もはや国民生活を下支えする以外に景気回復の道はない

16日に発表された2010年4-6月期GDP。実質成長率は年率換算で0.4%増とプラスだったものの、1-3月期の年率4.4%増から大幅にダウンして衝撃を与えている。

原因は低迷する個人消費。伸び率は0.03%で、実際には個人消費の回復はストップしている。

GDP実質0.4%成長に鈍化 4-6月年率:日本経済新聞
需要先食い、しぼむ個人消費 GDP減速、年0.4%増:朝日新聞

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GDP 年率12.7%の落ち込み

実質GDP成長率の推移(毎日新聞)

これ↑は、「毎日新聞」に載っていたグラフ。サブプライムローン証券化問題に端を発したアメリカの金融危機。にもかかわらず、日本の落ち込みの何と激しいことか!!

要するに、この間の日本経済の「成長」が輸出頼み、外需頼みだったことの反映なのだが、じゃあ、それ以前は輸出で「成長」していたかと言えば、日本の成長率が特に高かった訳でもない。つまり、外需を差し引いて考えれば、日本はむしろ成績が悪かったといえる。

しかし、ともかくこの落ち込みの急激さは前例がない。来月になれば、年末以上の大量解雇「非正規切り」がおこなわれ、日本経済の落ち込みはさらに激しくなる。文字通り「景気の底が抜ける」事態になりそうな状況だ。

GDP大幅減:財政出動、圧力強まる 問われる成長戦略(毎日新聞)
GDP:年率12.7%減、落ち込み深刻 10?12月期(毎日新聞)

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貿易黒字8割減、09年度GDP成長率マイナス2%

12月の輸出が先月比で35%のマイナス、貿易黒字は1年前から8割も減少。もはや”外需頼み”の日本モデルは完全に破綻。日銀の予想でも、09年度のGDP伸び率はマイナス2%に。

貿易統計:先月の輸出35%減 昨年、貿易黒字8割減(毎日新聞)
09年度成長率、過去最悪 日銀見通しマイナス2%に(中日新聞)

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GDPマイナス2.4%に大きく落ち込む

13日に内閣府が発表したGDP速報値が、実質で前期比マイナス0.6%、年率換算でマイナス2.4%と落ち込んでいて、大きな衝撃を呼んでいる。

これまで日本の景気は“外需頼み”と言われてきたが、その外需がマイナス2.3%(実質)と大きくへこんだうえに、ようやく回復しかけていた家計消費もマイナス0.7%(帰属家賃を除く実質家計最終消費支出)と落ち込み、日本経済は八方ふさがりの状態になってしまった。“外需頼み”経済の脆さが露わになった形だ。

見逃せないのは、GDPデフレーターが前年同期比1.6%と再び下落幅を拡大していること。ふたたびデフレが忍び寄りつつあるのかも知れない。

4-6月実質GDP、年率マイナス2.4% 1年ぶり減(NIKKEI NET)

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GDPが年率4.8%伸びでも…

15日に発表されたGDP速報値で、年率換算で実質4.8%の伸びをしめしたというニュース。

株が上がったり、円高になったり市場ははしゃいでいますが、新聞の論説はおおむね低調。なぜそうなるのか? そこんところを考える必要がありそうです。

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7-9月期実質GDP、個人消費はマイナスに

7-9月期の実質GDPの数値が発表されました。前期比0.5%増、年率換算2.0%増ということですが、民間設備投資2.9%増に対して、個人消費は前期比0.7%のマイナス。前期はプラス0.5%だったから1.2%ものダウン。

個人消費が順調に伸びるようでないと、景気も本格的な回復とは言えないでしょう。

7?9月期実質GDP、年率換算2.0%増(NIKKEI NET)

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本当に国内消費は堅調なのか?

今年1?3月期のGDPの2次速報値が発表され、実質成長率が年率換算で3.1%へと1.2ポイント上向きに修正されました。これは主には民間設備投資が3.1%増(速報値1.4%増)と大きく伸びたことによるものですが、個人消費も0.5%増(速報値0.4%増)と「堅調」に推移しているということになります。

しかし他方で、5月の消費者の購買意欲を示す消費者態度指数は0.2ポイント減少で、50を割り込み、「横ばい」に。4月の家計消費調査でも、勤労者世帯の消費支出は4カ月連続で前年比マイナスになっていました。また、企業物価指数(むかしの卸売物価指数)は、原油高などを反映して、前年同月比で3.3%と、25年ぶりの大幅上昇。これらをみていると、個人消費は「堅調」とは言ってられない事態です。

GDP年率3.1%に上方修正 1?3月期(朝日新聞)
1?3月期実質GDP改定値、年率3.1%増―速報値は1.9%増(NIKKEI NET)
5月の消費者態度指数50%割れ、基調「横ばい」に下方修正(日経新聞)
5月の企業物価3.3%上昇・25年ぶり伸び率(日経新聞)
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GDP、年率5.3%増

今朝発表された、今年1-3月期のGDP(国内総生産)速報値で、実質成長率が年率換算で5.3%、2期連続のプラス成長に。

とはいえ、各紙論評では、「消費の本格回復はまだ見通せない」(日経)など、依然として渋い論評が並んでいます。なぜそうなるのか、そこにいまの日本経済の問題を見ることができると思います。

実質 名目
GDP 1.3 0.6
個人消費 1.2 0.7
住宅投資 ▲1.4 ▲1.4
設備投資 2.0 1.1
政府消費 0.8 ▲0.3
公共投資 ▲1.7 ▲2.3
輸出 ▲0.2 ▲2.3
輸入 0.5 ▲0.8

1-3月期の実質GDP、年率5.3%増(日経新聞)
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問題は個人消費の回復なのだ

GDPが3期連続で実質マイナスになったということで、各紙が一斉に報道。マイナスの原因として、各紙は、「個人消費の減速が響いた」(日経)、「10?12月期のマイナス成長は、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.3%減だったのが主因」(毎日)と指摘しています。

先日、衆院予算委員会で日本共産党の志位委員長が、企業収益は回復しても国民の所得が向上していない問題を指摘していましたが、各紙とも、この問題を指摘しています。

毎日新聞
政府はこれまで、「企業の収益回復で所得が上向き、消費が改善される」という自律回復のシナリオを描いていた。ところが企業の利益は労働者に分配されず、企業内部にたまったまま。内閣府の消費動向調査では、雇用不安が薄れたことを受けて堅調だった消費者マインドが、昨夏をピークに悪化する兆しを見せている。
読売新聞
特に、景気回復のカギを握る個人消費が、2・四半期連続でマイナス成長となり、マイナス幅も拡大したのは気がかりだ。企業業績が上がっても、企業は正社員の雇用をパートに切り替えるなどして人件費抑制の動きを強め、家計の所得増にはつながっていないためだ。GDP統計でも、10?12月期の雇用者報酬(名目)は前年同期比0.4%増と、6・四半期ぶりのプラスとなったものの、公務員の賞与の支給方法の変更に伴う特殊要因を除くと0.1%程度の増加となり、ほぼ横ばいだ。
 今後も、定率減税縮小や年金保険料の上昇などの負担の増加が、消費者心理に影響を与え、消費を抑制する懸念が指摘されている。
東京新聞
景気回復を先導してきた個人消費が失速したのも気がかりだ。今後、定率減税の縮減や社会保障制度の見直しによる負担増が、消費者心理にマイナスの影響を与える恐れもある。
水野和夫・三菱証券チーフエコノミスト(日経)
所得環境の悪化により個人消費が景気全体の足を引っ張る構図となった。……個人消費の悪化が目立つ。デジタル家電などの「アテネ五輪特需」の反動はあるが、主因は所得の伸びの鈍化だ。中小企業の社員の賃金が伸びず、全体の増加を阻んでいる面がある。
朝日新聞
最大の焦点は個人消費が復調するかどうかだ。10?12月期の落ち込みは自然災害や暖冬など一時的要因による下押しも大きく、いずれ堅調さを取り戻すとの見方も多い。だが消費の裏付けとなる所得は、下げ止まり傾向だが、明確に増勢に転じているわけではない。……再び景気拡大を展望するためには、企業収益の好調が続くうちに家計部門へのバトンタッチができるかどうかがかぎになる。

竹中平蔵竹中経済財政・郵政民営化担当大臣のように、「景気はやや長い踊り場になっているが、大局的に見ると回復局面が続いている」(NHKニュース)と強弁している場合ではないように思うのですが…。

国内総生産:年率0.5%減、3四半期連続でマイナスに(毎日新聞)
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景気回復は早くも低調に

内閣府が4-6月期のGDPの伸び率を発表。年率換算6.6%だった1-3月期に比べ、年率換算1.7%に低下。とくに国内需要は前期の1.3%から0.1%へ失速しました。政府は、それでも伸びていることには変わりないからと、「景気は回復基調」と強気を崩しませんが、国民の大多数を占める雇用者賃金の下落が続いたままでの「景気回復」の危うさが早くも実証された形になりました。

4-6月期の実質GDPは0.4%増、年率1.7%増 (朝日新聞)
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1-3月のGDP実質成長率5.6%

1-3月のGDP成長率が発表されました。年率換算で実質5.6%、名目3.2%。四半期では実質1.4%、名目0.8%ということです。内訳は、以下の通り。

実質 名目
個人消費 1.0% 0.7%
住宅投資 0.6% 1.3%
設備投資 2.4% 1.8%
政府消費 0.2% ▲0.7%
公共投資 ▲3.4% ▲3.1%
輸出 3.9% 3.1%
輸入 1.9% 2.1%

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