文部科学省の計測で、福島県浪江町や飯舘村の計測地点で積算放射線量が人工被曝年間限度の1ミリシーベルトを上回っていることが判明。もちろんこれらは計測地点での数値であって、特異的に放射線量が多いのかも知れないが、しかし、全体としては、原子力安全委員会が予測したように北西方向に放射線の高い地帯が広がっていることはまちがいない。
福島市は、まだ1ミリシーベルトを超えていないが、170時間の積算で0.244ミリシーベルト。もしこのままの状態が続けば、あと3週間ほどで1ミリシーベルトの限度を超えるだろう。残念ながら、これが、「ただちに健康に影響はない」と言い続けてきたことの結果である。
そうなるまえに事態が終息することを願うが、事態がここまで立ち至ると、本当にこれが「健康に影響のない」水準なのかどうか、責任ある機関が責任ある評価を明らかにすることが必要だろう。
放射性物質:累積放射線量 浪江町などで年間限度超える:毎日新聞
累積放射線量 浪江町などで年間限度超える
[毎日新聞 2011年4月2日 19時50分(最終更新 4月2日 20時14分)]
文部科学省は2日、福島第1原発から北西約30キロの福島県浪江町国道399号沿いの累積放射線量が、8.985ミリシーベルトに達したと発表した。3月23日以降214時間の累積で、浪江町内の他3地点▽4.078ミリシーベルト▽4.127ミリシーベルト▽1.807ミリシーベルト、北西約32キロの飯舘村の5.339ミリシーベルトが、人工被ばく年間限度(1ミリシーベルト)を超えている。
都道府県に設置するモニタリングポスト(自動観測局、MP)は、2日午前9時時点で宮城、茨城、栃木など7都県で1時間当たりの大気中放射線量が通常値を超えた。いずれも通常値に近付いている。
1日に採取した水道水1キロでは11都県で放射性ヨウ素0.11〜9.8ベクレル、5都県で放射性セシウム0.41〜4.3ベクレルを検出した。ヨウ素とセシウムがともに検出されたのは栃木、群馬、埼玉、千葉、東京の5都県。
原発から20〜60キロ離れた福島県内の30カ所の屋外で行った2日午前6時?午後1時59分のモニタリングカー調査は、1時間当たりの大気中放射線量が0.5〜62マイクロシーベルトだった。【篠原成行】
本文中、「福島市は、まだ1ミリシーベルトを超えていないが」とありますが、実は3/15からの積算では3ミリシーベルト近くに達しています。しかし屋外に常時裸体で居られた方が対象の話。
屋内にいる限り、遮蔽率により、距離の2乗に反比例して強さが減衰するという放射性物質一般の特性により(しかもベータ線の透過力は弱い)、半減期により、受けうる被曝量というのは思いのほか少ないようです。
朝日新聞が報じたところによると、福島市よりも放射線濃度が強いとされる川俣町と飯舘村に住む15歳以下の方を対象に甲状腺の被曝調査が行われ、その結果は…危険性を煽り避難を提言する一部学者さんに酷な内容だったそうです。
damedameさん、コメントありがとうございます。
とりあえず子どもたちの甲状腺被曝量が少なかったことは安心ですね。
しかし、「屋内にいる限り」という前提は、長期化すると、なかなか難しくなります。もともと日本国内の原発事故のさいの防災マニュアルは放射性物質の放出は最大24時間という設定になっているので、数週間以上にわたって放射性物質が環境中に放出され続けるという、今回のような事態は想定されていません。
それだけに、今後、環境中どのような影響を与えるか、さらにもっときめ細かい観測が必要だろうと思います。