実質賃金率の決定メカニズム 置塩信雄『蓄積論(第2版)』(2)

実質賃金率決定メカニズムについて(続き)。

  • 蓄積過程研究のためには、実質賃金率の変動過程に立ち入らなくてはならない。実質賃金率の変動について正しい理解を欠いていることが、蓄積過程、景気循環を論じる上での誤りを生み出している。(p.69)

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実質賃金率について 置塩信雄『蓄積論(第2版)』(1)

実質賃金率はいかに決定されるか。

  • マルクスも古典派も、労働力市場の需給の緩急によって実質賃金率は下落、上昇するという見解をとっている。しかし、これは承認しがたい。(p.57)
  • 実質賃金率は貨幣賃金率とは別の概念で、労働1単位当たり賃金(貨幣賃金率)で購入できる消費財の量で定義される。(p.59)
  • しかし、労働力市場での需給関係によって影響されるのは、さしずめ貨幣賃金率であって、実質賃金率ではない。(p.59)
  • 失業がかなり発生し、貨幣賃金率が下落をしている場合、消費財か価格がどのような運動をおこなうかを知ることなしには、実質賃金率の変化方向をいうことはできない。一般的過剰生産による生産の全般的収縮による場合、消費財部門において過剰生産=超過供給があり、消費財価格は下落する。この段階での実質賃金率の水準の運動は、貨幣賃金率と消費財価格の下落率の相対的関係によって決まる。この場合、貨幣賃金率の下落率より、消費財価格の下落率の方が大であり、したがって、実質賃金率が上昇する場合が十分あり得る。(p.60)

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