燃える格安高速バス 隔日運転で運行継続?

読売新聞のウェブサイトには、JRバス関東と西日本JRバスが運行している格安深夜高速バス「青春メガドリーム号」が、今月18日から運行を休止する、というニュースが流れている。

大阪?東京の格安バス、休止へ 学生の就活にも影響(読売新聞)

しかし、JRバス関東と西日本JRバスのサイトをみると、18日から運行休止ではなく、「隔日運行になる」という告知が出ている。はたして、どちらが本当なのだろうか?

4月18日以降の青春メガドリームの運行について | ジェイアールバス関東
青春メガドリーム号の運行について | 西日本ジェイアールバス

もともと「青春メガドリーム号」は、それまで東京-大阪間の深夜高速バスが片道8,000円程度していたときに、片道4,300円、早期予約すれば800円引きの3,500円という格安運行を売りに始まったもの。従来の2倍の定員(約80人)の超大型車両(ドイツ・ネオプラン社製)を使って一度に2倍のお客さんを運べば1人当たりの運賃は半額になる、という理屈だ。

しかし、昨年と先月16日の2度にわたって、高速道路走行中にエンジン付近から火を噴いて全焼する、という事故を起こした。そのため、ネオプラン社製バスでの運行は中止せざるをえなくなった。それで、現在は定員50人の大型車両を使っているが、事故前にすでに予約された客をさばくために2台並べての運行になっている。

しかし、これでは“2倍の客を乗せるから運賃は半額に”という最初の計算が成り立たない。そこで普通に考えれば、読売新聞の記事がいうように運行休止へということになるのだが、どうやらJRバスの方針は違ったようだ。1台50人乗りの車両に変更するが料金はそのまま、ただし隔日運行にする、というのだ。1日2台から隔日1台になるのだから、運行本数は4分の1ということになる。それでも運行を休止しないのは、バス炎上で即格安バスを運行休止にしてしまえば、いかにもJRバスが「安かろう、悪かろう」のバスで運行していたというかっこうになってしまう。それで、できるだけ赤字を小さくするために隔日運行ということにして、とりあえずは体裁を整えたというところだろうか。隔日運行なら、だんだんと客が減ってゆくかも知れず、客が減ったところで運行休止にする算段なのかも知れない。

何にせよ、公共交通である以上、安全が第一。1回目の事故のときに徹底的に原因を調査して万全の対策をとっていたのかどうか、JRバスの安全管理体制が問われる。

大阪?東京の格安バス、休止へ 学生の就活にも影響

[2009年4月3日 読売新聞]

ドイツ製車両が2度の炎上事故

 JR系列2社が大阪―東京間で運行している大型高速バス「青春メガドリーム号」が、18日から運行を休止する。使用しているドイツ製車両が昨年5月と今年3月、走行中に炎上事故を起こし、今も原因が究明できないためだ。4300円という格安運賃が人気で、就職活動の学生の足も支えていたバスは、このまま姿を消す可能性が高い。

万全のはずが

 3月16日未明、東名高速の牧之原サービスエリア(静岡県牧之原市)の西約5キロ。大阪から東京に向かっていた青春メガドリーム号の運転手が、車体後部のエンジン付近から白煙が上がっているのに気づいた。緊急停車し、運転手と乗客77人が降りた後、車両は全焼。バスは無残な骨組みをさらした。
 こうした状況は、昨年5月29日、大津市の名神高速で起きた1件目の事故と酷似。この時もエンジン付近から出火し、乗客60人が避難した後に炎上した。
 ドイツ・ネオプラン社製の2階建てバスで国内に4台導入され、ジェイアールバス関東(東京)と西日本ジェイアールバス(大阪市)が2台ずつ所有。2006年に共同運行を始めた。
 通常のバス2台分に相当する77?80人が乗れるため運賃は他の高速バスのほぼ半額。若者らに好評で、乗車率8割を誇る両社の〈ドル箱〉だった。春は、就職活動で東西を行き来する学生の利用も目立つ。
 昨年の事故は西日本の車両。同社は「原因判明まで同型の運行を取りやめる」としていたが、究明できないまま、エンジン部分の配線を改良するなどして2か月後に運行を再開した。
 運行中止しなかった関東も同様の改良を施したが、うち1台で今回の火災が発生。西日本の担当者は「万全を期したが、結果的に対策に抜けがあったと言わざるを得ない」と話す。

原因不明

 大阪府内にある販売代理店によると、同型バスは西欧で広く使われているが、同様の事故の報告はないという。だが、国土交通省は「2度も炎上事故を起こした事実は重い」として、残る2台の運行中止を両社に求めた。
 交通事故分析が専門の嶋村宗正・千葉科学大教授は「最初の事故が起きた際にドイツから技術者を呼ぶなどして詳しく調査すべきだった。原因がうやむやのまま運行再開することは、許されない」と話す。
 現在、青春メガドリーム号は通常のバス2台を連ねて運行。就職活動で頻繁に利用する関西大4年の男子学生(21)は「面接や説明会で東京に行かなければならず、低運賃のバスは絶対に必要。安全を確保したうえで路線を守ってほしい」と話すが、2台運行の場合は運転手が4人必要なため、2社は「運賃を据え置いたまま、高コスト運行を続けるのは困難」としている。

【追記】
結局、「読売新聞」4月4日付に次のような記事が載っておりました。事実上の訂正記事です。

大阪―東京の格安バス、JR系2社が運行継続へ(読売新聞)

大阪―東京の格安バス、JR系2社が運行継続へ

[2009年4月4日 読売新聞]

 ドイツ製車両が炎上事故を起こした大型高速バス「青春メガドリーム号」(大阪―東京)について、西日本ジェイアールバス(大阪市)とジェイアールバス関東(東京)は3日、運行を休止する見通しだった18日以降も、別の車両を使用し、隔日運行で運行を続けると発表した。
 西日本が所有する日本製の2階建て車両(56席)を使い、運賃は片道4300円で据え置く。18日以降分の乗車券発売日は未定。同社は「他社への対抗もあり、運行を継続する」としている。

この記事を読むと、隔日運行になったのは、西日本JRバスの所有するバスだけで運行されることになったためのようですね。つまり、JRバス関東は4,300円の格安バスからは撤退したということなのでしょう。

Related Articles:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください