新宿K’s cinemaで、張藝謀(チャン・イーモー)監督の初監督作品「紅いコーリャン」(1987年)を見てきました。もう20年も前の作品、空いてるだろうと高をくくっていたら、84席しかない映画館で受付番号74番…。ほんといっぱいのお客さんでした。(今年10本目)
映画については、あらためて説明の必要もないかも知れませんが、いちおう…。
1920年代の中国。貧しい農民の家に育った18歳のチアウル(コン・リー)は、ロバ1頭と引き換えに、親子ほど年の離れた男の許へ嫁ぐことに。嫁入りの日、チアウルの乗った輿がコーリャン畑の中で襲われるが、ユイ(チアン・ウェン)がとっさにチアウルを助ける。これが2人の劇的な出会いとなる。
チアウルは、嫁いだ直後に夫は行方不明となり、住み込みの羅漢などの協力をえて酒造りを続ける。そこにユイが現われ、2人の間に子どもが生まれる。しかし子どもが9歳になったとき、村に日本軍が現われる…。
映画は、冒頭のシーンから、すでに「紅」の色が鮮やか。さらに、輿に乗ったコーン・リーの艶めかしいこと。(^_^;)
原作は莫言の小説『紅いコーリャン』。原作を読んだときから、どうしても映画が見たかったのですが、原作とはだいぶイメージが違いました。とくに後半の日本軍が現われてからの展開は、大きく違っていました。
原作でも日本軍との戦闘の場面が登場しますが、原作の方は、そういう事件も含みつつ、それさえも“1つのエピソード”にしてしまうような大きなスケールで時間が流れていく、といった感じなのですが、映画の方は展開が急。それだけ、この部分の展開については、いろんな感想があるようです。
しかし、コーリャン酒の赤と、痩せた大地の広がった景色、それに猥雑さをふくみつつ、生き抜いていく庶民のたくましさが印象に残りました。
ちなみに、この作品は、自分の祖父と祖母の話として語るナレーションで始まります。「初恋の来た道」でも、同じ手法がとられています。こちらは、原題が「我的父親母親」で、自分の父親、母親の体験として語られています。祖父・祖母は日中戦争という、父・母は文化大革命というつらい経験をへて、今日の我々があるんだ、そんな思いのこもった作品だと思います。
【作品情報】
題名:紅いコーリャン/原題:Red Sorghum 紅高梁/監督:張藝謀(チャン・イーモウ)/脚本:陳剣雨(チェン・チェンユイ)、朱偉(チュー・ウェイ)、莫言(モー・イエン)/撮影:顧長衛(クー・チャンウェイ)/キャスト:鞏俐(コン・リー)、姜文(チアン・ウェン)、勝汝駿(トン・ルーチェン)/製作:1987年、中国
GAKUさん、こんばんは。
私は、「蟻の兵隊」の監督池谷薫の「延安の娘」を観に行く予定でしたが、行けませんでした。残念。
つるつるさん、お久しぶりです。
実をいうと、「紅いコーリャン」をやっているのに気づいたのは、その前日でした。(^_^;)
「思い立ったが吉日」。見に行こうと思ったら、万難を排して初志貫徹あるのみ…ですね。