公開するのをすっかり忘れてました…。(^_^;)
岩手県北部地震が起きたのは、深夜0時24分。しかしそのとき、トヨタ系子会社の関東自動車工業の工場では、1,300人が仕事の真っ最中だった。
マルクスは『資本論』で、機械の導入が労働時間の制限をなくして、深夜労働、24時間連続労働をもたらすと指摘しているが、まさにそのとおりの事態だった訳である。
各企業の生産設備などにも被害、夜勤作業打ち切りも(読売新聞)
2004年12月に広島のマツダ工場で深夜に火事が起きたときにも、マツダ工場では1,100人が仕事の真っ最中だった。もはや、日本のどこでも当たり前になってしまった製造工場の24時間操業。普段、私たちはそれを意識しないし、ほとんど忘れている。しかし、震災や火災は、その日本の現実をわれわれに思い知らせてくれる。
各企業の生産設備などにも被害、夜勤作業打ち切りも
[2008年7月24日11時35分 読売新聞]岩手県沿岸北部で24日未明に発生した地震で、各企業の生産設備などにも被害が出た。
トヨタ自動車の子会社で、「カローラルミオン」などの小型車を生産する関東自動車岩手工場(岩手県金ヶ崎町)では地震発生時、1300人が作業中で、避難の際に従業員1人が生産ラインにつるした車体に頭をぶつけ、数針縫うけがを負った。
夜勤作業は打ち切ったが、24日は朝から操業を再開している。
日本製紙の岩沼工場(宮城県岩沼市)では、天井からの落下物で、稼働中だった新聞紙などの生産装置4台のうちの1台が損傷した。部品の交換で修理対応し、24日午後には復旧する予定という。
富士通のグループ会社で、精密機器のLSI(大規模集積回路)を製造する「富士通マイクロエレクトロニクス」岩手工場(岩手県金ヶ崎町)では、半導体製造装置の一部が損傷した。
マルクスが、機械の使用が労働日の無制限的延長をもたらすと指摘している代表的な箇所は、以下のとおり。
機械の資本主義的使用は、一方で、労働日の無際限な延長の新しい強力な動機をつくり出し、この傾向にたいする抵抗を打ちくだくような仕方で労働様式そのものと社会的労働体の性格とを変革するが、そのときもう一方で、労働者階級のうち以前は資本の手が届かなかった階層を編入したり、機械に駆逐された労働者を遊離したりすることによって、資本の法則の命令に従わざるをえない過剰人口を生み出す。そこから、機械は労働日のあらゆる社会慣行的 ((この「社会慣行的」の原語はsittlich。辞書を引くと、「習俗規範的な、道徳にかなった、道義的な」などの意味がでてくる。日本でよく言われる「公序良俗」が近いかも知れない。))および自然的な諸制限をくつがえすという、近代産業の歴史における注目すべき現象が生まれる。また、そこから、労働時間短縮のためのもっとも強力な手段が、労働者およびその家族の全生活時間を資本の価値増殖のために自由に処分されうる労働時間に転化するもっとも確実な手段に急変するという、経済学的な逆説も生まれる。(『資本論』新日本新書<3>705ページ、Werke S.430。一部訳文を変更)
ちなみに、関東自動車工業は、秋葉原連続殺傷事件の容疑者が派遣されていた企業。事件直後の記者会見では、広報部の社員が笑顔をふりまいていたそうな。
【Re:社会部】「遠くの事件」に違和感(MSN産経ニュース)
【Re:社会部】「遠くの事件」に違和感
[MSN産経ニュース 2008.6.26 08:53]東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、加藤智大容疑者(25)が勤務していた関東自動車工業を取材し、同社の事件に対する「心情的な距離」を感じました。
事件翌日の9日に開かれた記者会見。加藤容疑者が事件3日前に無断退社した様子について、同社幹部は最初、「分からない」としましたが、会見後半で突然、「ツナギがないと騒いでいた」と説明を変えました。この幹部は憮然と「(退社の経緯は)重要ではないと思っています」と弁明しました。会見前には、広報担当者が笑顔を振りまきながら対応し、報道陣から「笑い事じゃない」と怒声が上がる一幕もありました。
同社は会見で被害者に「哀悼の意」を表しています。加藤容疑者は派遣社員で、同社が直接、雇用した社員ではありません。会見は「ツナギがなく、やけを起こした」という供述が明らかになる前でもありました。それにしても、工場から怒って帰った人間が17人も死傷させたのですから「もう少し『我が事』という感じがあってもいいのでは」と違和感を覚えました。
「好き嫌いとか関係なく、車の生産台数が減れば、まず派遣社員が切られる」と同社社員は言います。同社が事件や被害者から意識が遠いように感じたのは、そもそも事件を起こした派遣社員に対し、身内意識を持ちにくいからなのかも知れません。(宝)