IMFが、サブプライムローン問題での世界の金融機関の損失が9450億ドル(約96兆円)にのぼっていることが明らかに。
金融機関損失96兆円に サブプライム問題でIMF報告(中日新聞)
金融機関損失96兆円に サブプライム問題でIMF報告
[中日新聞 2008年4月9日 03時35分]【ワシントン=古川雅和】国際通貨基金(IMF)は8日、世界金融安定報告を発表。米国の信用力の低い人向け住宅ローン(サブプライムローン)問題による世界的な金融市場の混乱で、世界の金融機関の損失が約9450億ドル(約96兆3千億円)に達するとの試算を示した。世界経済の下振れリスクを回避するため、各国金融当局に公的資金の活用を含む対応を求めた。
損失額は、昨年9月に発表した世界金融安定報告の試算(2000億ドル)の約5倍に膨らんだ。ワシントンで11日に開かれる先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は同報告を受け、金融安定策を議論する。
損失の試算では、米住宅価格の下落とローンの焦げ付き増加で、住宅ローンと関連証券だけで損失は最大5650億ドルになると予測。これに商業用不動産や消費者金融などを組み込んだ金融商品の損失を含めた。
IMFは、金融システムの危機まで影響が拡大した原因として、銀行やモノライン(金融保証専門会社)などの関係者が、取引の規模拡大で起きるリスクを「見誤っていた」ことなどを挙げた。
混乱沈静化には大手金融機関が「多少のコスト高もいとわず増資を行い、中期的な資金を確保すること」が最重要と分析。欧米金融機関が増資を進めているが、資本基盤を回復するには「今以上の資本注入が必要」と指摘した。
当面は、先進国の金融システムの不透明感を払しょくすることを優先すべきだとし、公共財的な性格が強く民間部門だけでは対応できないものについては公的部門の関与が必要と明記した。
ただ「不良資産の投げ売りが実際に回避された成功例に学ぶことも有用」と記載。日本の公的資金投入の実例を参考にすることも一つの手と示唆した。
「日経新聞」では、損失の内訳が載っていたので、それも貼り付けておきます。
金融機関 損失97兆円に サブプライム問題が直撃/IMFが推計、今後2年で
[日経新聞 2008年4月9日]国際通貨基金(IMF)は8日発表した「世界金融安定性報告」で米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による世界の金融機関の損失が約9450億ドル(約97兆円)にのぼると推計した。同報告は公的関与の必要性を指摘。11日にワシントンで開かれる7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は同報告をたたき台に金融安定化を議論する。
昨年10月の前回報告では金融機関のサブプライム関連の損失を2400億ドルと推計したが、その後の住宅価格の一段の下落に加え、試算の対象を商業不動産担保融資などに広げたため、損失額が大きく膨らんだ。今回はサブプライム問題が表面化した昨年から、今後2年間に生じる可能性のある潜在的な損失を3月時点で推計した。
報告は国際金融市場の現状を「リスクは依然高水準」と指摘。金融機関が住宅ローンと関連証券で被る損失は約5650億ドルに達する可能性があると試算した。これに商業用不動産の値下がりで生じる損失などを加えた額が約9450億ドルにのぼるとしている。(ワシントン=米山雄介)
分野別の損失見通し(億ドル) ▽ローン
・サブプライム
・オルトA
・プライム
・商業用不動産
・消費者金融など2250
450★
300★
400★
300
800▽証券化商品
・資産担保証券
・債務担保証券
・商業用不動産ローン担保証券
・その他7200
2100★
2400★
2100
600総合計 9450 ★は住宅ローンとその関連証券化商品。オルトAは信用力がサブプライムより高く、プライムより低い層向け。
【追記】
日経記事の内訳を見ると、もともとのサブプライムローンの焦げ付きは450億ドルしかなく(「しかなく」といっても巨額ですが)、サブプライム関連の損失全体の5%ほどしかありません。直接のローンの焦げ付き2250億ドルと対比しても、証券化による損失の方が約3倍に膨らんでいて、これら証券の“架空性”を示しています。
コメントなしのスクラップですか。
「市場原理主義」も行くところまで行ったと言う感じなのでしょうか?
xyzさん、こんばんは。
いちいちコメントする気にもならなっかたもんで、サボってしまいました。
ということで、コメントを追記しましたので、お許し下さい。(^_^;)