1月の世論調査。麻生内閣の支持率の低下は、もはやニュースにもならないが、不支持率が7割を超えるというのは実際記録的かもしれない。
内閣不支持70% 支持は19%に下落(中日新聞)
内閣不支持7割超、給付金に反対78%…読売世論調査(読売新聞)
給付金に反対63% 内閣支持19% 朝日新聞世論調査(朝日新聞)
麻生内閣支持率18.3%、JNN調査(TBS News-i)
内閣不支持70% 支持は19%に下落
[中日新聞 2009年1月12日 朝刊]
共同通信社が10、11両日に行った全国電話世論調査で、麻生内閣の支持率は昨年12月の前回調査から6.3ポイント下落し19.2%となった。不支持率は8.9ポイント増の70.2%と森内閣以来約8年ぶりに70%を超えた。定額給付金については「評価しない」が70.5%と、昨年11月の同様の調査から12.4ポイント増加。「評価する」は23.7%(7.7ポイント減)だった。
麻生太郎首相と民主党の小沢一郎代表の「どちらが首相にふさわしいか」への回答は、小沢氏が46.4%(昨年12月調査から11.9ポイント増)で麻生氏の22.1%(11.4ポイント減)の2倍以上になった。国民の「麻生離れ」は危機的水準に達し、首相はより厳しい政権運営を強いられ、衆院解散・総選挙に踏み切る時期の判断でも一層困難を迫られることになった。
望ましい政権の枠組みは「民主党中心」が51.4%と初めて過半数になり「自民党中心」30.5%に20.9ポイント差をつけた。次期衆院選比例代表での投票先も、民主党が39.7%で自民党26.3%を13.4ポイント上回った。政党支持率も民主党が2.4ポイント増の31.1%、自民党は1.4ポイント減の27.5%と、麻生内閣では初めて逆転した。
内閣不支持理由は「経済政策に期待が持てない」28.8%、「首相に指導力がない」22.6%、「首相が信頼できない」18.2%。首相適格で小沢氏を選んだ理由は「政策に期待できるから」36.9%が最多だったのに対し、麻生氏の場合は「自民党だから」42.4%が最も多かった。
「2兆円の財源を優先的に使うべき政策」の回答では、定額給付金は3.3%と最少。「年金・医療など社会保障」42.0%が最多で、次いで雇用対策26.3%、減税11.2%、少子化対策10.7%、公共事業4.5%の順だった。◆麻生離れ加速も
【解説】 麻生政権の支持率が2割を切った。支持率のジリ貧傾向が止まる気配はなく、政権基盤は危機的状況。首相としては何とか支持率を向上させたいが、その糸口さえ見つけられない。今後、「麻生首相おろし」の動きが党内全体に広がる可能性も否定できない。
首相はこの年末、雇用や景気対策の取り組みに全力を挙げた。自民党内には「ひょっとしたら少しでも上昇しないか」(幹部)と期待する声もあったが、支持率は回復どころか、昨年12月の25.5%をさらに下回った。
焦点の定額給付金も「評価しない」が11月調査から1割増え、7割の国民が否定的。これだけ評判の悪い給付金を実現してもマイナス材料になる可能性もある。12月の調査で小沢一郎民主党代表に逆転された「どちらが首相にふさわしいか」の質問でも、麻生首相は小沢氏に約2倍の差をつけられた。雇用不安などの広がる中、「国民の間で麻生首相ではだめだとのイメージが完全に定着してしまった」(自民党幹部)との嘆きも出ている。
党内には「今は首相を支えるしかない」(別の党幹部)との意見は根強い。もう一度、自民党総裁選を実施して、トップを交代させても、「国民の理解は得られない」(党政調幹部)との判断があったためだ。「麻生首相は絶対に辞めないだろう」との指摘もある。
しかし、支持率1割台の首相では総選挙を戦えないとの党内の不満ガスが今回の調査結果でさらに膨張する。首相の失言や運営ミスがあれば、大爆発を起こしかねない。(政治部・吉田昌平)
内閣不支持7割超、給付金に反対78%…読売世論調査
[2009年1月12日02時09分 読売新聞]
読売新聞社が9?11日に実施した全国世論調査(電話方式)によると、麻生内閣の支持率は昨年12月の前回調査から0.5ポイント減の20.4%、不支持率は5.6ポイント増の72.3%となった。
麻生首相と民主党の小沢代表のどちらが首相にふさわしいかとの質問でも、小沢氏が39%と前回の36%から増やしたのに対し、麻生首相は27%で29%から減らした。
首相に向けられる有権者の視線は厳しさを増しており、麻生内閣はさらに困難な政権運営を強いられることになりそうだ。
今回、麻生内閣の支持率は2割台になんとか踏みとどまったものの、内閣の不支持率が7割を超す高水準に突入したのは、森内閣以来だ。
「麻生離れ」の大きな要因は、経済危機への対応を始めとする内閣の政策に有権者が不満を募らせているためと見られる。内閣を支持する理由では「政策に期待できる」が20%(前回24%)に減り、支持しない理由で「政策に期待できない」が36%(同32%)に増えたことにそれが読み取れる。
麻生内閣が08年度第2次補正予算案の目玉としている総額2兆円の定額給付金についても、「支給を取りやめて、雇用や社会保障など、ほかの目的に使うべきだ」との意見に賛成と答えた人は78%に達し、支給撤回に反対する意見は17%に過ぎなかった。
次の衆院比例選でどの政党に投票するかでは、民主39%(前回40%)、自民24%(同24%)などとなり、民主党が自民党を圧倒している。ただ、政党支持率は自民29.3%(同27.2%)、民主26.2%(同28.2%)だった。
選挙後の望ましい政権は、「政界再編による新しい枠組み」が38%(同33%)と全体の4割近くに増え、「自民と民主による大連立」24%(同25%)が続いた。「民主中心」は22%、「自民中心」は12%だった。
給付金に反対63% 内閣支持19% 朝日新聞世論調査
[asahi.com 2009年1月11日23時21分]
朝日新聞社が10、11の両日実施した全国世論調査(電話)によると、政府が補正予算案に盛り込んだ総額2兆円の定額給付金について、「やめた方がよい」が63%に達し、「政府の方針どおり配った方がよい」の28%を大きく上回った。麻生内閣の内閣支持率は前回調査(12月6、7日)の22%を下回る19%で、内閣発足以来最低となった。不支持率は67%だった。
目玉政策のはずの定額給付金に対し、多くの国民が拒否感を抱いていることが示され、低支持率にあえぐ麻生内閣はさらに苦境に追い込まれた。「配った方がよい」は自民支持層でも48%にとどまり、「やめた方がよい」が43%いた。
また、麻生首相は定額給付金の目的について、最近の国会答弁では「景気対策」と繰り返しているが、給付金が景気対策として「有効だと思う」人は18%にとどまり、「有効ではない」が71%を占めた。
内閣支持率は、11月の前々回調査では37%だった。前回の急落から今回さらに低下し、福田内閣で最低だった昨年5月調査の19%と同水準まで落ち込んだ。自民支持層でも49%しかなく、党支持者の「麻生離れ」が顕著だ。
財政再建路線から景気対策優先に方針転換した新年度予算案の方針については、「評価する」は33%止まり。麻生首相は予算編成による支持回復にも失敗した格好だ。景気回復を条件に3年後に消費税を増税するとの閣議決定も、「評価」は32%と、「評価しない」の56%を下回った。
派遣従業員の契約打ち切りが相次いでいることを受けて、製造業への労働者派遣禁止が議論になっている。「かえって雇用が減るという意見もある」と紹介したうえで派遣禁止への意見を聞いたところ、禁止に「反対」が46%で「賛成」の30%を上回った。
「いま投票するとしたら」として聞いた衆院比例区の投票先は自民25%(前回28%)、民主38%(同36%)など。民主の自民に対するリードが広がった。
麻生内閣支持率18.3%、JNN調査
[TBS News-i 最終更新:2009年1月12日(月) 15時20分]
麻生内閣の支持率が20%を割り込みました。麻生内閣を支持できるとする人が先月より5ポイント余り減って、18.3%となったことがJNNの世論調査で分かりました。
調査は、この土日に行いました。
麻生内閣を「支持できる」と答えた人は、先月より5ポイント余り減って、18.3%。「支持できない」と答えた人は、先月より5ポイント余り増えて、81.0%でした。内閣支持率が10%台となったのは、森内閣以来およそ8年ぶりのことです。
これを支持政党別に見ると、自民党支持者でも半数を超える人が麻生内閣を支持できないと答えています。また、麻生総理と民主党・小沢代表のどちらが総理大臣にふさわしいかへの回答では、先月に引き続いて小沢氏が上回り、差が17ポイントと大きく開きました。
今の国会の焦点、定額給付金についても聞きました。定額給付金について、「評価できる」と答えた人が21%だったのに対して、「評価できない」と答えた人は78%。「やめるべき」と答えた人が7割に達しました。ただ、支給された場合には、85%の人が「受け取る」と答えています。
また、麻生総理が当初は、高額所得者は受け取りを辞退するよう促していたのに、受け取って盛大に使うよう発言を変えたことに対しては、82%の人が「納得できない」と答えました。
定額給付金の撤回を主張し、離党の意向を固めている渡辺元行革担当大臣について聞いたところ、「離党すべき」という人が55%でした。
政党支持率は民主党が27.3%と、麻生内閣では初めて自民党を逆転しました。
次の衆議院選挙での望ましい結果についても、「民主党中心の野党」に勝って欲しいと答えた人が、「自民党を中心とする与党」を30ポイント以上上回りました。(12日05:30)