6月から住民税が引き上げられて、各地で驚きや怒りの声が上がっていますが、これは、自民党・公明党が2005年、2006年の税制改正で決めた定率減税の廃止のせい。しかも、実はこの定率減税の廃止は、公明党が最初に言い出したことだったのです。
ということで、今週の「週刊新潮」(6/28号)に掲載された記事です。
皆さん! 定率減税「全廃」は公明党のおかげです
[週刊新潮2007年6月28日号]小渕政権下、99年度から実施されてきた定率減税。当初は「恒久的な減税」と銘打っていたものだが、小渕総理が亡くなってしまったこともあるのだろうか、昨年に半減となり、今年の6月で全廃される。
「所得税の20%(上限25万円)と個人住民税の15%(同4万円)を減税する制度で、重税感のあった中間所得者層に焦点を当てたもの。全廃とはすなわち増税と同じことですから、特に年収1000万円程度の納税者の家計には大きな打撃となるでしょう」(城西大学教授の霧島和孝氏)
“恒久的”だったはずの定率減税がなぜ全廃されてしまったのかといえば、基礎年金の国庫負担分を3分の1から2分の1に引き上げるための財源がなかったからなのだが、それなら消費税を上げればいい。それができなかった小泉潤一郎率いる自民党ももちろん問題だが、そんな中、「全廃」を推し進めたのが公明党だった。
「公明党の03年マニフェストには、定率減税の全廃が高らかに謳いあげてある。そして、自公政権は05年、06年の税制改革で定率減税の半減、全廃をそれぞれ決定したのです」(政治部デスク)
なぜ、公明党は定率減税全廃に積極的だったのか。
「定率減税は中間所得者向けの減税策で、公明党の支持者にとっては恩恵が少ない制度。であるがゆえに、公明党は定率減税導入と同時に、“転化の大愚作”といわれた地域振興券を実現させ、低所得者層へのサービスを行ったほど。つまり定率減税は彼らの支持者にはあまり関係のなかったものなので、あっさり全廃にしたのでしょう」(同)
公明党広報部は、
「どの政党も具体的な財源を示さない無責任な態度に終始した中、定率減税の見直し等を提示しました」
と言うが、年間最大で29万円減税の全廃だ。中間所得者層の恨みは深い。その恨みは参院選で晴らすしかないか。
年金財源として消費税増税をいうべきだったという意見には賛成できませんが、定率減税廃止を主導したのが公明党だというのは週刊新潮の言うとおり。
そして、公明党が「増税戦犯」だ、と最初に報道した東京新聞の記事(2004年12月16日付)は↓こちら。
スコープ 2004政局
定率減税協議検証 蜜月自公に一瞬、亀裂
公明“増税戦犯”恐れ「白紙に」/自民「言いだしたのはどっち!」
[東京新聞 2004年12月16日付朝刊 2面]十五日にまとまった二〇〇五年度の与党税制改正大綱。自民、公明両党の協議が最も難航したのは、定率減税の見直しだった。自民党が縮小を迫り、公明が懸念を示すという昨年とは攻守を変えた論戦は、土壇場で紛糾。激論は十四日夜、一時は定率減税の見直しそのものをやめるという、両党ともに求めていない結論に決まりかけた。最終的には自民党の主張通り、〇五年度に減税額を半減させることで折り合ったが、連立を組んでから五年間、蜜月関係を誇ってきた両党は一瞬とはいえ、経験したことのない“危険水域”を味わった。(与党取材班)
十四日午後五時半から始まった与党税制協議会。これまでの協議で、自民党は定率減税の半減を提案し、公明党は縮減幅の緩和を求めていた。
協議が始まると、自民党の津島雄二税調会長が言い放つ。
「半減させるか、まったくやらないか。オール・オア・ナッシングだ」
縮減幅を四割まで下げる条件闘争をするつもりでいた公明党は、出はなをくじかれ、協議中断を求めるしかなかった。
公明党の坂口力税調会長らは議員会館にこもり、神崎武法代表ら幹部と電話で対策を練った。
定率減税の見直しは、昨秋の衆院選で公明党がマニフェスト(政権公約)の目玉に掲げた。それだけに無責任なことは言えない。かといって、景気の先行きが不透明な中、増税の「戦犯」にされては来夏の都議選を戦えない。
「公約」と「都議選」のジレンマで悩んだ末、公明党は「都議選」を優先した。
午後八時すぎに再開した協議会。「そろそろまとまるよ」と自信に満ちて席に着いた自民党のメンバーは、公明党から「定率減税の見直しはやらない」との結論を聞き、仰天した。
「許さない。もともと公明党が言いだした話だろう」。外出から戻った自民党の片山虎之助参院幹事長は、机をたたきながらまくし立てた。
これは、自民党メンバーの誰もが思っていた本音だった。会場は重苦しい空気が漂い、議論は完全に行き詰まった。
このまま決裂すれば、公明党が協議をぶちこわしたと自民党から宣伝されるだろう。それは公明党にとって、増税の戦犯となるよりも悪い展開。
苦悩した坂口氏は、竹中平蔵経済財政・郵政民営化担当相に、定率減税見直しが景気へ与える影響を聞くよう提案。自民党議員でもある竹中氏に見解を求めれば、自民党寄りの発言をすることは目に見えている。それを承知で提案したのは、この段階で、自民党案を受け入れるハラを固めていたことを意味する。
竹中氏は、待ちかまえていたかのように現れ、予想通りに「〇五年度は税や年金保険料の負担増を甘受せねばならない範囲だ」と説明。事実上、ゲームは終わった。
再休憩を挟んで開かれた協議では、景気の動向を見ながら来年末に再度見直すという規定を盛り込むことなどを条件に、「半減」が決まった。
協議が終わった後、公明党メンバーの一人は「うちが言い出しっぺだから、そこを攻められたらどうしようもない」と言って、力なく笑った。
十五日、公明党は税調総会を開き、前夜の決定を了承した。定率減税に関する意見はほとんど出なかったという。
定率減税は公明党の支持層には恩恵が少ないということは、公明党の支持層に中間所得層が少ないと言うことでしょうか?
一概には言えないと思います。そもそも公明党の支持層は所得がすごく高いのか低いのかどちらなのでしょうか?
マヤノTOPさん
マスコミでは、公明党と共産党の支持層はいわゆる低所得層だとされていますが、本当にそうなのかどうかは分かりません。(^_^;)