経営塾の発行する月刊『BOSS』。昨年12月号に続いて、現在発売中の3月号に、またまた共産党の志位和夫委員長が登場しています。「人間の“使い捨て”は資本主義の堕落です」というタイトルで、4ページにわたるインタビュー。
しかし、実はそれだけではありません。志位さんのインタビューの直前には、「トヨタ首脳が代々木へ 財界の共産党詣でが始まった」と題するリポート載っていて、さらにその前には「トヨタの正念場」という特集も。一括りにはなっていませんが、志位さんのインタビューもトヨタ特集の続きのように読める編集になっています。
「トヨタ首脳が代々木へ」のリポートでは、非正規社員の大量クビ切りの動きにたいして、「日本共産党は、この問題に早くから取り組んできたといえる」「こうした日本共産党の活動は、それなりに実績を上げ始めている」とも紹介しています。(だから、インタビューしたということですね)
さらに、巻頭では「派遣切りへの怒りの一喝」として、東レ名誉会長・前田勝之助氏へのインタビュー「派遣をクビにする大企業けしからん、ビンタだ!」と、経済同友会終身幹事・品川雅治さんへのインタビュー「経団連に存在感なし 人材難、3つの原因」が特集されています。
前田氏は、こんなふうに語っています。
正社員も非正規社員も同じ事です。相手は人間なんですよ。人を基本とする、人間を尊重する経営をやらないと企業というのは長続きしませんよ。ああいうやり方〔派遣切り〕は、人間を道具と思ったり部品と思っている。人間には心があるんです。
やっぱり人を大事にしましょうということに尽きると思います。繰り返しになりますが、人間は道具でもないし部品でもない。それは正社員も非正規雇用者も関係ない。同じようにできるだけ雇用は守るという方向では知ってほしいですね。
少なくとも雇用の問題は国の責任だと思っている大企業の経営者がいたら、ビンタですよ。
品川正治さんは、こんなふうに――。
収益を上げた点は立派だけど、経済団体の長ともなれば、それ以上に財界のトップとしての見識や人間力が問われるわけで、その教育がなされないまま2人〔日本経団連の奥田碩前会長と御手洗冨士夫現会長〕がトップを務めてきた。そこに、今の財界の悲劇があると思うんです。
〔サブプライムローン問題は〕これからは、一番の弱者から切っていく、いわば「在庫品扱い」の経営はもうできない。アングロサクソン的な考え方とは違った不況対策や経営をしていかないといけないという、日本企業の経営者への警告だと思っています。
いまの財界の凋落要因は3つあると思うんです。戦争体験世代が減ってきたこと。2つ目は商売での成功体験を自分の哲学にしてしまっていること。3つ目が米国留学組が多いこと。経済の繁栄はみんなで分け合うということが日本の資本主義だったんですけど、いまの人たちは「そんなものは修正資本主義だ」と。正統な資本主義とはアングロサクソン型だと決めつけてしまっている印象があるんですよ。
株価や物言う株主対策に振り回されて、いまの経営者は可哀相なところもあるんですけれどね。そこに振り回されたら駄目だと、毅然として言える経営者じゃないと。金融資本主義の横行で人間を見ようとしない経営者が増え、その馬脚を現したのが昨年だったんですよ。
ということで、経営者の立場で編集された雑誌でも、トヨタ、キヤノンのような「派遣切り」はおかしい!! と、きっぱり異論が唱えられる。そこに志位委員長もしっかり登場している訳で、ほんと興味深い情勢になってきました。(^^;)