2007年版の青少年白書が、ようやくインターネットでも読めるようになりました。
で、「青少年の就業状態」について、白書はこう指摘しています。
青少年について、正規の職員・従業員以外の雇用者の比率を昭和57年と平成14年で比較すると15?19歳では19.1%から72.5%に、,20?24歳では11.5%から40.8%に急増している。
しかし、なぜこんなことになったのか、その原因については、なんの分析も指摘もありません。
「フリーター」についても、「平成16年は214万人、平成17年は201万人、平成18年は187万人と3年連続で減少している」と指摘するのみ。しかし、そもそも「フリーター」の統計上の定義が「年齢は15?34歳と限定し」となっていますが、就職氷河期に就職できなかった人の中には、そろそろ34歳を超える人も出始めているので、言ってみれば自動的に「フリーター」は減って当然。
むしろ問題は、景気回復が言われるにもかかわらず、そうした「取り残され世代」が放置されていること。白書では、その問題を見事に避けてとおっていますが、青少年失業率の推移のグラフを見たとき、全体的に失業率が低下しているなかで、たとえば20?24歳の失業率が2003年からの3年間に9.8%→7.7%と低下しているのに対して、25?29歳の失業率が7.0%→6.0%とわずかしか低下していないことが、それを裏付けているように思います。
あともう1つ、深刻だなぁと思ったのは、初婚年齢がどんどん高くなっていること。2006年にはついに、男性が30.0歳、女性も28.2歳と過去最高になっています。いわゆる「できちゃった婚」で、18歳や19歳で結婚するカップルが増えているのに、この数字です。
で、前にも書いたことですが、2007年版青少年白書の目玉「特集 キャリア教育等の時代へ?自分でつかもう自分の人生?」で、青少年の現状について、こんなふうに書いています。
このように、社会的な自立を果たしていくことが困難な状況にある若者が多く存在している状況は、社会全体にとっても健全な状態とはいえず、若者が自らの個性や適性を自覚し、主体的に進路を選択し、社会的自立を果たしていく力を身に付けるキャリア教育等の必要性がクローズアップされています。
しかし、ここにもあるように、フリーターが増え、離職率が高くなっていることを、若者の主体性の問題にして帰しているだけ。
で、「キャリア教育」が必要だといいますが、「キャリア教育」とは、「『望ましい職業観・勤労観や職業に関する知識・技能を身に付けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる』教育」のこと。つまり、フリーターになったり、すぐに離職したりするのは、若者が「望ましい職業観・勤労観」を身につけていないから、「主体的に進路を選択する能力・態度」が身についていないから、ということです。
これは、フリーターになっている若者にむかって、「君気味が悪いんだ」と言っているのと同じです。政府がこういう姿勢でいる限り、青年の雇用問題は解決するはずがありません。
折にふれて読ませていただいています。
最後のところの「気味が悪いんだ」は「君が悪いんだ」ですよね?
「気味」でもそれなりに話は通じてしまいそうではありますが。
斉藤さん、初めまして。
ご指摘ありがとうございます。
パソコンの変換ミスです。スミマセンでした。