松田磐余『江戸・東京地形学散歩』(之潮)。某書店では、日本史(近世史)のコーナーに置いてありましたが、どちらかと言えば地形学の本じゃないのかな〜
とくに第1章「武蔵野台地と東京低地の形成」は、東京の地形がどうやってできたかというお話ですが、話は、およそ12〜13万年前の最終間氷期から、江戸時代以降の人間による埋め立て、戦後の地盤沈下まで、なかなか長大なスケールです。
第2章「地形形成史を訪ねて」は、東京のどこへ行けば、どんな地形が見れるかという話。
第3章「災害の跡を訪ねて」、第4章「災害対策を訪ねて」は、東京の水害や地震の跡と、防災のための河川工事などの場所を見て歩くという内容。サブタイトルは「災害史と防災の視点から」ということなので、ここらあたりが本書のメインテーマなんでしょう。第2章ともども、フィールドワーク向きの内容です。
それにしても、東京というところは、地形の変化に富んでいて、元地学部のオイラとしては興味津々。(^^;)
しかし、地上には高層ビルが林立して、パッと見には地形がさっぱりわからなくなってしまっているのが残念です。本書には、もともとの地形を示すものとして明治期の地図がふんだんに引用されていますが、それを眺めているだけでも楽しくなります。
「あとがき」を読むと、本書執筆のきっかけの1つになったのが、「東京新聞」夕刊に連載された「災害都市東京の地形を考える」(2006年)であったと書かれていました。実をいうと、僕が東京の地形形成史にかんする本をいろいろ探すきっかけになったのが、この連載でした。わずか10回の連載で、ちょっと食い足りなくて、しかし、その後東京新聞で単行本化される気配もなく、いろいろ探していたんですが、ようやくそれを見つけた気分です。
初版2008年刊の増補改定版です。
出版元の本紹介はこちら↓。
Collegio – 之潮 コレジオ 書籍・古地図/出版・販売 ? 江戸・東京地形学散歩
【書誌情報】
著者:松田磐余(まつだ・いわれ)/書名:増補改訂版・江戸・東京地形学散歩―災害史と防災の視点から/出版社:之潮Collegio/発行:2009年3月/定価:本体2800円+税/ISBN978-4-902695-09-0
はじめまして。「江戸・東京地形学散歩」版元です。
取り上げて頂いてありがとうございます。
「近世史のコーナーに置いてあった」とは東京なら新宿の大手ですね。私も去年営業に歩いて、その書店の担当の方に申し入れ、またその会社和書部にも電話でお話したのですがねえ。銀座の某書店でも歴史コーナーに置こうか、と話合いました(置く場所が限られているのです)。
お好きな音楽家といい、(話題飛び舞すが)、新型インフルエンザ問題といい、もちろん教科書問題といい、私と共通なお考えをこちらで確認できました。
これから、たびたび訪問させて頂きます。
新型インフルエンザはメキシコ、ベラクルスにある米国大手養豚場が発生源で、大手企業の衛生管理ミスをメディアも隠蔽とのこと。私が属している「9条改悪阻止の会」からの情報です。
なーるほど、米軍の問題があった、と膝を叩いております。
川好きさん、わざわざお越しいただきありがとうございます。
> 「近世史のコーナーに置いてあった」とは東京なら新宿の大手ですね。
ご推察の通り、新宿南口の某大手書店です。こちらは、同じ書店の本店に比べ、いわゆる「売れ筋」の本優先になっていて、専門書の扱いが少々疎かになっているようです。ただ、ちょうど出退勤の途中にあるので、ちょくちょく立ち寄っております。
私はとくに第1章を面白く読んだので、これは絶対地質学でしょ、と思ってしまいましたが、災害史として読めば日本史の本に分類されるのかも知れませんね。
米大手養豚場の件は、インターネットをググってみたら、あちこちで取り上げられていました。(^_^;)
興味をそそられる話ですが、真偽のほどは私には確かめようがありません。まあ、それがインターネットというものなのですが…。
ということで、これからも拙ブログをよろしくお願いします。m(_’_)m