冷静に しかし情感を込めて テミルカーノフ×読響×プロコフィエフ交響曲第5番

読響第172回東京芸術劇場名曲シリーズ(2010年5月21日)

先週の、サントリー定期でのショスタコーヴィチ交響曲第7番があまりに感動的だったので、昨日は、ふたたびテミルカーノフの振る読響の演奏会を聴きに、池袋へ。

  • プロコフィエフ:交響曲第5番 変ロ長調 op.100
  • エルガー:創作主題による変奏曲 エニグマ op.36

前半プロコフィエフが約45分、後半エニグマが約30分という、ちょっと変則的なプログラム。プロコフィエフの交響曲は、ラザレフ×日フィルがチクルスに取り組んでいますが、正直言って、まだよく分かりません。しかし、この日の5番は、先日の「レニングラード」と同じように、音をppからffまで自由自在に操って、決して爆裂させないけれども、情感がたっぷりと込められた演奏で、初めて「ああ、プロコフィエフの5番って、こんな曲なんだ」と思って聴くことができました。

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立ち去りがたし テミルカーノフ指揮“レニングラード”

ユーリ・テミルカーノフ

小雨の降る中、サントリーホールへ。読響の5月定期演奏会は、ロシアのユーリ・テミルカーノフの指揮で、ショスタコーヴィチの交響曲第7番。

演奏はややスローなテンポで始まり、透明感の高い読響の弦をたっぷりとふくらませて、それがホールいっぱいに充溢してゆくといった印象。これはなんだかすごい演奏になりそうな予感を生み、思わず姿勢を正してしまったほど。そして、あの「戦争の主題」。ピチカートと小太鼓の刻む音が、非常にかすかに、しかし確実に聞こえ始め、緊張が高まってゆきます。

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読響 シルヴァン・カンブルラン常任指揮者就任演奏会

読売日響第492回定期演奏会(2010年4月26日)

読売日響第492回定期演奏会(2010年4月26日)

昨日は、今期から新しく読響の常任指揮者になったシルヴァン・カンブルランの就任披露演奏会でした。

  • ベートーヴェン:序曲〈コリオラン〉 op.62
  • マーラー:交響曲第10番 嬰ヘ長調から “アダージョ”
  • シェーンベルク:交響詩〈ペレアスとメリザンド〉 op.5

カンブルランはフランス人指揮者。なのに、プログラムはドイツもの3つ…。しかも、後半シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」は僕は初めて聴く作品。ということで、期待しつつ、小雨の中、サントリーホールへ。

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爆裂!! セゲルスタム×読響×マーラー交響曲第7番

読響第490回定期演奏会

3連荘最終日は、読響のサントリー定期。指揮はフィンランド出身のレイフ・セゲルスタム。プログラムは、ずばり

 マーラー:交響曲 第7番 ホ短調《夜の歌》

さすがに3日連続のコンサートで、かなりへばっておりましたが、やっぱりこの「夜の歌」ではとても寝ていられません。(^_^;)

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素晴らしいメンデルスゾーン〈讃歌〉 読響第165回東京芸劇名曲シリーズ

読売日響東京芸術劇場名曲シリーズ(2009年10月19日)

昨日に続けて、今日も池袋の東京芸術劇場へ。今日は、読売日響の演奏会です。今シーズンは定期ではなく、セレクト(4回)で来年3月のスクロヴァチェフスキの3公演を押さえ、残った1回を、今日のコンサートにしました。(^^;)

  • バッハ(レーガー編曲):〈おお人よ、汝の大きな罪を嘆け〉 BWV.622
  • ヒンデミット:チェロ協奏曲 変ホ長調 op.3
  • メンデルスゾーン:交響曲第2番 変ロ長調 op.52 〈讃歌〉

選んだ理由は実に安易で、指揮が下野さんだったこと、それにソリストが澤畑恵美だったこと。しかし、ついでで選んだコンサートでしたが、初めて聴いたメンデルスゾーンの交響曲第2番は実に素晴らしい演奏でした。

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あまりに感動的 スクロヴァチェフスキ×読響×ショスタコ11番

読響第485回定期演奏会

う?、この感動を一体どんなふうに表わしたらいいんでしょうか。これだけ濃密な、凝集した「1905年」は初めてです。

  • モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 op.103 “1905年”

出だしのハープの音を聴いた瞬間は、「う〜ん、なんか弱いなぁ?」と思ってしまったのですが、しかし、スクロヴァチェフスキの指揮は全く違っていました。決して闇雲に爆裂させるのではなくて、鳴らすところは鳴らす、押さえるところは押さえる、そして細部まで張り詰めた緊張感…、やっぱりスクロヴァチェフスキでした。

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至福の時 スクロヴァチェフスキ×読響×ブル9

読響第114回東京芸術劇場マチネーシリーズ

連休最終日、池袋の東京芸術劇場で、ミスターSことスクロバチェフスキの指揮で、ブルックナーの至福の時間を過ごして参りました。(^^;)

  • ベートーヴェン:ピアノ交響曲第4番 ト短調 op.58
  • ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB.109

ひさびさに、天上から音がきらめき、ふり降りてくるブルックナーを堪能させていただきました。ありがたや〜、ありがたや〜

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読響 シナイスキー指揮、ラフマニノフ交響曲第2番他

読売日本交響楽団第479回定期演奏会

今季は読響の定期はとってなかったのですが、来月、スクロヴァチェフスキの演奏会が3回あるので、マイ・セレクトで、チケットを押さえました。ただし、マイ・セレクトは年4回。ということで、残り1回で、今日のサントリー定期を選びました。

 ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
 ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op.27

指揮は、ロシアのヴァシリー・シナイスキー、ヴァイオリンはイタリア生まれのアナ・チュマチェンコ。

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コンサート あれこれ

世の中が、解散・総選挙モード一色なのに、いろいろとコンサートに通っております。(^_^;)

別に、サボってる訳じゃないんです。読響のスクロヴァチェフスキ公演の3コンサートのチケットを押さえたあと、新日本フィルの定期を申し込んだら、それも9月シーズン開始で、あれやこれや全部重なって、今月だけで7コンサートということになってしまいました。仕事も忙しくなるし、出張2つに、短い連載原稿を抱えて、いささかへばっております。

ということで、7日の東フィルのコンサートの後をまとめて投稿します。

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コバケンは読響の指揮台でも踊っていた…

アリーナ・ポゴストキーナ(読売日響『月刊オーケストラ』2008年7月号から)

アリーナ・ポゴストキーナ

七夕の夜、読響のコンサートで池袋の芸術劇場へ行ってきました。プログラムは、以下のとおり。ヴァイオリン独奏はロシア出身のアリーナ・ポゴストキーナ。指揮は、小林研一郎氏。(今年25回目のコンサート)

  • リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 op.34
  • モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
  •    (休憩)
  • リムスキー=コルサコフ:交響組曲〈シェエラザード〉 op.35

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読響 第150回芸劇名曲シリーズ

読売日本交響楽団第150回東京芸術劇場名曲シリーズ

今日は、読響のコンサートで、池袋の芸術劇場に行ってきました(今年17回目)。指揮は下野竜也氏。

  • ホルスト:フーガ風序曲 op.40-1
  • エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
  • ストラヴィンスキー:バレエ音楽〈ペトルーシュカ〉(1947年版)

エルガーのチェロ協のソリストは、ハーゲン弦楽四重奏団のクレメンス・ハーゲン。そして、ペトルーシュカでは、野原みどりさんがピアノを演奏するという贅沢なプログラムです。

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至福の時間 スクロヴァチェフスキのブル5番

終わりました。やっぱりブルックナーはいいですねぇ〜 (^_^;)

スクロヴァチェフスキの指揮は、彼のいつものテンポ(といっても、第4楽章を除いて、ほかの指揮者に比べると少し早めですが)。管をうまく響かせるあたりはお手のもの。6日のブルックナー2番は、座席の関係か、天上から降り注ぐような響きがあまりなかったのですが、今日は、たっぷり堪能させていただきました。低音弦のリズムと金管のファンファーレが見事な第1楽章、第2楽章のゆったりしたテンポとリズミカルな第3楽章、そして最後、ホントに天上から降り注ぐような第4楽章。最後のコラールには、スクロヴァチェフスキならではの響きがあって、やっぱり5番は鉄板ですね。ヘ(^o^)/

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スクロヴァチェフスキ第2弾 読響第149回芸劇名曲シリーズ

東京芸術劇場

昨日、スクロヴァチェフスキ&読響の第2弾として、池袋の東京芸術劇場に行ってきました。プログラムは、以下のとおり。

 チャイコフスキー : 交響曲第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」
 ストラヴィンスキー : バレエ音楽「春の祭典」

1曲目、チャイコフスキーの「悲愴」は、読響のレベルの高い弦と、管を自由にあやつるスクロヴァチェフスキの指揮がぴったり噛み合って、スローなテンポで実にチャーミングに、甘さたっぷりの仕上がりでした。第3楽章が大きく盛り上がったあと、あまり間をおかずに第4楽章に入るあたりも、なかなか緩急のはっきりした、憎い演出。(^_^;) これで、ラストのフライング拍手がなければ完璧だったんですが…。

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大いに語り、大いに堪能する

横浜みなとみらいといえば、日本丸と大観覧車(月並みだ?)

晴天の日曜日、午前中は都内某所で、最近の理論的な発展について、2時間余りどしどし語ってゆく。「普通選挙権が実現したのに、労働者階級の政権ができないのはなぜか?」「日本での民主的政権の展望はどう考えたらよいのか?」「生産手段の社会化の具体的なイメージは?」など、なかなか鋭い質問が飛び出す。終わってから、担当者には「あと2時間ぐらいあればよかったですね」と言われる。実際、レジュメを見てもらえば分かるとおり、2時間あまりで語るには中身を詰め込みすぎ。反省せねばなるまい。

で、質問のやりとりで、予定した時間を45分ほどオーバー。昼食をあきらめて、ただちに、横浜をめざして大移動する。

実は、2時から、みなとみらいホールで読響のコンサート。今月の読響はスクロヴァチェフスキが振るので、今日のみなとみらいホリデー名曲コンサート、11日(金)の東京芸術劇場名曲コンサート、18日(金)のサントリー定期演奏会と、全部チケットを押さえてある。(^_^;)

今日のプログラムは、以下のとおり。

  • スクロヴァチェフスキ:コンチェルト・ニコロ(左手のためのピアノ協奏曲)
  • ブルックナー:交響曲第2番 ハ短調 WAB.102

みなとみらいホールは、初めての会場。地下鉄みなとみらい駅の改札を通り過ぎたところで、慌てて戻って駅の窓口でホールの場所を確認。まったく逆の方向へ行こうとしていたので、聞いてなかったら遅刻して会場には入れないところだった。(^_^;)

地下3階からの長いエスカレーターを駆け上がり、会場到着は開演時間の2分過ぎ。オケのメンバーが舞台に入り始めたところで、なんとか滑り込む。

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読響 第467回サントリー定期演奏会

読売日本交響楽団第467回定期演奏会

今シーズン読響の定期はとってなかったんですが、今日は好きなショスタコーヴィチをやるということで、1回券を買って、サントリーホールへ行ってきました。(今年1回目)

指揮は、フランクフルト響の首席指揮者(1997〜2000年)だったヒュー・ウルフ。ピアノはフィンランド出身のアンティ・シーララ。ヒュー・ウルフがいきなり松葉杖で登場したのでびっくりしましたが、来日直前に左足を骨折したそうです。

  バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
  ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 op.103 〈1905年〉

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スクロヴァチェフスキのショスタコーヴィチ

先週の金曜日に続いて、24日、スクロヴァチェフスキ&読響の演奏会を聴いてきました。今回のプログラムは、シューマン&ショスタコーヴィチ。スクロヴァチェフスキの振るショスタコーヴィチがどういうものか、楽しみに出かけてきました。

  • シューマン:交響曲第4番 ニ短調 op.120
  •    ≪休憩≫
  • ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 op.93

といっても、前日までの北海道旅行の疲れで、昼間、うちでばったりと寝こけてしまい、目が覚めたのが5時。さすがに6時の開演には間に合わず、シューマンの4番は第2楽章からしか聴けませんでしたが…。(^_^;)

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ほとんど諦めていたのですが… 読響第463回定期演奏会

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(読売日響「月刊オーケストラ」9月号から)
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(読売日響「月刊オーケストラ」9月号から)

18日の読響定期は、今年4月に読響の常任指揮者に就任したばかりのスクロヴァチェフスキ氏がブルックナーをふるということで楽しみにしていたのですが、別の予定が入ってしまい、ほとんど完全に諦めていました。

ところが、当日の朝になって予定がキャンセルされ、急転直下、演奏会を聴くことができました。実は、友人に“チケットを譲るよ”と声をかけたりもしていたのですが、ぬか喜びさせてすみませんでした。m(_’_)m

  • モーツァルト(ブゾーニ版):歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
  • ルトスワフスキ:交響曲第4番
  •   (休憩)
  • ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調 ノヴァーク版

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読響 第493回名曲シリーズ

7月の定期演奏会にゆけなかったので、振り替えで、今日、東京芸術劇場で読響のコンサートを聴いてきました。

  • グリーグ:2つの悲しい旋律 作品34
  • グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
  • シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43

ピアノが中村紘子さん、ということで開場の5時半に着いたら、芸術劇場大ホールの入り口には長い行列ができていました。座席は決まっているのだから、別に早く来て並ばなくてもいいのに…。(^_^;)

その中村紘子さんのピアノは、力強い、躍動的な演奏で、さすがでした。

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読響定期 われらの主イエス・キリストの変容

読売日本交響楽団第461回定期演奏会 メシアン:われらの主イエス・キリストの変容 指揮:若杉弘

28日、東京芸術劇場で、読売日響&若杉弘指揮でメシアンの「われらの主イエス・キリストの変容」を聴いてきました。

キリストの変容というのは、イエス・キリストが弟子を率いて山に登ったとき、身体が輝き出して中空に浮かび、天から「これは我が子なり」とのお告げがあった、というお話(マルコによる福音書9:2-8)。メシアンのこの作品は、そのエピソードを聖書やトマス・アクィナスの「神学大全」などからテキストを採用し、全2部構成、各部7曲、約110分にまとめ上げたものです。1969年の作曲。

オーケストラ109人+100人の合唱団+ソリスト7人=合計216人という大編成で、東京芸術劇場の舞台も張り出し舞台が付け足されていました。

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ロシアン・プログラムならよかった?!

木曜日、金曜日と2晩続けてコンサートを楽しんできました。

木曜日は、日フィルの定期演奏会。プログラムは、以下のとおり。

 モーツァルト:歌劇《魔笛》より「序曲」
 モーツァルト:交響曲第36番《リンツ》
   <休憩>
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番
 チャイコフスキー:幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》

指揮は、アレクサンドル・ドミトリエフ、ピアノ・ソリストは御年70歳を越えたエリック・ハイドシェックでした。

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