ブリュッヘンって、意外にお茶目?

新日本フィル第472回サントリー定期演奏会

フランス・ブリュッヘン指揮のベートーヴェン交響曲全曲演奏会。今日は、新日本フィルの定期演奏会での演奏です。

  • ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op.93
  • ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ長調 op.125 「合唱付き」

今日の演奏で一番びっくりしたのは、「第九」の演奏で、第4楽章がすすんでそろそろ歌が始まるというのに、ソリストが舞台にあらわれなかったこと。どうするんだ〜?! と思っていたら、上手から、バリトンのデイヴィッド・ウィルソン=ジョンソンがあたふたと登場し、トロンボーンの後ろあたりで、客席に腕を広げて歌い始めたのです。

それはまるで、観客にむかって「友よ、こんな調べではない。もっと楽しい歌を歌おう!」と呼びかけているかのようです。考えてみれば、「第九」が初めて演奏されたときは、誰もが度肝を抜かれたはず。そんなふうに観客を驚かせながら、ベートーヴェンは「ともに歌おう」「一緒になろう」と呼びかけたのだから、その衝撃はもっと大きかったに違いありません。

もちろん、こんなやり方は、下手をすれば、せっかくの演奏を台無しにしかねないものです。しかし、そこは、ソリストの力量。お見事でした。

とはいえ、ブリュッヘンの指揮は、チクルス第1回のときもそうでしたが、今日も、たとえば第4楽章に入ったところではテンポを揺らしまくっていました。それに、全体としてテンポは遅めで、ノン・ビブラート奏法+小ぶりの編成ということもあいまって、いささか覇気がないように感じられました。第8番も、もう少し軽快に演奏したほうが8番らしくていいのになぁ〜、というのが率直な感想です。

合唱は全体で90名ほど。何カ所はちょっと厳しいところもありましたが、歌詞も明瞭に聴き取れて、なかなかの出来でした。

オケの編成は、前半が10-10-6-4-3、後半「第九」は少し大きくなって14-14-10-8-6。弦が少ない分、普段は弦に埋没していたファゴットの音などがよく聞こえて、おもしろかったです。

そういえば、ファゴットの河村幹子さん、ストレートセミロングの髪にメガネで、遠目には吉田秋生のマンガに登場する女性のような怪しい雰囲気を醸し出されておりました。(^_^;)

すっかり背中が丸くなって、ステージの出入りもゆっくりゆっくりのブリュッヘンさんですが、いろいろとお茶目なことをやってくれますね。次の日曜日のバッハ「ミサ曲 ロ短調」がいよいよ楽しみです。

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【演奏会情報】 新日本フィル第472回サントリー定期演奏会
指揮:フランス・ブリュッヘン/ソプラノ:リーサ・ラーション/あると:ウィルケ・テ・ブルメルトゥルーテ/テノール:ベンジャミン・ヒューレット/バリトン:デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン/合唱:栗友会合唱団/合唱指揮:栗山文昭/コンサートマスター:崔文洙/会場:サントリーホール/開演:2011年2月21日 午後7時15分

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