岩波新書の「シリーズ日本近現代史」の2冊目。牧原憲夫氏の『民権と憲法』を読み終えました。
1877年の西南戦争終結から、1889年の「大日本帝国憲法」発布までの時期が対象になっています。牧原氏が「あとがき」に書かれているように、この時代は、どんな工夫をしてみても、自由民権運動が高揚しながら、結局、敗北し、帝国憲法体制ができあがるという「大きなストーリー」は動かしようがありません。しかし、牧原氏は、民権派と政府の対抗という図式に、「民衆」という「独自の存在」を加え、「三極の対抗」としてこの時代を描き、民権派が「国権」にからめとられていく側面を民権運動の敗北というふうに一面的に見ず、民権派の複雑な諸側面を分かりやすく描くことに成功していると思いました。