立場はまるきり違うけど 本日の日経「大機小機」

本日の「日本経済新聞」の「大機小機」。立場はまるきり違うけれど、これを僕なりにいえば、

  1. 日本の景気回復には国内需要の回復が欠かせない。
  2. 「このままだと日本もギリシャのように大変なことになる」というのは脅しである。
  3. 庶民増税は景気回復にマイナスである。

という3点を指摘したものだと思うのだが、どうだろうか。

【大機小機】経済復興のマクロ的条件:日本経済新聞

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フランスも、富裕層に3%の増税

富裕税導入の動き、イタリアとポルトガルだけかと思ったら、フランスでも、首相が50万ユーロ以上の所得にたいして「特別貢献税」3%を課税すると表明しておりました。

欧州各国、増税相次ぐ 財政再建努力示す狙いも:日本経済新聞

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財政再建するなら富裕層への増税で

ヨーロッパで、最富豪層のなかから「われわれに増税を」の声が起こっていることは前に紹介したとおりですが、イタリア政府は、財政再建に向けて富裕税の導入を決めた。当初は、50万ユーロ(約5400万円)以上の所得に3%の特別課税といわれていたが、30万ユーロ(約3240万円)以上に引き下げられたというニュースも流れている。

おもしろいのは、ベルルスコーニ政権が、いったんは富裕税の導入を断念したのだが、そのことが伝わると国債価格が急落!! 結局、市場に不信感を突きつけられる形で、政府は、富裕層への増税に踏み切らざるをえなくなったのだ。

いまや「財政再建は富裕層への増税で」が市場の声。野田さんも、それに耳を傾けてはいかが?

イタリア、財政再建へ富裕層向け課税:日本経済新聞
G7、欧州危機封じ焦点…9日から仏で開催:読売新聞
NY市場 イタリア、富裕税の課税最低限を30万ユーロに引き下げへ:Klugクルーク

富裕税はイタリアだけではない。ポルトガルも、年間利益が150万ユーロ(約1億6000万円)以上の企業に3%、富裕層には2.5%の付加税を課すことを決定した。

ポルトガル:法人税・富裕層増税の計画発表――赤字削減目標達成に向け – Bloomberg.co.jp

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菊池英博『増税が日本を破壊する』

菊池英博『増税が日本を破壊する』

 書店でたまたま見かけたので買ってみたのですが、これがなかなか面白い。ぜひとも財政学の専門家の意見を聞いてみたいと思いました。

 著者の主張は、第1に、「日本は財政危機ではない」ということ。つまり、日本の政府の長期債務は国・地方あわせて795兆円あると言われるが、実はこれは「粗債務」。ところが、政府は480兆円の金融資産を持っているから、純債務は315兆円で、対GDP比(債務の国民負担率)は実質60%程度。この水準はユーロやドイツ並みで、日本だけがとびきり財政赤字が大きいわけではない。
 第2に、毎年財政赤字を続けるアメリカでも、政府の純債務は増加している。しかし、名目GDPが増えているから、債務の国民負担率は低下している。ところが、日本は、デフレで名目GDPがマイナスになっている。そのために、債務の国民負担率が大幅に増えたのである。
 第3に、したがって、債務の国民負担率を減らすためには、積極財政をとってデフレからの脱却をはかるべきである。それにもかかわらず、小泉首相は「構造改革」と称して、緊縮財政・増税路線をすすめている。その結果、デフレが深刻化し、国民経済は縮小、税収は落ち込み、結局、財政赤字はさらに拡大。名目GDPの減少と相まって、債務の国民負担率を大きくしている。

 小泉首相の「構造改革」路線が国民経済を冷え込ませ、デフレを深刻化しているという指摘は、その通りだと思います。それに、巨額の外為資金がアメリカの国債購入にあてられていることや、これだけ財政赤字がありながら、貿易収支では日本は巨大な黒字となっていることなど、いったいどう考えたらいいんだろうと思っていたので、政府の債務は「粗債務」ではなく「純債務」で考えるべきだという指摘は、なかなか興味深いものがあります。

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