やくぺん先生こと渡辺和氏がブログで紹介していますが、「朝日新聞」3月16日の夕刊に載った「キレる客対策、業界本腰 クラシック演奏会でトラブル急増」という記事をめぐるあれこれ。
やくぺん先生うわの空:あんさんキレてるなら自分で演奏会作ったらどーや
キレる客対策、業界本腰 クラシック演奏会でトラブル急増(朝日新聞)
僕は、「切れる」ことはありませんが、やっぱり無神経な雑音には厳しい方。ここでも何度か書きましたが、携帯や財布、バッグなどにくっつけた鈴の音は、何とかしてほしいですね。だいたい、演奏会の会場内に、鈴のような音のするものをつけて入る、という発想が理解できません。せめて鈴のついたものはクロークに預けるとか、椅子の下に置いて演奏中は触れないようにするとか、そういうことが最低限のマナーになってほしいと思っています。
入り口で配るコンサートのチラシ。あれも、できれば、お帰りの時に配ってほしいのですが、それが無理だとしたら、やっぱり演奏中は椅子の下に置くのが一番です ((チラシを演奏中に見るのは論外。そうでなくても、持って帰るのが重いためか、休憩時間中に必死になって、必要なチラシといらないチラシを分別しているお客さんがいますが、せっかくの芸術的な時間をそんなことに費やして、もったいないなぁと思ってしまいます。))。ひざの上に載せていると、落としたり、姿勢を変えたときに音がしたりすることは避けられません。
クロークといえば、みなさん、クロークをあまり利用されませんね。しかし、以前、新日本フィルのコンサート(すみだトリフォニー)であったことですが、長ネギのささったスーパーのレジ袋を下げて会場に入ってきたお客さんがいましたが、やっぱり何とかしてほしかった ((主催者かホール側で、クロークに預けるように促してほしかった。))。
あと、バイオリンやらサックスのケースを抱えて席に座る人。音大生かなにかなのだろうと思いますが、はっきり言って邪魔です。冬場には、分厚いダウンコートをだきかかえている人もいますが、そんな荷物をかかえていたんじゃあ演奏に集中できないだろうにと、人ごとながら気になってしまいます。
僕は、いつも、演奏会では荷物は椅子の下につっこんでいます(椅子の下に収まりきらないような荷物はクロークへ預けます)。荷物を手に持っていなければ余計な音をたてる心配もないし、だいいち姿勢が楽で、音楽に集中できます。いいことずくめだと思うのですが、なぜか周りでやっている人はほとんどいません。
朝日の記事は、「キレる」「キレない」で、東京・関西の文化論を論じています。やくぺん先生は、それがいたくご不満だったようですが、僕は、「キレる」というのは、やっぱり東京らしい現象だと思います。
東京の人は、“私は、回りの雰囲気をきちんと察していますよ”というのが格好いいと思っているところがあって、だから、たとえば鈴の音をちりちりさせるようなお客さんがいても、黙ったまま(たまに、ちらちら視線などを向けるだけで)、“いい加減、雰囲気を察しろよ”と勝手にフラストレーションをため、挙げ句の果てに突然キレるということになるのではないでしょうか。
ともかく、声をかけたり、注意したりするのは、了簡が狭い、野暮だと思っているのか、なかなかやろうとしません。以前、サントリーホールで、演奏中にビ〜〜〜っという音を響かせて鼻をかんだオバサンがいましたが、このときも、周りがそれを注意したようすがありませんでした。
でも、こういうときは、すかさず声をかけて注意を促すというのが、やっぱり大事ではないでしょうか。
僕は、たとえば隣のお客さんが寝て軽くいびきをかいたり、寝息を立てたりしたら、ちょんちょんとつついて注意を促します。手や足で拍子をとる人にも「やめてもらえませんか」と声をかけます。傘などを立てかけている人がいたら、演奏が始まる前に、「演奏中に倒れることがあるから、横にして足下に置いておいた方がいいですよ」と声をかけます。
クラシックの演奏会だからといって堅苦しくかしこまって聴く必要はないと思いますが、しかし、演奏会のマナーというものは、やはり、そんなふうにして客同士でつくっていくものだと思うのですが、どうでしょうか。
主催者側にも、携帯電話やアラーム時計の注意だけでなく、傘、チラシ、鈴、飴などについてもお客さんの注意を喚起する、荷物についてもクロークの利用を呼びかけるなど、もっと積極的に動いてほしいと思っていますが、これはなかなか聞いてもらえそうにありません。
キレる客対策、業界本腰 クラシック演奏会でトラブル急増
[asahi.com 2007年03月16日]クラシックの演奏会で最近、観客同士のトラブルが相次ぎ、主催者らを悩ませている。人気マンガ「のだめカンタービレ」などの影響で、新規客が増えたのが一因のようだが、かつては問題にならなかったようなささいなことで、いらだちを暴発させる客が目立つという。音楽業界も対策に乗り出した。
◆途中入場・チラシ制限も
「携帯電話のアクセサリーがうるさい」。昨年、都内の大ホールで、30代とおぼしき男性が若い女性の服をひっぱり、ロビーに引きずり出した。仲裁に入った主催者がその携帯を見せてもらうと、ちいさな鈴がひとつついていただけ――。
演奏会の主催者によるとこうしたトラブルが目立ってきたのは半年ほど前から。きっかけになるのは演奏会のチラシの束やパンフレットをめくる音、せきばらいや呼吸音、体臭などなど。休憩時間に「迷惑だから退場させろ」と主催者に詰め寄ったり、終演後に口論を始めたりする人が増えたという。激高している客は、落ち着かせるためまず別室へ、との原則は、今や多くの主催者にとって常識になった。
グループで訪れる若い観客を、主催者は「のだめ軍団」と呼んで警戒する。彼らが一方的に悪いわけではないが、クレームをつけられ、トラブルに発展することがあまりにも多いからだ。高齢者が“標的”になる場合も多いという。◆音や行動に敏感
特定のクレーマーや、マナーに無神経な客は昔からいたが、最近の特徴はごく普通にみえるクラシック好きの常連客が、周囲の音や行動に過敏に反応し、突如キレる客に変貌(へんぼう)する点だ。
「クラシック業界には、得意客を大切にする老舗(しにせ)旅館的な空気がある。従来のファンが、気付かないうちに、他者に自分の『聴き方』を強要している面もあるのかも」と新日本フィルハーモニー交響楽団の桑原浩事務局長は語る。
精神科医の春日武彦さんは「ノイズを完全に遮断する高性能ヘッドホンの登場など、今は『公』の空間にいても『私』の空間と知覚することが多くなった。公共空間において五感が妙に潔癖になり、自分の空間を突然侵されることへの不安が強くなっている。無菌室のような音楽ホールでは、特に感じやすいのではないか」と分析する。◆「ガス抜き」検討
主催者やオーケストラ側も対応に苦慮している。新規客もシルバー世代も、これからのクラシック界を支える大事な存在。トラブルのせいで演奏会から足が遠のく事態は避けたい。一方で、昔からの固定客も大切にしたい。とはいえ、注意事項やアナウンスが増えると、雰囲気が堅苦しくなる……と試行錯誤が続く。
東京フィルハーモニー交響楽団では昨年から、クレームの原因になることの多い、曲の途中での入場や入り口でのチラシ配布をやめた。松田亜有子渉外部長は「賛否はあると思うが、“音楽に集中してもらうことを東京フィルは優先する”と意思表示することが大切だと考えた」と語る。
大手マネジメントのジャパン・アーツは04年から、一般のファンの意見をもとにマナーブックを作成し、公演で配っているが、最近のトラブル増加を受け、改訂を検討中だ。
東京ニューシティ管弦楽団は4月から、着席の際の「お願い」を記した紙をプログラムに挟む。「『マナー』を押しつけるのではなく、クラシックならではの深みを味わってもらうため」と作田忠司事務局長。客席の一角に、少々の音を気にせず聴衆が気楽に振る舞える「自由席スペース」も設ける予定だ。
日本オーケストラ連盟は今月、この問題で日本クラシック音楽事業協会と初の意見交換会を開いた。今後も心理学者を招くなど、様々な角度から勉強会をするという。「リタイアした団員に『音楽ソムリエ』としてロビーに立たせ、聴衆との交流をはかってもらうなど、ガス抜きの方法を真剣に考えていきたい」と出口修平事務局次長は語る。
ちなみに関西からは、こんな「キレ客」にともなうトラブルはあまりきこえてこない。「何か問題があれば客同士が『おい、やめえや』と注意しあうし、さばさばしているから不快感も後にひかない。主催者を巻き込んでのトラブルは、ほとんど聞かない」(大阪フィルハーモニー交響楽団事務局)とか。
コンサートは特別な時間の提供を期待していくのですから、聴きに行く側にもそれなりの緊張感があってもいいと思うのですけど。
いつから貼ってあったのか、最近、ホールに飲食物を持ち込まないでくださいの貼紙がしてあるのに気がつきました。何か事件があったのでしょうか?(笑)
winter-cosmosさん、こんばんは。
コンサートはあらたまった気持ちで、というのがなくなってきたのは、部屋でCD聴きながら、通勤中にiPodで聴きながら…という「ながら」習慣のせいでしょうか。最近は、コンサート会場でも、演奏中に、チラシを眺めたり、プログラムの関係ないところを読んだりしているお客さんをよくみかけます。
飲み物禁止でいうと、サントリーホールでも会場内でペットボトルでお茶を飲んでいる人がいます。ペットボトルは、かばんの中に入れてしまえばどこでも持ち込めるので、本当に困ったもんです。