こないだから、関口裕子さんの『日本古代家族史の研究』(上下、塙書房、2004年2月刊)を読んでいます。上下合わせて1000ページ超、上下各12000円のど分厚い学術書です。
ようやく上巻の140ページほど読んだだけで、まだ全貌どころかその片鱗をうかがうところにさえ至っていません。戦前、戦後の家族史・共同体史(論)を研究史的に検討した序論部分なのですが、研究史批判の基礎となる実証的部分は、その後の部分に出てくるので、なかなか関口さんの積極的な論の展開がみえないままで、苦労しています。(^^;)
ところで、
「あとがき」によると、古代史・古代女性史研究者の関口裕子さんは、本書の原稿をまとめておられた2001年6月に突然体調を崩され、7月にはいると重篤な状態になり、そのまま翌年春に亡くなられたとのこと。そこで残された原稿(まだ完成原稿とは言えない状態の)を、友人や同僚研究者が整理して、ようやく今年2月に刊行されたということです。
偶然とはいえ、溪内謙氏の『上からの革命』、永原慶二先生の『苧麻・絹・木綿の社会史』など、このところ、文字通り研究者の「生命」をかけた著書をあいついで読むこととなり、あらためて研究にむかう姿勢を考えさせられます。