日本の厚生労働省が、貧困率を初めて調査。
で、厚生労働省の発表資料がこちら↓。といっても、ペーパーは3枚だけですが。
貧困率というのは、日本国民を所得の多い順にずら?っと並べたときに真ん中に来る人(中位値)の収入の半分未満の人の割合のこと。だから、これはあくまで「相対的」なもの。
OECDの調査では、OECD諸国の平均はおおむね10%ぐらいですが、それに比べると日本は貧富の格差が大きいということです。
それから、この場合の所得は、世帯的所得ではなく個人所得ですのでご注意を。これは、世帯所得を世帯人数の平方根で割ったもので、たとえば世帯所得400万円で4人家族の場合は、個人所得200万円ということになります。今回の調査では中央値は228万円だったそうですが、世帯人数が平均2人だとすると、これは世帯所得約320万円ぐらいの見当になります。
日本の貧困率は15.7% 厚労省が初公表
[asahi.com 2009年10月20日14時4分]
長妻昭厚生労働相は20日、低所得者の占める割合を示す「貧困率」について、07年は15.7%だったと明らかにした。政府として貧困率を公表するのは初めて。長妻氏は会見で「今後、子ども手当など、数値を改善する政策を打ち出していきたい」と述べ、数値を踏まえて貧困解消に取り組む考えを示した。
公表されたのは国民生活基礎調査をもとに算出した「相対的貧困率」。所得を世帯人数に振り分けて高い順に並べたときに真ん中の所得(228万円)を基準に、その半分に満たない人が占める割合を示す。
今回は、98年以降の3年ごとの数値も公表された。98年時点では14.6%、01年は15.3%、04年は14.9%だった。
経済協力開発機構(OECD)の08年報告書では、04年の日本の貧困率は14.9%で、加盟30カ国のうちメキシコ、トルコ、米国に次いで4番目に高かった。30カ国の平均値は10.6%。日本は働いている1人親家庭の子ども(18歳未満)が58%と、圧倒的に高かった。厚労省は今回、1人親家庭を含む18歳未満の子どもの貧困率は14.2%(07年)と公表した。
同省は今後、1人親家庭や、子ども手当を受給した場合の貧困率も調べる。
さて、こんごは相対的貧困率だけでなく、絶対的貧困基準を明らかにして、政府として貧困の実態調査を行なってほしいですね。
ちなみに、OECDの2008年調査によると、OECD諸国の2000年代中葉における相対的貧困率は以下の通り。↓
濃紺、青、水色の3色に分かれていますが、それぞれ中位値の40%、50%、60%未満の占める割合を示しています。グラフは、いちばん良く使われる中央値の50%未満の割合の順でならんでいて、それによれば日本は、OECD諸国内で4番目に貧困率が高い国になっています。
それで気づくのは、概して、貧困率の低い国ほど、中位値の50%、60%の数値に比べて、中央値40%未満の数値が小さいこと。たとえば、日本は、中央値50%未満の割合がおよそ15%にたいして、中央値40%未満の割合は9.5%程度。それにたいして、デンマークでは、中央値50%未満が5.5%にたいして40%未満は2%程度です。つまり、より貧困な階層が少ない、ということ。
相対的貧困率を計算する場合の所得は、原収入から税金などを引き、社会保障による移転所得をくわえたあとの、いわゆる可処分所得です。だから、相対的貧困率の低い国ほど最貧困層にたいする社会保障が手厚く行われている、あるいは、最貧困層にたいする社会保障が手厚い国ほど相対的貧困率が低い、ということになります。逆にいうと、社会保障が不十分な国ほど、ただ相対的貧困率が高くなるだけでなく、同じ貧困層のなかでも最貧困層の割合が大きくなる、ということが読み取れるのではないでしょうか。
ソースはこちらから↓。
Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in OECD Countries