10日付の「毎日新聞」は、公表されなかった「日中歴史共同研究」の戦後史部分を入手したとして、その内容をスクープ報道。
しかし、報じられた内容を見ると、極東国際軍事裁判を「法的には問題の多い裁判」「敗者に対する勝者の懲罰」と決めつけるなど、きわめて偏った立場が表明されている。また靖国参拝問題でも、日本側は、「参拝目的は『戦没者の追悼と平和の祈念』」という国際社会から批判を受けた従来の立場を繰り返したようだ。
戦前部分ではあれこれ日本の加害を認めていたが、それは個々の問題であって、戦争全体の性格としてはあくまで日本の侵略戦争であることは認めない、ということだ。
これでは、歴史認識をめぐる新たな対立を生むだけであり、「歴史に対する客観的認識」を深め「相互理解の増進を図る」(2006年10月の安倍首相訪中の際の合意)という日中歴史共同研究の出発点にももとる内容だ。日本側の不誠実な態度があらためて問われるだろう。
日中歴史共同研究:「天安門は政治騒動」 中国、日本と相違鮮明 : 毎日新聞
日中歴史共同研究:戦後史部分(要旨) : 毎日新聞