自動車メーカー各社 派遣、期間工など8100人を切り捨て

自動車メーカー各社が、競い合うように、派遣労働者や期間社員の打ち切りを発表。既発表分だけですでに8100人。

景気が落ち込んで、売り上げが減る見込みというが、それでもトヨタは6000億円の収益を見込んでいる。赤字ならともかく、黒字なのに従業員を減らす、それも派遣や期間社員など、弱い労働者を真っ先に切り捨てるなどということは許されない。

自動車メーカー 人員削減拡大(NHKニュース)
日産ディーゼルが減産 派遣社員200人削減(共同通信)
いすゞ 非正規社員契約解除へ(NHKニュース)
非正規1400人の契約打ち切り いすゞ自動車、減産受け(中国新聞)
マツダ 派遣社員500人削減(NHKニュース)
暮らし直撃 日産減産で非正規労働者が契約切れ(下野新聞)
日系派遣社員の解雇急増 浜松では救済団体設立へ(静岡新聞)
景気後退が日系人労働者を直撃 「真っ先にくび」(下野新聞)
派遣切り 加速 不況・円高直撃『簡単に使い捨て』(東京新聞)
日産:国内工場の派遣社員780人削減へ…11月末までに(毎日新聞)

自動車メーカー 人員削減拡大

[NHKニュース 11月20日 19時28分]

 世界経済の悪化の影響で自動車の販売不振が続くなか、生産の縮小を迫られている自動車メーカーの間では、国内の工場で働く期間従業員や派遣社員を大幅に削減する動きが広がっています。
 今年度の中間決算以降に国内の期間従業員や派遣社員の削減を明らかにした自動車メーカーは7社で、削減される人数は、これまでにあわせて8100人に上っています。このうち、トヨタ自動車は先月の時点で6000人いた期間従業員を来年3月末までに半分の3000人に減らすほか、日産自動車は5つの工場で働く2000人の期間従業員を来月末までに4分の1の500人に削減します。また、マツダは2つの工場で働く派遣社員1800人のうち1300人を来月末までに、スズキは6つの工場にいる600人の派遣社員を来年3月までに削減します。
 さらに、トラックメーカーのいすゞ自動車は2つの工場の期間従業員と派遣社員あわせて1400人全員を来月までに減らすほか、日産ディーゼルは国内の3つの工場で働く派遣社員1200人余りを来月までに200人削減することにしていて、これらの中には契約を途中で解除するケースもあるということです。このほか、日野自動車がすでに期間従業員を100人減らしています。こうした動きは、世界的に車の販売が落ち込み各社とも生産の縮小を迫られているためで、金融危機による世界経済の悪化は国内の雇用に深刻な影響を与え始めています。

日産ディーゼルが減産 派遣社員200人削減

[2008/11/20 21:18 共同通信]

 日産ディーゼル工業(埼玉県上尾市)は20日、販売不振を受けて上尾工場(上尾市)でトラックを減産し、同工場などで働く派遣社員約200人の契約を12月末までに打ち切ることを明らかにした。三菱ふそうトラック・バス(川崎市)が川崎製作所(同)でトラック減産と、派遣社員や期間従業員の削減を検討していることも分かった。
 日産ディーゼルは、上尾工場で今月から減産を始め、大型・中型トラックの2008年生産台数は当初計画より約10%減る見通し。うち今月は月間計画比で43%減の1840台、12月も40%強の減産となる。搭載するエンジンなどに使う鋳造部品を製造する鴻巣工場(埼玉県鴻巣市)も今月から減産を始めた。
 日産ディーゼルの派遣社員は10月初めには約1160人いたが、上尾、鴻巣両工場を中心に削減する。
 日野自動車も日野工場(東京都日野市)でトラックを減産し、12月の稼働日を5日間減らす。

いすゞ 非正規社員契約解除へ

[NHKニュース 11月20日 4時46分]

 いすゞ自動車は、販売不振でトラックの減産を強化するのに伴い国内の工場で働く非正規社員1400人全員の契約を年内で打ち切ることを決めました。
 いすゞ自動車は、金融危機の拡大による景気の減速で、国内だけでなく中南米やアフリカなどの新興国でもトラックの販売が急速に落ち込んでいることから、今年度の下半期に年間の計画の10%にあたる2万8000台の生産を減らす方針で、減産の大半は来年の1月から3月に集中して行う予定です。これに伴って、いすゞは、▽主にトラックを生産する神奈川県藤沢市の藤沢工場と、▽エンジンを製造する栃木県大平町の栃木工場で働く非正規社員1400人全員の契約を来月末で打ち切ることを決めました。1400人は、いすゞが直接契約を結ぶ期間従業員と派遣会社を通じて雇用する派遣社員で、半数以上は契約途中での打ち切りになるということです。
 自動車メーカーの間では、販売不振による減産強化で期間従業員など非正規社員を減らす動きが広がっていますが、契約を途中で打ち切るのは異例のことです。

非正規1400人の契約打ち切り いすゞ自動車、減産受け

[中国新聞 2008/11/20]

 トラック大手のいすゞ自動車は十九日、販売不振を受けた減産に伴い、国内の工場で働く派遣従業員と期間従業員の計約千四百人全員の契約を十二月末で打ち切ることを明らかにした。トラックを生産する藤沢工場(神奈川県藤沢市)と、エンジンや足回り部品を製造する栃木工場(栃木県大平町)で実施する。
 契約期間中の解約も含めて、国内工場で非正規従業員の契約をすべて打ち切るのは異例。金融危機を受けた景気悪化で、日本や米国で新車販売が不振な上、業績をけん引してきた新興国でも需要が落ち込んできたのが影響したという。
 削減する計約千四百人の内訳は、藤沢工場が約九百六十人、栃木工場が約四百四十人。二〇〇八年度の藤沢工場でのトラック生産台数は、当初計画から約一割減る見通しだ。
 ロシアなど海外のトラック組立工場でも減産を検討する。
 自動車・トラック業界は、国内工場での生産台数の縮小に伴い、非正規従業員削減の動きが広がっている。日産自動車は年末までに、国内工場に約二千人いる派遣社員の75%を占める計約千五百人を減らす。トヨタ自動車も期間従業員の削減に取り組んでいる。

マツダ 派遣社員500人削減

[NHKニュース 11月20日 19時28分]

 自動車メーカーのマツダは、世界的な金融危機の影響で自動車の販売台数が落ち込んでいることから、山口県防府市にある防府工場で働く派遣社員およそ500人を来月中に削減することを決めました。
 マツダは、世界的な金融危機の影響でアメリカなど海外を中心に販売が落ち込んでいるとして、ことし下半期の国内での生産台数を7万3000台減らすことにしています。マツダによりますと、この減産に伴い国内にある主力工場の一つで山口県防府市の防府工場で働く派遣社員およそ800人のうちおよそ500人について、来月以降の契約を更新しないことを決めたということです。マツダは、すでに広島の本社工場でもおよそ800人の派遣社員の来月以降の契約を更新しないことを決めており、本社工場と防府工場あわせて1300人の派遣社員を削減することになります。マツダは「今後、派遣社員が再就職を行いやすいようにさまざまな支援を行いたい」と話しています。
 山口労働局は、早ければ来週にも雇用対策本部を設けるとともに、職を失う派遣社員を対象にした説明会を開くなど支援に乗り出すことにしています。

暮らし直撃 日産減産で非正規労働者が契約切れ

[下野新聞 11月18日 05:00]

 米国での売り上げ不振から上三川町の日産自動車栃木工場が減産態勢に入ったことを受け、同工場や関連企業の派遣労働者など多数の非正規雇用労働者が11月中に契約を打ち切られる。車や家のローンを抱えたままの人や、住まいを失う人もいて、苦しい生活を強いられるのは必至だ。米国発の金融危機の津波が県内にも押し寄せている。
 「周りの人もよくて、長く続けられると思ったから…」。工場内で部品作りを担当していた上三川町、派遣労働者男性(20)は肩を落とした。働き始めて1年10カ月。これまで定職に就いたことはない。車のローンは月5万円。毎日、派遣会社で求人情報をチェックしているが、今までの時給1200円より低い仕事しか残っていない。
 工場内で約8年働いてきた請負労働者の男性(65)は今月初め「辞めてほしい」とだけ言われた。「完全に使い捨てだよ」。50歳で建てた家のローン月10万円があと5年残っている。求人広告で時給900円のガソリンスタンドのアルバイトを見つけ電話したが、年齢を告げると断られた。
 ある派遣会社によると、今月で契約を切られた労働者のうち、新たな派遣先に就職できたのは約1割という。
 宇都宮市内の派遣会社の寮から送迎バスで通勤していた男性(37)は、車を買って故郷の青森に戻るのが目標だった。しかし5月以降は手取りが月10万円を切ることもあり、休日返上でバイトもしたが「とても貯金できなかった」。「地元に帰っても車がないと就職は難しい」と悩む。
 寮住まいの派遣労働者は、仕事と同時に家を失う可能性もある。
 この夏、体調を崩し雇い止めされた元派遣労働者男性(53)。寮を出て行く当てをなくし、町内の公園に野宿した。福祉関連の相談機関に助けを求めたが「成人男性を保護できる施設はない」と断られたという。
 「ほかに頼れる所はなかった。打ちのめされた思いだった」。現在、ボランティア団体の支援で生活保護を受けながら再就職を目指している。
 北米向け販売台数の落ち込みに伴う県内の派遣労働者削減数は約500人とみられる。栃木労働局は、下請けや関連企業の非正規労働者を含めると「相当数に上る」とみて情報収集を急いでいる。

日系派遣社員の解雇急増 浜松では救済団体設立へ

[静岡新聞 11/20 08:40]

 米国の金融危機に端を発した世界的不況の直撃を受け、製造業で派遣社員として働いている日系人の契約打ち切りが県内でも急増している。母国に帰国できず、仕事を探し回る日系人たち。苦境に立つ浜松市の日系ブラジル人の間に、失業したブラジル人を救済しようという動きも出始めた。
 「ブラジルへ帰るための飛行機代もない」―。浜松市中区のハローワーク浜松(浜松公共職業安定所)を訪れた日系ブラジル人の女性(32)は表情を曇らせた。飛行機代がたまれば帰国するつもりだが、2カ月間、職を探しても見つからない。妻子と暮らす別の日系ブラジル人男性(34)は「子どもが大学に入るまでブラジルに帰れない」と相談の順番を待つ。
 同所には連日、職を失った日系人らが押し寄せ、相談件数は昨年度の倍に上る。県西部の外国人派遣社員が多く加入する労働組合支部にも、解雇通告を受けた日系人の派遣社員が毎日のように相談に訪れる。同市中区のプレス加工の町工場には外国人が「仕事はないか」と直接訪ねてくる。
 同市を拠点に取材活動を続けている在日ブラジル人向け雑誌の記者、樋樫マリさんは「家賃を払えず、ホームレスになるブラジル人も出始めた」と危機感を強める。
 このような状況を受け、浜松市内の日系ブラジル人らが失業者救済の団体を11月中にも設立することになった。「日本人の人手が足りていないサービス業や農業はどうか」「ブラジル人が日本語を学ぶための支援を」―。17日の準備会では、日本人を含めたメディア関係者や市議、企業経営者ら15人が、ブラジル人が働ける新たな雇用を作り出そうとさまざまな意見を出し合った。中心メンバーで日系2世の座波カルロスさん(44)は「どうすれば大変な時期を乗り越えられるか。失業が治安の悪化にもつながる。ブラジル人が自立するための支援をしたい」と、日本人にも協力を呼び掛けている。

景気後退が日系人労働者を直撃 「真っ先にくび」

[下野新聞 11月12日 05:00]

 景気減速の影響を受け、仕事を減らされたり失ったりしているため、県内の工場でモノ作りを支える日系人の間に不安が広がっている。彼らが登録する派遣会社によると、求人は少なく、日本語を話せない人は特に就職が難しい状況という。工場も今後、生産の減少が進むと予測しており、日系人の雇用環境は厳しさを増しそうだ。
 「工場に仕事がなくなった」。真岡市に住む30代の日系ブラジル人男性は派遣会社からそう伝えられ、10月下旬、数人の日系人とともに契約を打ち切られた。
 約3年働いた工場は、大手自動車メーカーの下請け。仕事はプレス作業などだった。
 その後、県内や隣県で約10社の面接を受けたが、「仕事がない」とすべて断られた。今は弁当店のアルバイトでつないでいる。日本で20年近く職を転々としてきたが「こんなに仕事が見つからないのは初めて」と、ぼうぜんとする。
 「残業がない。仕事は週に4日」。小山市に住む30代のペルー人男性は、たどたどしい日本語で訴えた。
 勤めているのは小山市にある自動車関連の工場。時給1200円で労働は1日10時間。勤務は週6日だったが、1カ月半ほど前から週4日に減った。今は外食や車に乗ることを控え、ペルーにいる日系人の元妻と2人の子どもに、毎月7万円の仕送りを続けている。
 来日して15年余り。日本に定住を考えているが「この状況はいつまで続くのか」と不安を隠せないでいる。
 日系人の登録者が多い派遣会社の社長は「きついため日本人が寄りつかず、工場が減産になると真っ先に切られるのが彼ら(日系人)の仕事」と声を落とす。社長によると求人数は10月以降、目立って減っており、日本語を話せない登録者は、就職が困難な状況に追い込まれている。
 日系人が働く、真岡市の大手メーカーの下請け工場は「メーカーが派遣社員に解雇通告をしている。うちでも今後、派遣を切ることがないとは言えない」と厳しい状況を見通している。

派遣切り 加速 不況・円高直撃『簡単に使い捨て』

[東京新聞 2008年10月28日 朝刊]

 急激な円高による業績悪化や世界同時不況への不安が強まり、自動車や精密機器など輸出産業の工場で働く派遣社員の契約解除が相次いでいる。4年前に製造業派遣が解禁され工場で働く派遣社員が急増したが、メーカーには雇用責任がなく立場の弱い派遣社員の“大量解雇”が進む。寮生活者の中には住む場所を失う人もおり、貧困層の拡大を懸念する声が上がっている。 (砂本紅年、菊谷隆文)

 「本当に使い捨て。何の保障もなく、簡単に切り捨てられて終わった」。埼玉県内に住む元派遣社員の男性(25)はそう怒る。
 5年前に東京都内の派遣会社に登録。自動車部品メーカーの埼玉工場と群馬工場で、半年ごとに契約を更新しながら組み立てや検査の仕事をしてきた。
 今年7月、メーカー側から「8月いっぱいでやめてくれ」と言われた。翌月、男性を含め約20人の契約を中途解除。全国では約200人の契約を打ち切った。男性の毎月の手取りは15万円程度。ボーナスも退職金もなかった。今は実家に戻り、正社員を目指して職業訓練校の入学を希望している。
 「自分はまだ若いからいいけど、工場は30代、40代の派遣の人が多く、家族がいる人もいる。そういう人はどうしようもないだろう」と気遣う。
 「職場では人員整理のうわさばかり。自分の番はいつかって」。昨秋から長野県内の半導体メーカーで働く派遣社員の男性(37)も不安でいっぱいだ。
 9月以降、派遣社員数十人が契約を打ち切られた。昼食を共にしていた40代の男性も「参っちゃった。リストラだ」と横浜の実家に帰っていった。
 東北出身の男性はこれまで派遣で全国を転々としたが、こんな行き詰まりを感じたのは初めてだ。派遣会社の寮に住むため、寮費などを引かれた手取りは約13万円。失業すれば住む家も失うことになる。「この先どうなっちゃうんだろう。明日から来なくていいと言われたら情緒不安定になりそう」
 製造業の派遣社員でつくる労働組合「ガテン系連帯」共同代表の池田一慶さんは「派遣切りはこれからどんどんひどくなるだろう。構造改革で雇用を崩壊させた国は、雇用保険の受給資格の緩和や雇用促進住宅の活用などで、緊急措置を取る責任がある」と訴える。

日産:国内工場の派遣社員780人削減へ…11月末までに

[毎日新聞 2008年10月30日 20時19分]

 日産自動車は30日、国内工場で働く約2000人の派遣社員のうち、約780人を11月末までに削減する方針を明らかにした。北米向け輸出車を減産するのに伴う措置。契約を更新せずに打ち切る。
 海外向け高級ブランド「インフィニティ」を生産する栃木工場(栃木県上三川町)と、スポーツタイプ多目的車(SUV)「ムラーノ」など大型車を生産する九州工場(福岡県苅田町)が対象。両工場では北米向けの輸出低迷に伴い、11月から5カ月間に計6万5000台を減産する計画を決めていた。追加の人員削減を行うかどうかは「今後の販売、生産状況を見ながら判断する」という。
 自動車業界では、トヨタ自動車が6月末から期間従業員の新規採用を停止し、9月末までに約2000人を削減。子会社の日野自動車も期間従業員を約450人、トヨタ自動車九州は派遣社員800人弱を減らすなど、非正規雇用者の削減が相次いでいる。【宮島寛】

自動車メーカー各社 派遣、期間工など8100人を切り捨て」への2件のフィードバック

  1. いつも拝見させて頂いております。
    8100人ですか?。
    大変なことになっていますね。
    僕は今名古屋に住んでいますけど、外国人の労働者もたくさん解雇されているようです。

  2. ocean fireさん、初めまして。いつもご覧いただき、ありがとうございます。

    名古屋は、さぞかし大変なことになっているのではないかと思います。

    派遣の人たちは、派遣会社の寮というか、派遣会社が借り上げたアパートに住んでいる人が多いので、解雇されるとたちまち住むところに困ってしまい、最悪の場合はホームレスです。

    いまは自動車メーカーが先行していますが、おそらくこれに家電や電機メーカーが続くんじゃないでしょうか。そうなれば、本当に大量失業時代の到来です。

    しかし、「減収減益」といっても、トヨタは今年6000億円の経常利益を見込んでいます。6000億円も儲けながら、派遣や期間従業員を切り捨てるというのは、本当に許されないことだと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください