「自分が好き」 高校生では26%

子ども調査「今の自分が好きだ」

国立青少年教育振興機構の調査で、「いまの自分が好きだ」と答えた子どもの割合が、高校生で26.4%と約4人に1人にとどまっていることが明らかになった。「いまの自分が好きだ」というのは、いわゆる自己肯定感といわれるもの。小学5年では57.1%が「いまの自分が好きだ」と答えているのにくらべ、中学、高校と成長するにつれて下がっていく。

青少年調査:小中高生、成長とともに自己肯定感低下――青少年教育振興機構:毎日新聞

大もとの調査はこちら。↓

「青少年の体験活動等と自立に関する実態調査」(2009年度調査)報告書:国立青少年教育振興機構

子ども調査「自分には自分らしさがある」子ども調査「勉強は得意な方だ」

同じように、「自分には、自分らしさがある」と答える割合も、小学5年の75.5%から高校2年の55.9%へと低下。一番低下しているのは勉強かも知れない(小学5年48.2%→高校2年18.3%)。

ところでこの調査でおもしろいのは、生活体験や自然体験と道徳観・正義感の相関をしらべていること。

自然体験と道徳観・正義感の関係

「生活体験」のなかには「ナイフや包丁で果物の皮をむいたり野菜を切ったこと」という項目もあるが、「道路や公園に捨てられているゴミを拾ったりしたこと」「弱いものいじめやケンカをやめさせたり、注意したこと」があるかどうかという質問項目があり、もともと道徳観・正義感と相関があることは十分予想される。

しかし、「自然体験」の方はちょいと不思議。なにゆえ「チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえたこと」や「海や川で貝を取ったり、魚を釣ったりしたこと」「大きな木に登ったこと」「太陽が昇るところや沈むところを見たこと」などがあることと、道徳観・正義感とに相関があるのだろうか? 子どもの道徳観・正義感の形成にとって自然体験がどんな意味を持つのか、もう少しいろいろ調べてみる必要があるのかも知れない。

青少年調査:小中高生、成長とともに自己肯定感低下――青少年教育振興機構

[毎日新聞 2010年10月14日 東京夕刊]

 小中高生の自分に対する評価が年齢が高くなるに従って低下していることが、独立行政法人・国立青少年教育振興機構の「青少年の体験活動等と自立に関する実態調査」で分かった。「今の自分が好き」と答えた高校生は26.4%で、57.1%だった小学生の半分以下にすぎないなど、成長に伴って自己肯定感が薄れる傾向が鮮明になった。【篠原成行】

 調査は昨年11月-今年2月、全国の小学4-6年と中学2年、高校2年の計約1万9000人に、「自分に対する意識」「自然体験」「メディア接触」など8項目を尋ねた。
 自分に対する意識で「今の自分が好きだ」と考えているかについては、「とても思う」「少し思う」と答えた割合が▽小学5年57.1%▽中学2年27.3%▽高校2年26.4%――と年齢が上がるほど下がった。「自分には自分らしさがある」も、小5は75.5%だったが、中2が56.1%、高2が55.9%。「勉強が得意だ」も小5が48.2%なのに、中2は23.1%、高2は18.3%だった。
 また「過去3年間にチョウやトンボ、バッタなどをつかまえた」かについて、98年調査と同様に小4、小6、中2に尋ねると、「ほとんどない」が41%で98年の19%から倍増。「海や川で泳いだ」も「ほとんどない」が98年の10%から30%に急増し、子供たちの自然体験が乏しくなっている現状が示された。
 メディアへの接触を同じ3学年に聞いたところ、「1日にテレビやDVDを見る時間」を「1時間以上」と答えた割合が98年の67%から56%に減少。「テレビやパソコンでゲームをする時間」は「1時間以上」が34%から48%に急増し、娯楽にも変化が見られた。

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◇青少年の体験活動等と自立に関する調査

◆今の自分が好きだ◆
   とても思う 少し思う  思わない
小5   20.6%  36.5%   42.6%
中2   6.7%  20.6%   71.6%
高2   5.2%  21.2%   72.6%

◆チョウなどをつかまえた◆
   何度もある 少しある ほとんどない
98年  50%   31%   19%
05年  35%   30%   35%
09年  32%   27%   41%

◆テレビゲームなどをする時間◆
   1時間未満 1-2時間 2時間以上
98年  66%   22%   12%
05年  60%   24%   16%
09年  51%   27%   21%

※回答不明があるため、合計が100%とならない場合もある。

「自分が好き」 高校生では26%」への2件のフィードバック

  1. はじめまして
    rhayaderと申します。
    ちいさないきものと遊んだ(あるいは殺した?)子ども時代の体験と青年期の自己肯定感について興味深い数字ですね。
    虫達には迷惑で残酷なことかもしれませんが自分の体験からも「いのち」への興味や邂逅は子ども時代の小さないのちとの戯れ(飼育、栽培したり、時には殺すこと)にあったというのは首是できるようにおもいます。
    このような「いのち」を巡る環境の時代的な変化とそれがもたらす人間の発達の変化について市民、民衆のサイドに立って、どのような提案とアプローチができるのか、考えることも必要なのかもしれませんね。

  2. rhayaderさん、初めまして。

    確かに、子どもの頃の小さな生き物との出合いというのは、大人になってゆくときの人格形成にとって大きな出来事なのかも知れませんね。

    僕自身、カエルの口にストローを突っ込んで、息を吹き込むなんていう「遊び」もしたことがあります。そういうことをおもしろがってやる一方で、「残酷なことをやっている」ということも分かっていたような気もします。

    子どもが大人になってゆくときに、どのようにして道徳観や価値観を内面化していくかという問題は、もっと本気で科学的に分析・研究する必要があると思っています。

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