トヨタ自動車が、QCサークルの活動に残業代を支払うことを決めました。
QC活動は、事実上、会社側が強制しているにもかかわらず、これまで「従業員の自主的な活動」として、残業代を支払ってきませんでした。しかし、昨年11月、名古屋地裁で、QC活動の時間も「業務」と認定し、元従業員が急死したのは過労死だったとする判決が下され、確定しています。
トヨタ自動車が、QCサークルの活動に残業代を支払うことを決めました。
QC活動は、事実上、会社側が強制しているにもかかわらず、これまで「従業員の自主的な活動」として、残業代を支払ってきませんでした。しかし、昨年11月、名古屋地裁で、QC活動の時間も「業務」と認定し、元従業員が急死したのは過労死だったとする判決が下され、確定しています。
会社で制服に着替える時間も労働時間に含まれる――というのは当たり前の話のはずなのですが、労基署がそれを認めないというのは困ったものです。
私服着替えも労働時間 京王バス運転手、過労死で労災認める(東京新聞)
厚生労働省が、昨年度の過労による「脳・心臓疾患および精神障害等にかかわる労災補償状況」について発表。
依然として日本の労働者の「働かされ過ぎ」状態はひどくなるばかりです。
東京労働局管内の労働基準監督署が、2005年に過労死・過労自殺で労災認定された48人について調べたところ、6割以上が労働時間を自己管理する側だったことが明らかに。
財界や厚生労働省は、「自律的労働時間制度」といって、一定要件を満たした労働者には、残業時間規制をなくし、したがって残業代も払われなくなるという制度を新設しようとしていますが、現場は、そういう「自己管理」には実に不向きであるというのが実態なのです。
『週刊エコノミスト』7月25日号(毎日新聞社)が、「ここまで来た“働かされすぎ” 過労死大国」という、20ページにもわたる大特集を組んでいます。
長時間労働の実態(6月3日に日本労働弁護団が実施した全国一斉ホットラインに寄せられた相談内容)が紹介されていますが、すさまじいものばかりです。
当初、労基署は自殺の原因は「うつ病」のせいとしていました。しかし、「うつ病」になったのは過労ゆえ。1カ月159時間の残業というのは、まったくもって異常事態。それでも労災にならないというのは、とんでもないことです。遺族が労災認定を求めて、現在裁判中ですが、遅くなったとはいえ、国側が判断を変更したのはよいことです。
「過労死自殺」の防止のため、厚労省は、月100時間を超える長時間残業をやっている労働者に医師による心身チェックを企業側に義務づける方針を決めたそうです。これは、「過労死自殺」した人の半数が月100時間以上の残業をしていたという厚労省の調査を踏まえたもの。
こうしたチェックによって「鬱」が発見され、適切な対応がなされればそれにこしたことはありません。しかし問題は、月100時間超などという残業が放置されていることです。チェックするなら、そこのところをチェックし、企業に直ちに改善させるようにすべきでしょう。それを放置したままでは、ノルマに追われた労働者の方が医師に対して「大丈夫です」と答えざるをえない立場に追いこまれるだけ。結局、「医療チェックしていたが、そのときは本人も“大丈夫だ”と言っていた」などというこになって、企業側の責任を軽くすることになりかねません。まず残業時間の上限を法律で決め、「裁量労働制」など長時間残業を野放しにしかねないやり方をきちんと規制すること、そして労基署がもっと日常的に残業時間管理をチェックする体制をつくり、企業側への指導権限を持たせるようにすべきです。