思って、Googleを探ってみたら、NHKが24日に流したこんなニュースがキャッシュに残っていた。また、産経新聞も記事を流していた。

“憲法議連” 近く新役員体制(NHKニュース)
新憲法制定議員同盟、役員に民主党議員を加える(産経新聞)

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自民党、「九条の会」に対抗して「国民投票法の会」をつくる?!

自民党憲法審議会の中山太郎会長が、「九条の会」の向こうを張って、衆院小選挙区ごとに「国民投票法の会」をつくる必要があると発言。

改憲版「9条の会」設置を=自民・中山氏(時事通信)

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安倍首相は参院選で改憲を争点にするというが…

安倍首相が、参院選で改憲を争点にすると言っているが、一昨年に発表された自民党の「新憲法草案」についてはすでに見直しを決めていることを見逃してはならない。争点だ、争点だと言いながら、安倍首相がどんな憲法をつくろうとしているのかはさっぱり分からない、そんな奇妙な事態が生まれつつあるのだ。

で、どういうふうに自民党案の「見直し」をすすめようとしているのかというと、一番参考になるのが、「新憲法制定委員会準備会」なるところが5月3日に発表した「新憲法大綱案」。同準備会には自民党国会議員だけでなく、民主党、国民新党の国会議員も名を連ねているが、その正体は「日本会議」国会議員懇談会。つまり、安倍首相に最も近い部分が発表した改憲案だ。

それをみると、

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自民、民主で仲良く、アナクロ改憲案づくり?!

アナクロニズムと言うべきか、悪のりと言うべきか、呆れてしまいますが、これが自民党だけでなく、民主党、国民新党の議員を含めてやられているというところに御注目を。また、安倍・自民党が、ある意味オブラートにくるんでいるホンネの部分をストレートに表現するとこうなる、という意味でも、改憲策動の本質を分かりやすく示してくれるものだと言えます。

超党派の保守系議員有志 「新憲法大綱案」を提言(北海道新聞)
防衛軍に国益条項… 超党派議員が「新憲法大綱案」(産経新聞)

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安倍晋三氏、5年以内に憲法改正

自民党総裁選で、日本記者クラブが3人の候補者の討論会を開催。本質的な違いがない人たちの間での討論会というのは、聞いていても余り面白くないが、彼ら、とくに安倍氏が何を目指しているのか、それなりに明らかに。
ということで、関連する記事を貼り付けておきます。

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早くも改憲論のエスカレート

安倍官房長官が、自民党の改憲草案の見直しを表明。まだ総裁に選ばれたわけでもないのに…。

「公約」といっても、政党が選挙で掲げる公約は、主権者である有権者に示されるもので、それにもとづく選挙は、結果は何であれ、主権者の選択だと言えますが、政党の内部選挙での「公約」は、いくら自民党の総裁が次期首相になると言っても、たんなる私的なもの。それを選挙公約と同じように扱って、憲法改悪を「公約を守る」などといって強行されたのではたまったもんではありません。

<安倍氏>自民憲法草案見直し方針 集団自衛権を明確化(毎日新聞)

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自民党が新憲法草案を発表

自民党が、来月の党大会で採択する「新憲法草案」を発表しました。8月に発表した「新憲法第1次案」に若干の修正を施したものです。

注目の9条ですが、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という現行の条文を、第1次案では、「戦争その他の武力の行使又は武力による威嚇を永久に行わないこととする」と修正し、章題を「安全保障」とすることとあわせて、憲法から「戦争の放棄」という文言を放逐してしていました。しかし、これがよっぽど不評だったのでしょう。今日発表された案では、9条1項は、そのまま無修正で残すことになっています。

しかし、だからといって、「戦争放棄」の立場が守られたわけではありません。「戦争放棄」のために「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」「国の交戦権は、これを認めない」と、戦力不保持・交戦権の否定を定めた9条2項を削除。代わりに、自衛軍の保持を明記し、自衛軍は「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」ができるとしています。

「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」というと、国連の平和維持活動への参加・協力のように思うかも知れませんが、そうではないのです。たとえば、イラク戦争のように、国連が賛成しなくても、アメリカとイギリスが「協調」して始めれば、これだって立派な「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」になるのです。この憲法改正が成立すれば、いまイラクで米軍や英軍が行なっている「武装勢力の掃討作戦」に、自衛隊も参加できることになります。それが、この9条改憲の一番のねらいなのです。

こんなふうに、自衛隊が米軍と一緒になって、実際に海外で戦闘行為をおこなう――これのどこが「戦争の放棄」でしょうか? 9条2項を削除し、自衛軍の保持を明記すれば、9条1項はまったくの空文になってしまうのです。
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