「読売新聞」が、震災6カ月の世論調査にさいして、あわせて憲法についても世論調査をおこなっていたことが明らかに。
見出しには「憲法改正『賛成』43%、『反対』は39%」とあるが、中身をよく読むと、憲法9条の第1項(戦争放棄)、第2項(戦力不保持)についてそれぞれ「改正する必要があると思うか」を問うた質問に、第1項「必要ない」77%、第2項55%と、いずれも9条改憲反対が多数を占めている。
憲法改正「賛成」が43%、「反対」は39% : 世論調査:読売新聞
「東日本大震災6か月」2011年9月面接全国世論調査:読売新聞
「読売」が毎年、憲法記念日の前に実施してきた調査では、昨年(2010年4月25日付)は、第1項「改正必要」17.7%、「必要なし」77.5%、第2項「改正必要」42.0%、「必要なし」50.9%で、第1項はほぼ変わらず、第2項は「改正必要」が42%→35%に減って、「必要なし」が51%→55%と増えている。
集団的自衛権についても、「これまで通り、使えなくてよい」が42%と多数を占めた。
今回、あらたに「大災害などの緊急事態における政府の責務や権限は、今の憲法には規定がなく、個別の法律で定められています」として、非常時の政府の責任や権限を盛り込むために憲法を改正する必要があるかどうかの質問が加わっている。しかし、回答を見ると、「憲法を改正して、政府の責務や権限を条文で明記する」と答えたのは35%しかなく、憲法改正不要という回答が多数を占めた(「憲法は改正しないで、政府の責務や権限を明記した新たな法律を作る」39%、「今のままでよい」20%、あわせて59%)。「読売」にしてみれば、東日本大震災や原発事故を口実にして、なんとかして憲法改正賛成を増やそうと思ったのかもしれないが、残念ながら、その思惑は外れたようだ。
「国民投票法」の成立をうけて、「今後、国会は、憲法改正の議論にどのように取り組むべきか」という質問もおこなわれているが、ここでも「憲法改正の原案の提出を目指して、議論をすべきだ」は36%しかなく、「憲法改正の原案の提出にはこだわらず、議論をすべきだ」36%、「憲法改正の議論をする必要はない」13%をあわせると、49%が「憲法改正の原案」づくりは必要ないというのが世論の答えだといえる。
憲法改正「賛成」が43%、「反対」は39%
[2011年9月13日21時38分 読売新聞]
読売新聞社の全国世論調査(3〜4日実施、面接方式)によると、憲法を「改正する方がよい」と答えた人は43%で、「改正しない方がよい」39%をやや上回った。
改正賛成派は昨年3月調査と同数値で、反対派は昨年より3ポイント下がった。
今の政治状況が憲法論議を行うのにふさわしくないと思う人は74%に達した。その理由(複数回答)としては、「憲法問題よりも優先すべき課題がある」64%が最も多かった。
ただ、今後の国会での取り組みについては、「憲法改正の原案の提出を目指して議論すべきだ」と「原案提出にはこだわらず議論すべきだ」が各36%で、議論を望む人は計72%だった。 衆院と参院で多数派が異なる「ねじれ国会」に対する評価では、「与野党が対立する法案が成立しなかったり、遅れたりする」51%が、「与野党で政策協議が行われ、国会が活性化する」37%を上回った。
「憲法」2011年9月面接全国世論調査
[2011年9月14日 読売新聞]
▽調査日:2011年9月3-4日
対象者:全国有権者3000人(250地点、層化二段無作為抽出法)
方法:個別訪問面接聴取法、回収:1673人(回収率56%)
Q あなたは、今の日本の憲法のどんな点に関心を持っていますか。回答リストの問題は、すべて憲法に関係するものですが、あなたがとくに関心を持っているものを、いくつでもあげて下さい。
| 天皇や皇室の問題 |
14 |
| 戦争放棄、自衛隊の問題 |
43 |
| 平等と差別の問題 |
20 |
| 言論、出版、映像などの表現の自由の問題 |
13 |
| 情報公開の問題 |
14 |
| プライバシー保護の問題 |
17 |
| 生存権、社会福祉の問題 |
21 |
| 環境問題 |
33 |
| 集会やデモ、ストライキ権の問題 |
3 |
| 選挙制度の問題 |
18 |
| 裁判の問題 |
14 |
| 靖国神社への公式参拝の問題 |
14 |
| 憲法改正の問題 |
14 |
| 三権分立の問題 |
5 |
| 地方自治の問題 |
16 |
| 国会の二院制の問題 |
12 |
| 憲法制定の過程や背景 |
5 |
| その他、とくにない、答えない |
19 |
Q あなたは、今の憲法を、改正する方がよいと思いますか、改正しない方がよいと思いますか。
| 改正する方がよい |
43 |
| 改正しない方がよい |
39 |
| 答えない |
18 |
SQ1【前問の答えが(1)の人だけ】あなたが改正する方がよいと思う理由は何ですか。回答リストの中から、いくつでもあげて下さい。
| アメリカに押しつけられた憲法だから |
26 |
| 国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため |
30 |
| 権利の主張が多すぎ、国民の義務がおろそかにされているから |
27 |
| 時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから |
50 |
| 国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから |
36 |
| その他 |
1 |
| 答えない |
2 |
SQ2【前問の答えが(2)の人だけ】あなたが改正しない方がよいと思う理由は何ですか。回答リストの中から、いくつでもあげて下さい。
| すでに国民の中に定着しているから |
50 |
| 世界に誇る平和憲法だから |
39 |
| 基本的人権、民主主義が保障されているから |
28 |
| 時代の変化に応じて、解釈、運用に幅を持たせればよいから |
21 |
| 改正すると軍事大国への道を開くおそれがあるから |
14 |
| その他 |
1 |
| 答えない |
3 |
Q 戦争を放棄し、戦力を持たないとした憲法第9条をめぐる問題について、政府はこれまで、その解釈や運用によって対応してきました。あなたは、憲法第9条について、今後、どうすればよいと思いますか。回答リストの中から、1つだけあげて下さい。
| これまで通り、解釈や運用で対応する |
45 |
| 解釈や運用で対応するのは限界なので、憲法第9条を改正する |
32 |
| 憲法第9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない |
13 |
| その他 |
1 |
| 答えない |
10 |
Q 憲法第9条の条文には第1項と第2項があります。それぞれについて、あなたが改正する必要があると思うかどうかを、順にお答え下さい。
S1 「戦争を放棄すること」を定めた第1項については、改正する必要があると思いますか、ないと思いますか。
| ある |
16 |
| ない |
77 |
| 答えない |
6 |
S2 「戦力を持たないこと」などを定めた第2項についてはどうですか。
| ある |
35 |
| ない |
55 |
| 答えない |
9 |
Q 日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、この攻撃を、日本の安全を脅かすものと見なして、攻撃した相手に反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府の見解では、日本もこの権利を持っているが、憲法の解釈上、使うことはできないとしています。この集団的自衛権について、回答リストの中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
| 憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする |
21 |
| 憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする |
28 |
| これまで通り、使えなくてよい |
42 |
| その他 |
0 |
| 答えない |
8 |
Q 政府は、国連のPKO、平和維持活動以外で、自衛隊を海外に長期間派遣するときには、その都度、特別な法律を作って対応してきました。あなたは、これを改めるために、自衛隊の海外派遣のルールを総合的に定めた新しい法律、いわゆる「恒久法」が必要だと思いますか、そうは思いませんか。
| そう思う |
51 |
| そうは思わない |
37 |
| 答えない |
12 |
Q 憲法は、国会に衆議院と参議院を置くことを定めています。この二院制のあり方について、回答リストの中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
| 衆議院と参議院を合併して一院制にする |
26 |
| 二院制を維持し、衆議院と参議院の役割や権限を見直す |
38 |
| 今のままでよい |
30 |
| その他 |
1 |
| 答えない |
5 |
Q 衆議院では与党、参議院では野党が多数を占める、いわゆる「ねじれ国会」については、(A)「与野党が対立する法案が成立しなかったり、遅れたりする」という見方と、(B)「与野党で政策協議が行われ、国会が活性化する」という見方がありますが、あなたの考えは、どちらの方に近いですか。
| どちらかといえば(A) |
51 |
| どちらかといえば(B) |
37 |
| 答えない |
12 |
Q 大災害などの緊急事態における政府の責務や権限は、今の憲法には規定がなく、個別の法律で定められています。これについて、回答リストの中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
| 憲法を改正して、政府の責務や権限を条文で明記する |
35 |
| 憲法は改正しないで、政府の責務や権限を明記した新たな法律を作る |
39 |
| 今のままでよい |
20 |
| その他 |
0 |
| 答えない |
6 |
Q 今の憲法は、国会議員の任期を、衆議院は4年、参議院は6年と定め、任期満了の直前に大災害などの緊急事態が起こっても、任期を延長することができません。あなたは、緊急時には、国会議員の任期を延長できるようにする方がよいと思いますか、そうは思いませんか。
| そう思う |
61 |
| そうは思わない |
32 |
| 答えない |
7 |
Q 最高裁判所は今年3月、2009年に行われた衆議院選挙での議員1人あたりの有権者数の格差、いわゆる「1票の格差」が最大2.3倍で憲法違反の状態だったと判断し、国会に速やかな是正を求めました。あなたは、国会は、こうした「1票の格差」を、できるだけ早く是正すべきだと思いますか、是正すべきだが急ぐ必要はないと思いますか、それとも、是正する必要はないと思いますか。
| できるだけ早く是正すべきだ |
45 |
| 是正すべきだが急ぐ必要はない |
31 |
| 是正する必要はない |
12 |
| 答えない |
12 |
Q 国会では、参議院での「1票の格差」を是正するために、人口が少ない県の選挙区を統合・再編することが検討されています。あなたは、参議院の選挙区をどうするのがよいと思いますか。回答リストの中から、1つだけあげて下さい。
| 今のまま、1都道府県を1選挙区とする |
37 |
| 場合によっては、いくつかの県を合併した選挙区を作る |
38 |
| 選挙区を廃止して、すべて比例代表選挙にする |
12 |
| その他 |
1 |
| 答えない |
12 |
Q 昨年5月に、憲法改正の手続きを定めた「国民投票法」が施行され、憲法改正の原案を国会に提出できるようになりました。あなたは、今後、国会は、憲法改正の議論にどのように取り組むべきだと思いますか。回答リストの中から、1つだけあげて下さい。
| 憲法改正の原案の提出を目指して、議論をすべきだ |
36 |
| 憲法改正の原案の提出にはこだわらず、議論をすべきだ |
36 |
| 憲法改正の議論をする必要はない |
13 |
| その他 |
0 |
| 答えない |
15 |
Q あなたは、今の政治状況は、憲法に関する論議を行うのにふさわしい状況だと思いますか、そうは思いませんか。
| そう思う |
15 |
| そうは思わない |
74 |
| 答えない |
11 |
SQ【前問の答えが(2)の人だけ】あなたが、憲法論議を行うのにふさわしい状況だと思わない理由を、回答リストの中から、3つまであげて下さい。
| 与党内で憲法問題に対する意見の違いがあるから |
27 |
| 与党が憲法論議をすることに消極的だから |
15 |
| 与野党が国会審議などで激しく対立しているから |
31 |
| 憲法問題よりも優先すべき課題があるから |
64 |
| 国民の関心が高まっていないから |
30 |
| その他 |
2 |
| 答えない |
2 |
Q 日本の憲法について、あなたが、今の条文を改めたり、新たな条文を加えたりする方がよいと思うものがあれば、回答リストの中から、いくつでもあげて下さい。
| 天皇の地位やあり方 |
12 |
| 自衛のための軍隊保持 |
29 |
| 積極的な国際協力 |
20 |
| 行政機関の情報を知る権利 |
17 |
| 個人情報やプライバシーの保護 |
15 |
| 家族の尊重 |
10 |
| 良好な環境で生活する権利 |
24 |
| 緊急事態における首相の権限強化 |
20 |
| 健全な財政の維持 |
28 |
| 衆議院と参議院の役割 |
17 |
| 国と地方の役割 |
25 |
| 憲法裁判所の設置 |
3 |
| その他 |
0 |
| とくにない |
21 |
| 答えない |
5 |