「子ども手当」について、上限860万円で所得制限を設けることで、民主党と自民党・公明党の実務者協議で「たたき台」がまとまったというニュースが流れている。
自民党・公明党にしてみれば、民主党の「目玉」公約だった「子ども手当」に「傷」をつけ、それによって民主党の「マニフェスト」のデタラメぶりを印象づけたいという思惑があるので、まだまだこれでまとまるかどうかは不明だが、そんななかで、「しんぶん赤旗」が興味深い記事を載せていた。
子ども手当見直し 支援・節約にならない 佐々木議員が批判:しんぶん赤旗
子ども手当でたたき台、上限860万円:TBS News-i
それは、共産党の佐々木憲昭・衆議院議員が「所得制限を導入するための所得の把握には膨大な手間と費用がかかる」と指摘したのにたいして、小林正夫厚生労働大臣政務官が、所得制限による予算削減額は100億円にすぎないのにシステム改修費用の方は100億円弱にのぼることを認めたというのだ。所得制限の導入で予算を節減しても、システム改修に同じぐらいの経費がかかったのでは、いったい何のための所得制限の導入なのか? ということになる。
「子ども手当」の導入のとき、所得控除などが廃止されたので、支給額を減らせば、中所得層は実質増税になる。自民・公明は「手取り860万円ではまだまだ高額所得だ」などと、高額所得者への「子ども手当」ばらまきを批判しているようにふるまっているが、実際には、中所得層への負担増をもたらそうとしていることも見逃してならないだろう。
子ども手当見直し問題 支援・節約にならない
[2011年7月27日 しんぶん赤旗]
日本共産党の佐々木憲昭議員は26日の衆院財務金融委員会で、民主党が自民・公明との協議で「子ども手当」を見直そうとしている問題について、子育て支援にも予算の節約にもならないと、ただしました。
佐々木氏は、子ども手当について日本共産党は、保育所増設など現物給付とともに一定の現金給付は必要だとの立場から賛成し、9月までの延長にも賛成したと述べました。
その上で、所得制限を導入することは、社会全体で子育てを応援する理念を否定するものだと指摘。五十嵐文彦財務副大臣は「民主党の子ども手当は、控除から手当へという制度をつくる考え方を背景にしている」と答えました。
佐々木氏は、所得制限を導入するための所得の把握には膨大な手間と費用がかかると指摘。小林正夫厚生労働大臣政務官は、所得制限による予算削減額は100億円にすぎないのにシステム改修費用の方は100億円弱にのぼることを認めました。佐々木氏は人件費を加えると支出の方が大きくなる。こんな意味のないことはやめるべきだと強調しました。
佐々木氏は、3党が検討している子ども手当の減額についても、子ども手当を導入するとき、子育て世帯への増税を合わせて実施したため支給を減らせば負担増になってしまうと指摘。小林政務官は「夫婦と子ども1人の場合、年収500万〜800万円世帯では手取りが減少する」と認めました。佐々木氏は、年少扶養控除の廃止によって所得税が増え、それが保育料の引き上げにも連動することに対し何ら対策がとられていないことをあげ、「差し引き負担増だけがかぶさってくる。民主党は何のために政権交代をしたのか、自民、公明との協議で、根本がどこかに行ってしまったのではないか」と批判しました。
子ども手当でたたき台、上限860万円
[最終更新:2011年7月27日(水) 21時2分]
民主・自民・公明の3党は、子ども手当の見直しについて実務者による協議を行い、所得制限の基準を手取り年収860万円とするたたき台をとりまとめました。今後は、3党の執行部による調整が続けられます。
3党の実務者による協議で、民主党は所得制限の上限額をこれまで提示していた手取り年収1000万円から860万円に引き下げることを提案しました。
また、所得制限を超えるすべての世帯に一律9000円を支給する案を取り下げ、0歳から3歳までは15000円、3歳から中学生までは10000円という新たな支給額の枠組みで、来年の2月分から実施したいと譲歩しました。
しかし、自民党や公明党からは所得制限の基準などについて批判が出ており、今後はこのたたき台を基に3党の幹事長・政調会長らで引き続き調整が行われることになります。(27日20:18)
しんぶん赤旗の役割がここでも光ったというところですね。赤旗というジャーナリズムの値打ちはよくわかりますが、日刊新聞という形態には限界を感じてしまいます。これを「形式と内容」とでとらえては失礼になるのでしょうか?運営経費という面以外からでも矛盾はこれからも拡大するではないでしょうか
お金をかけるなら共産党のすべての党員にネット環境を整えてもらったほうがずっとよいと思います。地デジ化でお茶の間のTVにインターネット接続で共産党の見解が動画ですぐ見れるのですから。
インターネット環境を活用することは大賛成ですが、「しんぶん赤旗」は、1つの面が1行10字×75行×15段で組まれているのですべて文字で埋められるとすれば1万1,250字になります。実際にはその半分が文字だとしても、1面で約5,000字、16面で約8万字になります。これだけの情報を、紙以外で、効率的に毎日提供できる「形式」が他にあるでしょうか。
最近は、通勤電車の中でiPhoneで日経新聞を読んでいる人をたまに見かけるようになりましたが、紙面全体をiPhoneで読むためには、どれだけスクロールやらクリックをしなければならないか、想像もつきません。紙媒体であれば、すぐにその場でめくって読むこともできます。
ですから、私は、「しんぶん赤旗」に限らず、新聞にしても書籍にしても紙媒体はなくならないし、なくしてはならないと思います。
運営経費も、紙用につくっているものをインターネットに転用する分には巨大な経費がかかることはないと思いますが、紙媒体なしにインターネット媒体だけをつくろうとすれば、その経費は決して少なくないと思います。しかし、インターネット媒体だけでは、それに見合う利用料を支払ってはもらえないのではないでしょうか。
繰り返します。インターネット環境を活用することは大賛成ですが、紙媒体を維持してこそのインターネットだと思います。