共同通信が、外部識者による「報道と読者」委員会の会議内容にかんする記事を流しています。テーマは、自民党が大勝した総選挙報道について。
配信記事では、同志社大学の浜矩子教授と、弁護士の梓澤和幸氏の発言を紹介していますが、小泉首相の「(キャッチフレーズによる)問題すり替えに加担してほしくない」「末端にいる人の塗炭の苦しみが紙面に出ていない」など、メディアの役割という基本に関わる重要な提起だと思います。
共同通信が、外部識者による「報道と読者」委員会の会議内容にかんする記事を流しています。テーマは、自民党が大勝した総選挙報道について。
配信記事では、同志社大学の浜矩子教授と、弁護士の梓澤和幸氏の発言を紹介していますが、小泉首相の「(キャッチフレーズによる)問題すり替えに加担してほしくない」「末端にいる人の塗炭の苦しみが紙面に出ていない」など、メディアの役割という基本に関わる重要な提起だと思います。
読売新聞のネット世論調査。前回総選挙あるいは前回参院選で民主党に投票した人の34%が今回は自民党に投票。
ま、もともと民主党は浮動層の支持が大きいからね。「支持政党なし」層のなかでも自民党が多数を占めているとの出口調査から、当然、予想された結果。
勝てるかどうか確信がなかったと言ってますが、実際には、絶対に何か根拠になるデータがあったと思いますねぇ。7月の頭には解散を決めたようですが、あのころは、内閣支持率は下がってたんだから。
読売新聞の調査によると、テレビを長時間見る人ほど、総選挙で自民党に投票した率が高い、という結果が出たそうです。
「神奈川新聞」9月13日付に「解散決意は1年前」という記事が載っています。
小泉が与党の了承なしに郵政民営化基本方針を閣議決定し、直後の内閣改造もその方針を踏み絵とするなど「郵政シフト」を強いた昨年9月。国対委員長中川秀直は、対応を協議していた小泉から打ち明けられた。
「法案が否決されたら解散する。誰にも言うなよ」
解散への構えも事前に整えていた。まだ法案が衆院特別委員会で審議されていた6月から7月にかけ、小泉は周辺に「法案が成立するケースの対応は一切考えなくていい」と言い放った。微妙な言い回しだが、「否決―解散」に備えよとの指示だった。
一方、七月五日の衆院本会議での予想以上の反対票続出を経て、小泉サイドは選挙に向けて準備に入っていた。同月末には側近の首相秘書官飯島勲が、環境相小池百合子や上智大教授猪口邦子ら数十人に上るリストを手に、亀井ら反対派の選挙区に擁立する対抗馬の選定作業に着手した。
う〜む、こうやって考えると、まるっきりの仕手戦だなぁ…。
「日経」夕刊の記者座談会から。どこまで本当かは分かりませんが…。
A 六月ごろ、国対委員長の中川秀直に電話で「やろうよ」と言ったらしい。中川は「待ってください」と押しとどめてたとか。
B 中川も「勝てる」とみて方向転換した。郵政法案の参院採決直前、森喜朗に小泉説得を命じられたが、「解散を志向するおれに言っても無理ですよ」と答えてた。
C 財務省のある幹部は春ごろから「官邸が法案修正で全く譲らないのは解散を誘発するためだ」と吹聴していたよ。
「読売新聞」9月13日付の座談会では、宮沢元首相がこんな発言をしています。
――首相にはっきりしたシナリオはあったのか。
宮沢 それはもっと評価しないといけない。今度だって2、3か月のところは読んでやっていると思う。
経済学者の松原隆一郎氏(東大教授)が、今日の「毎日」で、こんなことを書いています。
もともと国民は郵政民営化の中身に関心がない。……この関心のない層が小泉支持に回った。投票率の高さがこのことを示している。
国民にとって今回の選挙が魅力的に映ったのは、郵政民営化の中身というよりも、有権者自らが意志決定に参加できる参加型だったからだ。小泉さんは「郵政改革イエスかノーか」と単純化し、有権者は分かったような気持ちになって、自分たちが決める雰囲気になっていった。
さらに、小泉首相の「小さな政府」論について、松原氏は、こう指摘されています。
小泉さんの政治は市場化を進める方向にある。郵政民営化は誰のために行うのか。小泉さんの市場化は大銀行、大企業、外資のための独占市場主義だ。そうじゃなくて公共財で最低の生活保障をする、より公正な資本主義が必要だ。
小泉「市場化」は大銀行、大企業、外資のため。なるほど、その通りです。
日経新聞社のネット調査によると、公示直前に「民主党支持」とした人の24%が実際には他党に投票。自民党支持でも16%が他党に投票していたことが明らかに。
衆院選ネット調査、内閣支持率54%に上昇・日経世論調査(日経新聞)
民主支持層の24%「他党に投票」 日経世論調査(日経新聞)
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総選挙の結果が明らかになった直後の世論調査があちこちで報じられています。
「読売」の調査では、自民党圧勝「よかった」が49%を占め、内閣支持率も61%にアップした一方で、自民党の獲得議席数については「少ない方がよかった」が56%、強引な手法をとるのではないかと不安視する人が63%を占めています。
内閣支持率61%、過半数が“勝ち過ぎ”…読売調査(読売新聞)
本社世論調査 自民の勝因「小泉首相」58%(朝日新聞)
内閣支持率59%に上昇 衆院選自民大勝39%が歓迎 全国世論調査(中日新聞)
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毎日新聞の出口調査から(9月13日付10面)
●比例代表で主要5党はどこから得票したか
自民党 | 自民支持層 | 民主支持層 | 無党派層 | |
---|---|---|---|---|
今回 | 75% | 5% | 14% | |
前回 | 81% | 1% | 12% | |
民主党 | 自民支持層 | 民主支持層 | 無党派層 | |
今回 | 17% | 52% | 23% | |
前回 | 20% | 44% | 27% |
公明党 | 自民支持層 | 民主支持層 | 公明支持層 | 無党派層 | |
---|---|---|---|---|---|
今回 | 29% | 3% | 48% | 13% | |
前回 | 21% | 3% | 54% | 14% | |
共産党 | 自民支持層 | 民主支持層 | 共産支持層 | 無党派層 | |
今回 | 9% | 7% | 51% | 25% | |
前回 | 8% | 4% | 56% | 24% | |
社民党 | 自民支持層 | 民主支持層 | 社民支持層 | 無党派層 | |
今回 | 13% | 14% | 37% | 27% | |
前回 | 9% | 7% | 49% | 29% |
「毎日」が「勝敗分けたメディア戦」として、こんな記事を書いています。
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新聞記事から、有権者がなぜ自民党に投票したか、あるいは選挙結果を見てどう思っているかなどに関連する記事を拾ってみました。
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トヨタが、愛知・自民党を全面応援。「東京」も「自民躍進に“トヨタ効果”?」の記事を載せているが、「読売」はもう少し詳しい。15の選挙区すべてに部課長クラスを派遣、決起集会に幹部社員1万人を動員、奥田会長自身がグループ企業に出向いて支援を依頼した、等々。
マスコミというほどではありませんが、今日の「日刊ゲンダイ」(13日付=12日発行)の見出しを紹介しておきましょう。
まず両1面ぶち抜きの見出しはこれ。
この国の民主主義は死んだ
もはや何も言うことなし。この選挙結果は狂気の果てだ。
全く情けなかった民主党、これからこの国の暗黒の10年が必ず始まる
で、2?3面に続く記事の中見出しはこれ。
▼岡田民主党は四分五裂で野党は無力化、自民党独裁の最悪事態
▼ヌエ公明党は小泉政権から吹っ飛ばされる
▼自民党に投票した若年層はその悪い報いで酷い目に遭うだろう
▼驕る平家は久しからず、勝ちすぎ小泉自民党を待ち受ける罠
▼郵政民営化が成立しても、12年後の民営化実現という喜劇的事態
▼狂人首相が勝ち誇ってこの国はどんな事になるのか、世の中のお先真っ暗
▼小泉首相は1年後に辞めるというがそれから先はどうなるのか
▼この国の選挙民の政治水準は一体どうなのか
▼本紙としてはもはや何も言うことなし、これから先、生きるのが辛い大多数の庶民とヌレ手でアワの一部サギ集団に二分化されて、アメリカと同じになっていいのか
▼この国の選挙民の政治水準では選挙など何回やっても民主主義は確立されないムダであることが分かった
他方で、「夕刊フジ」では、漫画家のやくみつる氏がこんなコメントを寄せています。
怒りを通り越して無力感でいっぱいだ。……小泉という1人のタレント候補に入れてしまった。「改革」というワンフレーズにコロリとやられ、投じる1票が改革に寄与するように思ってしまったのだろう。政治家は愚直でよく、石部金吉たるべきなのに、まじめなやつより面白いやつが勝つということだ。4年間の信を問うこともできず、こんなことでいいのか。[「夕刊フジ」2005年9月13日付=12日発行]
とりあえず、分けて考えよう。
ということで、少しずつ考えてみたい。
とりあえず、各党の比例ブロックの得票を過去の選挙と比較してみました。
主要5政党のみ、各比例ブロックの得票の合計を、2004年参院比例区得票、2003年総選挙比例ブロック得票合計と比べてみました。今回の総選挙の数字は、選管確定票が分からないので、とりあえずNHKのホームページの総選挙特集のページに載っているものを利用。上段が得票数、下段が得票率です。
2005年総選挙 | 2004年参院選 | 2003年総選挙 | |
---|---|---|---|
自民 | 25,887,798 | 16,797,686 | 20,660,185 |
38.2% | 30.0% | 35.0% | |
民主 | 21,036,425 | 21,137,457 | 22,095,636 |
31.0% | 37.8% | 37.4% | |
公明 | 8,987,620 | 8,621,265 | 8,733,444 |
13.3% | 15.4% | 14.8% | |
共産 | 4,919,187 | 4,362,573 | 4,586,172 |
7.3% | 7.8% | 7.8% | |
社民 | 3,719,522 | 2,990,665 | 3,027,390 |
5.5% | 5.4% | 5.1% | |
投票総数 | 67,811,069 | 55,931,785 | 59,102,827 |
これをみて分かるのは、過去の選挙に比べて、今回の自民党票が大きく増えていること。2004年参院選と比べると、投票率が上がった分、全国で投票総数は1200万票増えていますが、そのうち900万票が自民党に投ぜられています。その限りで、小泉流「郵政」解散作戦は“してやったり”ということになります。
しかし他方で、民主党は議席を大きく減らしたけれども、得票ではそれほど減っていません。共産党、社民党も、若干ですが得票を増やしていることが分かります。
また、自公で衆議院の議席の3分の2以上を占めたと言っても、得票率で言えば自公合わせて51.5%で、5割をわずかに超えただけ。2003年の“小泉ブーム”といわれた総選挙のときでも、自公合わせると49.8%だったのですから、めちゃくちゃ支持が増えたという訳ではありません。このあたりは、やっぱり「小選挙区制」による“マジック”といえます。
もちろん、自民+公明だけで衆議院の3分の2以上を占めたという結果は重大であることは言うまでもありませんが。
作家の高村薫氏が、「朝日新聞」のオピニオンのページで「あなたの怒りが政治動かす」と題して、若者に向かって、こんなことを書かれている。
今回の総選挙に突如出馬した某IT企業の青年社長は、「ぼくのような若者が出馬することで政治への関心が高まるのは、意義のあることだ」と語っている。これは一面の真実であろう。さてしかし、こんなふうに語られる「政治への関心」の正体とは何か。
メディア露出の多い著名人が出馬したからといって高くなるような「政治への関心」でいいのか? 高村薫氏は、そう言いたいのである。
郵政民営化法案が参院で否決され、午後7時、衆議院が解散されました。まあ、数日前から予想されたとおりの事態で、ここ数日の「騒ぎ」も終わってみればそれまでの話です。
しかし、小泉首相が、“受け”や“ポーズ”を含め、あれだけ頑張ったのに、結局、参院否決の事態に立ち至ったと言うことは、4年前の“小泉人気”を思うと、隔世の感があります。問題は、そこまで小泉首相を、ただの“変人”にしてしまったものは何か、です。
僕は、結局、この4年間の小泉「改革」なるものに国民がうんざりし出している、そこに今回の郵政「混乱」の理由があるように思います。内閣支持率70%などという化け物のような数字はもはや望むべくもなく、また、新聞調査によっては50%近い支持率があるとはいっても、その内実たるやすでに空洞化しているというべきでしょう。
それを端的に示しているのが、前に紹介した、「毎日新聞」7月18日付にのった世論調査です(郵政解散をめぐる世論)。