マルクスの時代の1シリングは、いまの円に直すといくらぐらいだったのだろうか?

ひょんなことで、「マルクスの時代の1シリングというのは、いまの円に直したらいくらぐらいになるのか?」 という質問を受け、少し調べてみました。

1シリングという通貨単位は現在は廃止されてしまっています ((1971年2月13日をもって、1ポンド=100ペンスに切り替えられた。))が、かつては1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンスでした。さらに、マルクスの時代は、金1オンスの公定価格は3ポンド17シリング10ペンス半でした。ですから、現在の金1オンスの価格がわかれば、当時の1シリングが何円ぐらいに相当するか計算することができます。

調べてみると、現在、金は1グラム3,916円 ((田中貴金属工業株式会社の小売価格による12/24の金価格。))。1オンス=31.1034768グラムですから、金1オンス=121,801円になります。

1シリングが何円になるかは、これを3ポンド17シリング10ペンス半で割ればいいわけです。3ポンド17シリング10ペンス半は、シリングに直すと、3×20+17+10.5÷12=77.875シリング。したがって、1シリングは121,801円÷77.875シリング=1,564円 という計算になります。

大雑把にまるめると、1シリング=約1,500円というところでしょうか。

ところで、浜林正夫氏は、『「資本論」を読む』(上、学習の友社)のなかで、1840年ごろの労働者の週平均の生活費として、次のような数字をあげています。このころの労働者は貯金などする余裕はなかったでしょうから、これがほぼ週賃金の額ということになります。

  • 最下級労働者の1週間の支出 10シリング〜5シリング6ペンス
  • 半熟練労働者の1週間の支出 15シリング
  • 熟練労働者の1週間の支出 1ポンド1シリング1.5ペンス〜1ポンド2.5ペンス

ちなみに、マルクスは『資本論』で、労働者の1日の賃金として3シリングという数字を挙げています。これが1860年代の平均的な賃金だとすると、週6日なので週賃金は18シリング。したがって、浜林氏の上げた数字とまあ似た数字になります。

そこで、いまかりに熟練労働者の賃金を1ポンドとしましょう。

ここに、先ほどの1シリング約1,500円という数字を当てはめてみると、週給で約3万円月給で約12〜15万円という数字が出てきます。現在の労働者の平均給与額からするとかなり低いですが、当時の労働者の生活水準を考えると、これは妥当な数字なのかも知れません。

ということで、とりあえず当時の1シリング=1,500円 になるのではないか、というのが僕の計算です。はたしてこれが妥当な数字なのかどうか、何か情報をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示願います。m(_’_)m

【追記】

マルクスは、『資本論』で、金の生産はだんだん困難になるのにたいして銀の生産はだんだんと容易になるので、金にたいして銀は下落すると書いています。もしその通りであれば、マルクスの時代からすると、金の価値は、他の諸商品にたいして相対的に騰貴していると考えられるので、マルクスの時代の1シリングは、1,500円よりももう少し安かったと考えるべきなのかも知れません。

【追記その2】
「マルクスの時代、1ドルはいくらぐらいの値打ちがあったのか?」に書きましたが、金の価格は、かなり激しく変動しています。たとえば2009年の平均価格だと、金1g=2,951円。これだと1シリング=1,179円になります。さらに、2000年の平均価格だと、金1g=1,014円で、1シリング=405円。熟練労働者の週賃金が約8,000円、月給で3万2,000円〜4万円という計算になり、かなり安くなります。

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