「強い処をより強く」にはルールが必要

「朝日新聞」本日付の「経済気象台」で、コラム氏が「強い処をより強く」と題して、こんなことを書いている。

 ……最近気になるのは、強者を否定する論説がこの国の一部に見られることである。
 否定しないまでも強者を矯めて弱者を育てよう、とする空気がある。あえていうが、こんなことをすれば両者共倒れは必至である。企業が育つということはそんなに甘いものではない。……

強い処をより強く – 経済気象台 : 朝日新聞

したり顔でこんなことを言っているが、僕にいわせれば、このコラム氏は経済のことがまったく分かってない。規制緩和すれば経済は成長するという、いまだにこんなワンパターンなことしか言えないのか、とあきれてしまうだけ。

なるほど、国富を増やすことは必要だし、企業が育つというのは甘いものではない。しかし、そのために「強い処をより強く」といっているだけではだめである。企業が本当に「より強く」なるためには、ルールが必要なのだ。

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朝日新聞が大型世論調査

「朝日新聞」が政治への不満について、大型世論調査を実施。

政治に「満足」は「ある程度満足」を合わせても7%しかなく、91%が「不満」(「やや不満」「大いに不満」合わせて)と回答。「国民の意思を反映していない」とする回答が87%(「あまり反映していない」「まったく反映していない」合わせて)を占めた。

注目されるのは、「民主党政権に替わったら、いまより政治はよくなると思うか」の質問に、「よくなる」と回答したのは19%だけで59%が「変わらない」と回答していること。これは、「自民党と民主党の政策に大きな違いがあると思うか」の質問に67%が「大きな違いはない」と答えていることと照応するのかも知れない。自民党については、「これからの日本の発展にどの程度貢献できると思うか」の質問に、「貢献できない」60%(「あまり貢献できない」「まったく貢献できない」合わせて)という答え。自民党政治は、国民の目からみれば、もはや完全に終わったということだろう。

さらに、15年前に導入された衆議院の小選挙区比例代表並立制の選挙制度について、「よかったと思うか」の質問に、58%が「よくなかった」と答えていることも見逃せない。また、政党助成金について、56%が「よくなかった」と回答していることも重要なポイントだろう。企業・団体献金については、57%が「すべて禁止すべきだ」と回答している。

「今の政治、大いに不満」6割 朝日新聞世論調査(朝日新聞)
朝日新聞世論調査―質問と回答〈2?3月中旬実施〉(朝日新聞)

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規制緩和一辺倒の破綻にG8がお墨付き?!

G8が緊急声明を発表。IMFやWTOの路線をまもるとしているのはいただけないが、「現下の危機によって明らかになった欠陥を改善するため、世界の金融セクターについて、規制的および制度的レジームへの変更が必要である」と指摘している点は、そのとおり。「規制緩和」「市場開放」一辺倒のウルトラ自由市場主義の破綻は、G8のお墨付きになったといえる。

「日経新聞」の記事によれば、緊急声明は日本が主導したそうな。しかし、麻生首相は、昨日はG8緊急サミットについて「やっても混乱」と消極的だったはず…。むしろ、サルコジ仏大統領の方が積極的なように思える。

新興国含めた首脳会合を期待 G8緊急声明(朝日新聞)
G8首脳が緊急声明、金融危機解決へ決意示す(NIKKEI NET)
麻生首相、緊急サミットに慎重=「やっても混乱」?参院予算委(時事通信)
仏大統領:G8緊急首脳会議で米大統領と事前協議へ(毎日新聞)

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厚労相、日雇い派遣原則禁止を表明

舛添厚労相が、日雇い派遣をやめる方向で、秋の臨時国会に派遣法改正案を提出する意向を表明。

日雇い派遣の原則禁止に踏み出すことはよいことですが、しかし、そのために現在、「日雇い派遣」で働いている人たちの仕事がなくなったり、派遣契約を打ち切られたりすることがないように、万全をつくしてほしい。そのためには、人材派遣会社を規制しただけでおしまいにせず、日雇い派遣を恒常的に受け入れている企業に、「日雇い派遣」の人たちを直接雇用する責任をもたせる必要があります。

日雇い派遣を原則禁止、厚労相が法改正案提出を表明(読売新聞)

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後で取り締まるのも必要だけど、規制緩和を見直した方がいいのでは?

今年2月におきたツアーバスの事故をきっかけに、国土交通省が全国の貸し切りバス会社やツアーバス事業者を調査したところ、貸し切りバス会社の60%以上、ツアーバス事業者の80%以上の違反があったことが明らかに。

取り締まりの強化も必要だけど、こんなに違反事業者が出るということは、そもそもの規制緩和、参入自由化を見直すべきでは?

バス事業者の6割が法令違反、ツアー死傷事故で監査(読売新聞)

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規制緩和がバス業界にもたらしたもの

先日、大阪でスキーバスがコンクリート橋脚に衝突し、16歳のアルバイト添乗員が死亡したほか27人が死傷した事故がありましたが、今日の「毎日新聞」夕刊は、2000年の貸しバス事業の規制緩和がバス業界にどんなひずみを生み出したかを紹介しています。

記事によれば、貸し切りバス事業者は、99年は2336業者。それが2000年の規制緩和をはさんで、2004年度には3743業者と1.6倍に。その結果、過当競争となり、価格は長野〜大阪往復で20万円以下になり、運転手の年収も400万円を切るようになってきたといいます。白馬〜大阪往復を16万円で請け負い、人件費と燃料費を除くとバス会社には2万円も残らない、というケースもあるそうです。

こんな状態で、本当に安全が保障できるのか? 事故を起こすようなバス会社は、そのうち淘汰されるのかも知れませんが、それまでにいったいどれだけの事故が起きて、何人がなくなればよいというのでしょうか。「規制緩和」路線そのものを見直していくことが必要ではないでしょうか。

バス事故:過重労働にあえぐ運転手 規制緩和のひずみ(毎日新聞)

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規制改革会議の最終答申案が明らかに

教育委員会設置義務の撤廃が大きく取り上げられていますが、労働・雇用分野で「団体交渉権を一定割合以上の組合員がいる労組に限定すること」があげられていることに注意する必要があります。

いまでも、日本は労働組合の組織率が低いのに、こんな「規制緩和」が実現したら、たいていの企業では、労働組合との交渉は必要なくなってしまうでしょう。企業にしてみれば、こんな天国みたいな話はありませんが、いまフリーター、アルバイトたちの間で活躍している「青年ユニオン」のような個人加盟の労働組合も、まったく閉め出されてしまいます。

憲法28条は、勤労者の団結権や団体交渉権を、一切の条件なしに保障しています。それを空文化させる大改悪は絶対に許されません。

教委設置義務の撤廃見送り、規制改革会議が最終答申案(読売新聞)

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読売新聞が「小さな政府論」の再点検を開始

今日の「読売新聞」に「再点検 小さな政府論<1>」として、佐々木毅氏(東大前総長、21世紀臨調共同代表)と山崎正和氏(劇作家)の談話が載っています。

注目すべきは、1面に載ったこの企画の案内。企画の意図を次のように説明しています。

ライブドア事件や耐震強度偽装事件により、「官」の責任放棄や「民」の倫理低下など、「小さな政府論」がはらむ問題点が浮き彫りになってきた。小泉政権が唱える「官から民へ」の流れや、規制緩和も、行き過ぎが生じれば社会の秩序を揺るがしかねない。適正な「官」と「民」のあり方を有識者が再点検する。

ということで、あの読売新聞が小泉内閣の「小さな政府論」に批判的立場に転じ、再点検を開始したことは明らかです。
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