マルクスの時代の税金って?

前回の古典教室で、『賃金、価格および利潤』の第11章「剰余価値が分解する種々の部分」に出てくる「税金徴収者」のことが話題になりました。剰余価値の受け取り手のなかに、資本家、地主、貨幣資本家だけでなく、「諸君が望むなら税金徴収者をこれにくわえてもよい」と、マルクスは書いています ((服部文男訳『賃労働と資本/賃金、価格および利潤』新日本出版社、古典選書シリーズ、156ページ。))。

もちろん、ここでマルクスが言っているのは、税務署の職員のことではなくて、徴税主体である国家のことです。そして、社会全体の労働を、労働者の必要労働部分とそれ以外の剰余労働部分とに大別すれば、税金が剰余労働に含まれることは明らかです。

しかし、そもそもこの時代の税金って、どうなっていたんでしょうか? そもそも、労働者が納めるような税があったのでしょうか? そこで、またもやあれこれと調べてみました。

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『価値、価格および利潤』の前書き

Karl Marx "Value, Price and Profit", George Allen & Unwin Ltd., London, 1941

『賃金、価格および利潤』(英語版の書名はValue, Price and Profit)が発行されたとき、編者による前書きがつけられたのですが、いろいろな邦訳をみても、これまでその前書きを読んだことはありません。

ということで、またもや海外のネット古書店で、英語版の手に入れてみました。

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「古典教室」第1回 『賃金、価格および利潤』(その1) 受講しました

昨日、日本共産党の「綱領・古典の連続教室」の古典教室第1回がひらかれ、私も受講してきました。講師は不破哲三さん、古典教室の第1回と来月(第2回)のテキストは、マルクスの『賃金、価格および利潤』です。

講義は約90分。前半は、「古典」とは何か、「マルクス、エンゲルスはどんな時代の人か?」、あるいは『賃金、価格および利潤』の書かれた背景などの解説。そのうえで、『賃金、価格および利潤』の第1章から第5章は、経済学の理論が分からなくてもすぐに分かるウェストン君のたわごとへの批判で、いろいろおもしろいところあるが今回は割愛しますと断って、講義は第6章に進みました。

まずなにより、不破さんの講義は分かりやすくて、おもしろい。古典というと、難しい、読みにくいと敬遠する向きもありますが、そうしたイメージを一新してくれたのではないでしょうか。それでいて、理論的には、なるほどと唸らされるところがいっぱいあり、私自身、古典の講義、解説というのはこうでなくちゃいけないとつくづく反省させられました。

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『賃金、価格および利潤』第6章を読んでみた

明日から始まる「連続教室」を前に、テキストのマルクス『賃金、価格および利潤』の第6章を読み返してみました。

第5章まではウェストン君のたわごとへの反論で、第6章から本格的な経済学の理論が始まる。これは、従来から言われていることです。

そこでマルクスが最初に提示する問題は、「商品の価値とは何か? それはどのようにして決定されるか?」というもの。そして、以下マルクスの説明が始まるのですが、僕は、この部分を、『資本論』第1部第1章第1節の説明を簡単に繰り返したものだと思って読んでいました。多くの方もそうだろうし、新日本出版社の古典選書版『賃労働と資本/賃金、価格および利潤』の125ページには、わざわざ「以下の叙述については、『資本論』第1巻第1章第1節参照」という訳注までついています ((この訳注が間違っているということではありません。この訳注から、『賃金、価格および利潤』を『資本論』第1章第1節の要約解説だと誤解されるとしたら、それが問題だということが言いたいだけです。誤解のないように、念のため。))。

しかし、つらつら読み返してみると、価値の社会的実体が労働であり、価値の大きさを決めるのは商品に体現された労働の量であることを明らかにした後で、マルクスは、次のような「質問」を取り上げていることに気づきました。

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