さらに続く「派遣切り」の動き

企業の人員削減はまだまだ続く。「派遣切り」だけでなく、正社員削減の動きも始まっている。

三菱自、非正規社員2000人超削減へ 国内5工場が対象(NIKKEI NET)
三菱自:水島製作所、非正規削減2000人に――病院も3月閉院(毎日新聞)
県内上場メーカー、広がる非正規労働者削減(信濃毎日新聞)
派遣切り:日本精工も2000人を削減 対策に連絡会発足へ/神奈川(毎日新聞)
派遣打ち切り、正社員に希望退職 日本電子材料(神戸新聞)
パナソニック帯広:派遣30人、受注減で契約更新せず/北海道(毎日新聞)

三菱自、非正規社員2000人超削減へ 国内5工場が対象

[NIKKEI NET 2009年01月07日 21:04]

 三菱自動車は2008年度中に、国内工場で働く1000人超の非正規従業員(派遣従業員と期間従業員)を削減する。すでに08年末までに派遣契約の切れた1100人を削減済みだが、世界的な販売不振を受けて、新たに人員を減らす。昨年10月末時点で約3300人いた非正規従業員は約1000人になる。
 主力工場である水島製作所(岡山県倉敷市)を中心に、国内5工場の非正規従業員を削減する方針としている。
 工場の正社員についても、一部の人員を系列販売会社へ出向させるなどの再配置を進める。名古屋製作所(愛知県岡崎市)などの百数十人が対象となる見通しで、年度内にも始める。自社で運営している「三菱水島病院」(岡山県倉敷市)を今年度内に閉鎖することも決めた。

三菱自:水島製作所、非正規削減2000人に――病院も3月閉院

[毎日新聞 2009年1月8日 東京朝刊]

 三菱自動車水島製作所(岡山県倉敷市)は7日、非正規従業員を3月末までに新たに1000人規模で削減する見通しを明らかにした。昨年末までに派遣社員と期間従業員計約1400人のうち約250人を削減しており、景気低迷が続けば、事務系を除く大半の非正規従業員との契約を打ち切る方針。
 同社は昨年11月、全社で1100人以上の非正規従業員削減を発表していた。今回、新たに分かった水島分を合わせると、非正規従業員の削減は2000人超となる見通し。
 一方、水島製作所は倉敷市で67年間運営してきた三菱水島病院(120床)を3月末で閉院すると発表した。
 同病院は年間7万?8万人の患者のうち、7割以上が社員以外という。1日あたり300?400人の外来患者には別の病院を紹介するなどして対応する。世界的な景気低迷の影響が、国内の地域医療にも及んだ形だ。【山崎明子】

県内上場メーカー、広がる非正規労働者削減

[信濃毎日新聞 1月9日(金)]

 景気の急減速を受けて、県内の上場メーカーで非正規労働者を削減する動きが広がっていることが8日、信濃毎日新聞の取材で分かった。東京証券取引所1部、2部上場の機械系製造業16社のうち、金融危機の影響に伴う受注急減などを理由に国内工場で非正規労働者を削減したか、削減を予定している企業は6割超の10社。回答があった削減数の合計は1100人を超えた。今後の削減を検討している企業もあり、雇用情勢の悪化は深刻さを増しそうだ。
 最も削減数が多かったのは、昨年12月までに県内3工場を含む国内5工場で、派遣社員約600人を削減した新光電気工業(長野市)。11月中に約100人、12月だけで約500人を削減した。同社は「半導体の需要が予想をはるかに超える規模で減退し、大幅な減産を余儀なくされた。残業の圧縮や経費削減などではとても吸収できなかった」(経営企画室)とする。
 次いで多かったのは、ブレーキ部品製造を手掛ける日信工業(上田市)。今月中だけで派遣社員200人を削減する。同社は「大型車に加えて小型車も売れなくなり、完成車メーカーからの受注が激減した。金融危機による需要減に円高、原油・原材料高などの悪材料が重なり、過去に経験したことのない厳しい状況」(総務部)とする。
 一方、セイコーエプソン(諏訪市)は、ことし3月までの3年間で3000人を削減中。しかし、同社は「中期経営計画に基づく削減で、金融危機による影響はない」(ブランド・コミュニケーション推進部)と説明。09年中の閉鎖を決めた液晶事業子会社の岐阜事業所の派遣社員約30人の削減も「計画に含まれている」(同)としている。
 調査では、昨年12月までに削減した人数を回答した企業が多いが、「今後は経済情勢を見極めつつ判断する」(KOA)など追加削減を検討する企業もある。厚生労働省の調査では、昨年10月からことし3月末までに職を失う非正規労働者は県内で約4200人。今後、人員削減の波が、上場企業の正社員に広がる可能性も出ている。

派遣切り:日本精工も2000人を削減 対策に連絡会発足へ/神奈川

[毎日新聞 2009年1月8日 地方版]

◇藤沢市「長期の支援必要」

 いすゞ自動車に続き、ベアリング(軸受け)大手の日本精工も派遣社員を削減することが明らかになったことを受け、同社藤沢工場(藤沢市鵠沼神明)がある同市内には7日、波紋が広がった。「いすゞ問題を受け、第2次経済対策を打ち出したばかりなのに」と頭を抱える藤沢市。相次ぐ「派遣切り」対策に、労組などは「湘南連絡会(仮称)」の発足を決めた。
 日本精工によると、削減対象は3月までに契約期間が終了する全国2000人の派遣社員。永島雅美・広報部長は「何とか雇用を守ろうと頑張ってきたが、もう限界。まだ全体を決めた段階で、藤沢工場で何人になるかは未定」と話した。
 住居提供や雇用創出などの対策を打ち出してきた藤沢市は、企画、経済部を中心に情報収集に躍起。藤間豊・企画部長は「世論の後押しで3月までは寮に住める人が増えたが、4月に向けて重い宿題を背負った。違う仕事に就けるようにするなど、長いスパンでの支援が求められていると感じる」と話す。
 一方、神奈川労連の水谷正人議長は、同市と周辺3市1町の労組、市民団体、弁護士を集め、30日に連絡会を発足させると明らかにした。労働者の相談に乗り、共に団交や裁判を戦う組織を目指すという。水谷議長は「藤沢をモデルケースに、大企業の社会的責任を再確認させ、諸悪の根源の労働者派遣法にメスを入れる」と話した。【永尾洋史】

派遣打ち切り、正社員に希望退職 日本電子材料

[神戸新聞 1/8 09:29]

 半導体検査器具メーカーの日本電子材料(尼崎市)は7日、世界不況に伴う国内工場の再編で、本年度末までに連結子会社を含め40歳以上の正社員100人の希望退職を募ると発表した。年度末までに期限を迎える派遣社員65人の契約も打ち切る。
 主力製品「プローブカード」は半導体の製造過程で良・不良品の判定に使われるが、世界的な半導体不況で販売が落ち込んでいる。このため、国内3工場のうち本社工場(尼崎市)と連結子会社「JEM静岡」(静岡市)での生産を中止して、熊本工場(熊本県菊池市)に統合。さらに、中国子会社での生産比率を高めて、効率化を推進する。
 同社は2009年3月期連結決算で34年ぶりとなる赤字を予想。1月から役員報酬の削減率を70%に引き上げ営業拠点の整理を進めたが、来年度以降も厳しい事業環境が続くとみて人員削減に踏み切る。
 希望退職に100人が応募した場合、特別退職金など4億5000万円の特別損失が見込まれ、09年3月期連結決算に計上予定。一方、来年度以降は人件費など年間約6億円の固定費削減になるという。(内田尚典)

パナソニック帯広:派遣30人、受注減で契約更新せず/北海道

[毎日新聞 2009年1月9日 地方版]

 パナソニック電工帯広(帯広市)は8日、派遣社員約250人のうち今月中に契約満了を迎える約30人の契約を更新しない方針を明らかにした。同社は自動車の電気回路に使う部品の製造が全体の約8割を占めているが、世界的な自動車販売の不振を受け、すべての製造ラインを今月中に2日程度休止することも検討しているという。
 同社によると、下期(08年10月?09年3月)の受注数が上期(08年4?9月)に比べ約4割減の見通しとなったことが主な要因。追加して人員削減するかどうかは今後の経済情勢から判断する。同社の08年3月期の売上高は約195億円と過去最高を記録していた。
 親会社のパナソニック電工(本社・大阪府門真市)も、10年度までに正社員と非正規社員の計約1000人を削減する方針を打ち出している。【田中裕之】

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