リクルート社の無料情報誌R25の今週号(2009年3月19日号)で、コラムニストの石原壮一郎さんが「こんな世の中で希望を持つには?」という難しいテーマに、マルクスの「重要なのは変革することである」という言葉を紹介しています。(^^;)
名言を制する者は人生を制す!
石原壮一郎のオトナビ[R25 2009年3月19日号]
【今回のテーマ】
こんな世の中で希望を持つには?
人生は一度しかありません。世の中の雰囲気がいまいちパッとしないからといって、意気消沈してしまうのはもったいない話です。自分の将来に明るい希望を持つには、どうすればいいのか。とりあえず一時期は世界に明るい希望を与えたマルクスの言葉に、未来を信じるための「大人の真理」を学びましょう。————————
自分の考えや気分なんてしょせんアテにならない
今日もテレビや新聞では、偉い人たちが深刻な顔で「これからの日本は、ますますたいへんなことになる」「100年に一度の非常事態だ」と不安や危機感をあおってくれています。それを聞いていると、将来への夢や希望なんて持つ気になれないかもしれません。
しかし、若者が将来に希望を持たずして、誰が持てばいいのでしょう。持たないより持った方が楽しいに決まっています。文字通りの革命的な思想によって世界を変えたマルクスは、
「現在の社会は固定した結晶体ではなく、変化することの可能な、そして常に変化の過程にある有機体なのだ」
と言っています。歴史を何十年分か振り返っただけでも明白ですが、「今の時代」がそのまま続くことはあり得ません。やがて必ず変化していくので、希望を持つことに遠慮は無用です。
「人間が環境を作るように、環境も人間を作つている」
彼は、こうも言っています。自分の考えや気分なんて、しょせんは「環境」に左右されるもの。確かに世の中は暗い雰囲気だし、具体的に気が滅入る出来事にも直面しがちですが、「希望なんて持てない」という気になるのは、今の状況や流行に影響されている部分が大です。そこに気づいて、目に見えない呪縛から自分を解き放ちましょう。とにかく行動を起こせば「世界」は大きく変わる
とはいえ、希望をふくらませることにばかり精を出していても仕方ありません。マルクスは言いました。
「弱い者はいつも奇跡を信じることで救いを見つけた。空想の中で敵をやっつけ、その敵に勝ったものだと思い込み、(中略)現在を理解する力をまったく放棄するのだ」
希望と妄想は別もの。夢を持つことは大事ですが、「こんな素敵な夢を持っている自分」に満足して、夢をつかむための努力は何もしていないというケースはよくあります。
「哲学者は世界を解釈しただけだ。重要なのは変革することである」
かつては、彼のこの言葉が革命への情熱に火をつけました。理屈をこねてウダウダ言ってるだけじゃなくて、とにかく、行動を起こせという意味です。ま、世の中全体の変革に乗り出す必要はありませんが、自分を取り巻く身近な世界を変革するために、まずは新たな一歩を踏み出しましょう。
「どんなに小さくとも、公然たる実践というものは、すべての人を限りなく元気づける」
これは彼が書いた手紙の一節です。行動することで自分も周囲も変わるし、いろんな希望も見えてくるはず。たとえどんな時代だろうが、若者にとっては、まさに「今」こそが「希望を持つには最適のタイミング」です。【大人の結論!】
絶望するという甘い誘惑を大人の気合いで振り切るべし!
マルクスのエトキには、「ドイツ生まれの経済学者・哲学者。相棒のエンゲルスに資金面で支えられながら、社会主義思想を確立した。その後多くの社会主義国家が誕生するが、ことごとく崩壊。ただ、そのことが彼の偉大さを否定する理由にはならない」と書かれています。
ということで、「重要なのは世界を変革することである」という言葉は、マルクスの「フォイエルバッハにかんするテーゼ」の中の有名な言葉ですが、あとのマルクスの言葉って、どこから引っ張ってきたやつなんでしょう? (^^;)
どなたか、これじゃないか? という情報をお持ちの方、ぜひご教示ください。m(_’_)m
こんばんは。
ちょうど、青年のみなさんとの学習会で、「・・・大事なのは変革である」というところを紹介していたところなので、タイミングぴったりでした。マルクスを学ぶ事は、生き方を貫くものを学ぶ事なんですね。そのことも考え直しました。
ところで、マルクスからの引用ですが、GAKUさんが「どこから?」と書くほどですから、私も「?」と思いつつ読みました。「人間が環境を・・・」というのは、テーゼの言い回しの変形かな? 若い時期のマルクスのものも読んでみたいと思いました。
こんばんは、はじめまして。
引用についてすでに調査済かもしれませんが、
私なりに少し調べましたので、判明した分だけ
書き込みいたします。
?「現在の社会は固定した結晶体ではなく、変化することの可能
な、そして常に変化の過程にある有機体なのだ」
・・・『資本論』第一版序文(大月版P11)
『経済』5月号、最新号二瓶剛男インタビューにも引用される。(P42下段)
?「人間が環境を作るように、環境も人間を作つている」
・・・『ドイツ・イデオロギー』新日本版(P52一行から二行)
?「弱い者はいつも奇跡を信じることで救いを見つけた。空想の
中で敵をやっつけ、その敵に勝ったものだと思い込み、(中
略)現在を理解する力をまったく放棄するのだ」
・・・『ブリュメール十八日』一章、岩波文庫版(P23)
「ここがロードスだ。ここでとべ」の数行後。
出版社が異なるのはご勘弁を・・・以上です。
数の子さん
情報ありがとうございました。m(_’_)m
「調べないと」と思いながら、なかなか調べられなかったので、助かりました。
2番目と3番目は、おおよその見当がついていたのですが、1番目はまったく思い至りませんでした。まだまだ自分の読み方が浅いなと痛感しました。(^^;)