西崎文子さんの『アメリカ外交とは何か――歴史の中の自画像』(岩波新書、2004年7月刊、本体780円)を読み終えました。アメリカという国の、独立以来の、とくに第5代ジェイムス・モンロー大統領がとなえた「モンロー・ドクトリン」いらいの外交のあり方がコンパクトにまとめられています。アメリカの孤立主義と理解されている「モンロー・ドクトリン」が、実は「西半球」(南北アメリカ大陸)はアメリカの勢力範囲だとして、ヨーロッパの干渉を拒絶するイデオロギーだったということがよく分かります。
また、「自由」の理想を世界中に広めるという“使命感”に燃えて、結局、武力をもちいて「自由」を押しつけるというアメリカ外交の逆説――。著者は、モンロー主義に始まり、第1次世界大戦のときのウィルソン大統領の外交政策、第2次世界大戦後の「トルーマン・ドクトリン」、さらにベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争という歴史をたどりながら、アメリカ外交の分裂・矛盾を明かしてゆきます。
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