ああ、日本は教育最貧国…

OECDの調査で、日本の教育機関にたいする公財政支出の対GDP比がOECD28カ国で最下位だったことが明らかに。産経新聞は「?」をつけてますが、日本は間違いなく「教育最貧国」です。

日本は教育後進国? 公財政支出の教育費割合28カ国中最下位 OECD:MSN産経ニュース
小学校の1学級児童、3番目の多さ=中学はワースト2?OECD調査:時事通信

先日、NHKの「クローズアップ現代」(9月6日放映)で、奨学金の問題を取り上げていました。

NHK クローズアップ現代 奨学金が返せない

番組では、図書館の司書になりたいと奨学金を借りて大学進学した女性が、奨学金返済のために司書になる夢を諦めざるをえなかったとか、仕事を辞めざるをえなくなった男性がアルバイトをしながら毎月5000円、1万円と返しているにもかかわらず、利子+延滞料で卒業時130万円あまりだった返還額が2倍にふくれあがってしまったなど、見ていて心が痛くなるような話が紹介されていました。

授業料が高くなり奨学金を希望する学生が増え、それに応じて利子付き奨学金が拡大し、奨学金全体の7割を占めるほどになってきたこと、それにもかかわらず就職「超氷河期」のために奨学金が返せなくなる人が増えているのです。その対策として、学生支援機構(昔の日本育英会)は3カ月滞納で信用情報機構に個人情報を登録することを進めています。いわゆる「ブラックリスト」に乗せる訳ですね。そうなると、クレジットカードも作れないし、住宅ローンも借りられなくなります。もうほとんどサラ金の取り立てです。しかも学生支援機構が、こうした措置は「奨学金を借りていた人が多重債務におちいるのを防ぐ『教育的措置』だ」と説明していたのにはあきれるどころか、怒りさえわいてきました。

日本では、奨学金といえば、無利子の場合でも返済の必要な貸与が主流ですが、海外では返済不要の給付型が当たり前です。まして、利子付きなんて、奨学金の名に値しません。

こんなことになるのも、日本の公的教育予算が少なすぎるからです。こんな貧しい教育行政をつづけていては、日本の未来はますます暗くなるばかり。せめてOECD平均並みまで教育予算を増額して、子どもたちが安心して学べる環境を充実させないといけません。

日本は教育後進国? 公財政支出の教育費割合28カ国中最下位 OECD

[MSN産経ニュース 2010.9.7 18:40]

 経済協力開発機構(OECD)は7日、2007(平成19)年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める教育費の公財政支出の割合を公表した。日本は3.3%で28カ国中、最下位だった。
 日本は比較的、GDPが高いため、教育費そのものの額は大きい。ただ、同じようにGDPが高い米英仏独は、いずれも日本より高く、特にフランスは5.5%に上っている。トップはアイスランドで7.0%。
 文部科学省は「日本は私立学校に在籍する子供や学生も多い。少子化で教育費の公的支出が抑制されている面もあり、一概に日本が教育に力を入れていないとはいえない」としている。
 日本の教育費全体のうち、公費が占める割合は66.7%で、家計や企業など私費が33.3%。一方、フランスでは公費の割合が91.0%に上っており、ほかの英独と比べても、日本は公費の割合が低かった。
 1学級の平均的規模は日本は小学校が28.0人、中学校が33.0人。加盟国平均は小学校で21.6人、中学校で23.7人で、いずれも日本より少なかった。文科省は来年度から順次、全国で1学級が35人を超えることのないように、少人数化を進める方針。

小学校の1学級児童、3番目の多さ=中学はワースト2?OECD調査

[時事通信 2010/09/07-18:08]

 経済協力開発機構(OECD)は7日、加盟国の教育施策に関する調査結果を発表した。2008年の日本の公立学校の1学級に在籍する児童・生徒の平均人数は、初等教育(小学校)で28.0人と、OECD平均の21.6人を大きく上回り、数値が比較できる加盟国27カ国中3番目に多かった。前期中等教育(中学校)でも33.0人(OECD平均23.7人)と、23カ国中2番目に多く、大規模な学級で学ぶ日本の実情が浮き彫りになった形だ。

ということで、文部科学省が発表した資料はこちら↓。

『図表でみる教育 OECDインディケータ(2010年版)』(Education at a Glance)の概要について:文部科学省

ああ、日本は教育最貧国…」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 緑の森を楽しく歩いた

  2. こんばんは。
    ちょっと古い記事で申し訳ないですが、TBさせていただきました。

    この番組、「返還額が2倍にふくれあがってしまった」というあたりから見ていました。
    延滞料は10%なのですね。(^^;

  3. winter-cosmosさん、こんばんは。

    僕は大学院博士課程まで奨学金を借りたので、卒業時の借金は550万円ありました。でも毎年25万円の返還は、定職に就けたので、なんとかボーナスで返すことができました

    でも、いまは学部4年間、無利子月5万円程度の奨学金を借りただけでも、卒業後15年間、毎月1万5000円ずつ返済しなければなりません。正社員になれれば返せない額ではありませんが、正社員になれなければ、かなりの負担です。

    「クローズアップ現代」でも取り上げられていた司書なども、この間の公立図書館の「指定管理者制度」(民営化)によってポストが減っている上に、司書資格があっても不安定雇用という場合が少なくありません。

    教員の場合も、採用試験が厳しくなっているので、正教員になれなければたちまち返済に行き詰まることになります。

    こんな制度は、根本的におかしいとしか言いようがありません。

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