先日の「めざましテレビ」では今年になっての増刷部数が15万部といわれていた新潮文庫の『蟹工船』ですが、ついに20万部を突破しました。
蟹工船:今年20万部超す ワーキングプア問題で社会現象(毎日新聞)
書店の文庫コーナーで平積みされる「蟹工船」=東京都千代田区の三省堂書店神保町本店で2008年5月30日、長谷川直亮撮影(毎日新聞)
先日、新宿駅の南口コンコースの書店にも『蟹工船』が並べられているのを見つけました。狭い“駅ナカ”のお店で、さすがに平積みはされていませんでしたが、入り口近くの書架に何冊も並んで目立ってました。(^_^;)
蟹工船:今年20万部超す ワーキングプア問題で社会現象
毎日新聞 2008年5月30日 18時54分(最終更新 5月31日 0時23分)プロレタリア文学作家、小林多喜二(1903?33年)の「蟹工船・党生活者」(新潮文庫)の今年の増刷が30日で延べ20万部を超えた。例年の47倍強で古典としては異例の大ヒット。ワーキングプア問題などと絡み話題になったためで、毎日新聞朝刊文化面(東京本社版)が今年1月9日に掲載した対談記事がブームの発端だ。
29年発表の「蟹工船」はカニを捕り缶詰に加工する船の労働者が、過酷な労働条件に怒り、立ち上がる話。毎日新聞の対談で、作家の雨宮処凛(かりん)さん(33)と高橋源一郎さん(57)は「ワーキングプアの現状は『蟹工船』の世界に通じる」などと話し合った。
対談を知った東京・上野の書店員が、新潮文庫を店頭で平積みにした。すると、週に1冊売れるかどうかだった同書が毎週数十冊売れた。同じ動きが、他店にも広がった。
今年は4月までに2万7000部、今月21万部。最近は4万?5万部を数日おきに刷っており、一部書店では品切れという。オリコンの文庫ランキング(19?25日)も11位を記録した。読者は半数強が30代以下とみられる。
新潮社では「古典がこれだけ急に売れた例はほかにない。もはや社会現象。中高年層もワーキングプア問題を理解する手がかりに読むようだ」と話している。【鈴木英生】
コメント2度目です。
この、「蟹工船」の?ブーム?と呼べるほどの現象をどう見たらよいのか。なかなかおもしろい問題を含んでいるように思えます。原作はずいぶん以前に読みましたが、最近、漫画も読みました。よくできたマンガだと思います。また、白樺文学館による「読書感想文」の試みも、これまでの地道な努力に裏打ちされた優れたものでしたし、入選作も、いづれも力作で、胸を打つものした。新潮社版の売れ行きにつられるように、他社の版も出てるようです。共通なのは、若者の購入が多いと言うことだそうですが、多喜二=共産党員という関係からみれば、新日本出版社版の売れ行きも好調なそうで、これはこれで興味深いことです。
ところで、?ブーム?の現象ですが、
<1>若い人たちが「蟹工船」労働者の境遇に共感した
<2>たたかいに立ち上がることに共感した
<3>会社側の悪質狡猾な攻撃に義憤した
<4>こんな小説が存在することに共感した
などなど、いろいろ考えられますが、私としては、今度の「蟹工船」読者が、多喜二の小説のさらなる読者になってほしいものです。
ただ、忘れてならないのは、「蟹工船」までたどり着けない人、たどり着いても疲れていて読めない人、そんな人たちの存在でしょう。
多喜二は共産党員です。共産党としては絶好の機会だと思いますが、喜んでばかりいないで、もっと若い人たちとつながることを真剣に考える必要があるでしょう。
Maburiさん、こんばんは。
私も、これを一過性のブームで終わらせてはならないと思っています。だからこそ、このブログでも可能なかぎり『蟹工船』にかんする記事を集め、若い人たちが『蟹工船』のどんなところに共感しているのか、私なりに考えてきたつもりです。
そのほかにも、若者たちがどんな働かされ方をしているか、社会や生き方についてどんなふうに考えているか、いろんな記事を集めています。これらは、若い人たちとどうやってつながるか、私なりに真剣に考えてきた記録ですので、どうかそういう目で眺めてやってください。
※丸付き数字は、インターネット上では文字化けする場合がありますので、こちらで他の文字列におきかえさせていただきました。