憲法改正「賛成」大幅減 読売憲法世論調査

2010年4月25日 (日) at 19:30:02 Posted in 憲法, 世論調査

ちょいと見逃しておりましたが、読売新聞が毎年実施している憲法問題での世論調査。4月9日付で報じられていました。今年は、改正「賛成」が大幅に減少して、なんでもいいからともかく「改正する方がよい」43%にたいして、「改正しない方がよい」42%とほぼ同水準に並びました。

とくに憲法9条については、第1項(戦争放棄)は改正が「必要」15%にたいして「必要ない」80%、第2項(戦力不保持)は「必要」37%、「必要ない」56%と、どちらも改正「必要なし」が過半数を超えています。ちなみに昨年の調査では、第1項について「改正必要」が17.7%、「必要なし」が77.5%、第2項では「改正必要」42.0%、「必要なし」50.9%で、どちらも「改正必要」が減り、「必要なし」が増えています。

昨年、読売新聞は、次のように書いていました。

 1981年から実施している「憲法」世論調査では、93?2007年は改正賛成が多数派だった。ただ、04年の65.0%をピークに賛成派が減り始め、昨年は反対派を下回った。それが今回は増加に転じた。(「読売新聞」2009年4月3日付)

これでいえば、昨年、増加に転じた賛成派は、ふたたび減少に転じたわけで、みずから憲法改正案までつくって改憲論議を誘導してきた読売新聞の目論見は、いよいよ破綻したと言えます。みなさん、おめでとうございます。m(_’_)m

憲法改正「賛成」減少43%、「反対」と拮抗:読売新聞
「憲法」2010年3月面接全国世論調査:読売新聞

集団的自衛権にかんする質問と答えは、いちばんの見もの。

実は、集団的自衛権についての設問が超長いのです。

Q 日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、この攻撃を、日本の安全を脅かすものと見なして、攻撃した相手に反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府の見解では、日本もこの権利を持っているが、憲法の解釈上、使うことはできないとしています。この集団的自衛権について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。

ここまで長ったらしく、いかにも「誘導質問」的に説明を加えたにもかかわらず、「憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする」はわずか20%。「憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする」25%を加えても、集団的自衛権を使えるようにすべきだとの回答は45%しかなく、「これまで通り、使えなくてよい」47%を下回ってしまいました。

読売新聞が唯一よりどころにしている「国会が憲法改正論議に取り組むべきだという回答は7割を超えた」というのも、詳しく見ると、「憲法改正の原案の提出を目指して、議論をすべきだ」は35%しかありません。「憲法改正の原案の提出にはこだわらず、議論をすべきだ」40%と「憲法改正の議論をする必要はない」15%をあわせると、65%が憲法改正の原案づくりは必要なしと考えており、「改正する方がいいか、改正しない方がいいか」という質問以上に、否定的回答が多いという結果が出ています。

憲法改正「賛成」減少43%、「反対」と拮抗

[2010年4月9日08時03分 読売新聞]

 読売新聞社が3月27、28の両日に実施した憲法に関する全国世論調査(面接方式)によると、憲法を「改正する方がよい」とする人は43%、「改正しない方がよい」は42%だった。
 昨年3月調査では改正賛成(52%)が改正反対(36%)を大きく上回っていたが、今回は賛否が拮抗した。一方、国会が憲法改正論議に取り組むべきだという回答は7割を超えた。
 改正論が減少した背景には、「護憲」を掲げる社民党が参加する鳩山内閣での憲法論議の停滞や、景気対策、米軍普天間飛行場移設など喫緊の課題が山積していることがあると見られる。
 改正賛成派は、民主支持層で42%(昨年53%)、自民支持層でも41%(同54%)にとどまり、ともに反対派を下回った。
 戦争放棄などを定めた憲法9条についても、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」が32%(昨年38%)に減少し、「これまで通り解釈や運用で対応する」44%(同33%)が上回った。
 憲法改正の手続きを定めた国民投票法は5月に施行される。国会での憲法改正論議に関しては、「憲法改正の原案の提出にはこだわらず議論をすべきだ」40%、「憲法改正の原案の提出を目指して議論をすべきだ」34%で、議論を望む人は合わせて74%に達した。
 ただ、今後の国会で憲法論議が「進まない」との答えは64%に上り、「進む」は27%だった。「進まない」と思う理由(複数回答)では、「連立与党内で憲法問題に対する意見の違いがある」72%が最も多かった。

「憲法」 2010年3月面接全国世論調査

[2010年4月9日 読売新聞]

▽調査日:2010年3月27-28日
 対象者:全国有権者3000人(250地点、層化二段無作為抽出法)
 方法:個別訪問面接聴取法、回収:1736人(58%)

Q 日本の憲法についてお聞きします。あなたは、今の日本の憲法のどんな点に関心を持っていますか。次の問題は、すべて憲法に関係するものですが、あなたがとくに関心を持っているものを、いくつでもあげて下さい。
 答え
 10.天皇や皇室の問題             21
 20.戦争放棄、自衛隊の問題          42
 30.平等と差別の問題             19
 40.言論、出版、映像などの表現の自由の問題  12
 50.情報公開の問題              13
 60.プライバシー保護の問題          15
 70.生存権、社会福祉の問題          27
 80.環境問題                 33
 90.集会やデモ、ストライキ権の問題      2
 01.選挙制度の問題              16
 02.裁判の問題                17
 03.靖国神社への公式参拝の問題        11
 04.憲法改正の問題              15
 05.三権分立の問題              6
 06.地方自治の問題              19
 07.国会の二院制の問題            8
 08.憲法制定の過程や背景           5
 09.その他、とくにない、答えない       16

Q あなたは、今の憲法を、改正する方がよいと思いますか、改正しない方がよいと思いますか。
 答え
 1.改正する方がよい   43
 2.改正しない方がよい   42
 3.答えない    15

SQ1【前問の答えが(1)の人だけ】
   あなたが改正する方がよいと思う理由は何ですか。次の中から、いくつでもあげて下さい。
 答え
 1.アメリカに押しつけられた憲法だから    35
 2.国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため    31
 3.権利の主張が多すぎ、義務がおろそかにされているから    26
 4.憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから    29
 5.国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから 45
 6.その他    3
 7.答えない    2

SQ2【前問の答えが(2)の人だけ】
   あなたが改正しない方がよいと思う理由は何ですか。次の中から、いくつでもあげて下さい。
  答え
 1.すでに国民の中に定着しているから            51
 2.世界に誇る平和憲法だから                42
 3.基本的人権、民主主義が保障されているから        29
 4.時代の変化に応じて、解釈、運用に幅を持たせればよいから 19
 5.改正すると軍事大国への道を開くおそれがあるから     21
 6.その他                         1
 7.答えない                        1

Q 戦争を放棄し、戦力を持たないとした憲法第9条をめぐる問題について、政府はこれまで、その解釈や運用によって対応してきました。あなたは、憲法第9条について、今後、どうすればよいと思いますか。次の中から、1つだけあげて下さい。
 答え
 1.これまで通り、解釈や運用で対応する            44
 2.解釈や運用で対応するのは限界なので、憲法第9条を改正する 32
 3.憲法第9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない     16
 4.その他                          0
 5.答えない                         8

Q 憲法第9条の条文には第1項と第2項があります。それぞれについて、あなたが改正する必要があると思うかどうかを、順にお答え下さい。

S1「戦争を放棄すること」を定めた第1項については、改正する必要があると思いますか、ないと思いますか。
 答え
 1.ある 15   2.ない 80   3.答えない 5

S2「戦力を持たないこと」などを定めた第2項についてはどうですか。
 答え
 1.ある 37   2.ない 56   3.答えない 7

Q 日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、この攻撃を、日本の安全を脅かすものと見なして、攻撃した相手に反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府の見解では、日本もこの権利を持っているが、憲法の解釈上、使うことはできないとしています。この集団的自衛権について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
 答え
 1.憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする    20
 2.憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする 25
 3.これまで通り、使えなくてよい             47
 4.その他                        1
 5.答えない                       8

Q 政府は、国連のPKO、平和維持活動以外で、自衛隊を海外に長期間派遣するときには、その都度、特別な法律を作って対応してきました。あなたは、これを改めるために、自衛隊の海外派遣のルールを総合的に定めた新しい法律、いわゆる「恒久法」が必要だと思いますか、そうは思いませんか。
 答え
 1.そう思う 51   2.そうは思わない 36   3.答えない 13

Q 憲法は、国会に衆議院と参議院を置くことを定めています。この二院制のあり方について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
 答え
 1.衆議院と参議院を合併して一院制にする        25
 2.二院制を維持し、衆議院と参議院の役割や権限を見直す 37
 3.今のままでよい                   33
 4.その他                       1
 5.答えない                      4

Q 今年5月に、憲法改正の手続きを定めた「国民投票法」が施行され、憲法改正の原案を国会に提出できるようになります。あなたは、今後、国会は、憲法改正の議論にどのように取り組むべきだと思いますか。次の中から、1つだけあげて下さい。
 答え
 1.憲法改正の原案の提出を目指して、議論をすべきだ   34
 2.憲法改正の原案の提出にはこだわらず、議論をすべきだ 40
 3.憲法改正の議論をする必要はない           15
 4.その他                       0
 5.答えない                      11

Q 国民投票法では、国政選挙で投票できる年齢が現在の「20歳以上」から「18歳以上」に改められた場合、憲法改正案への賛否を決める国民投票についても、18歳以上の国民に認めるとしています。あなたは、憲法改正の国民投票ができる年齢は、18歳以上がよいと思いますか、そうは思いませんか。
 答え
 1.そう思う 41   2.そうは思わない 56   3.答えない 3

Q 鳩山内閣は、民主党、社民党、国民新党の3党による連立政権です。あなたは、今後、国会で憲法論議が進むと思いますか、進まないと思いますか。
 答え
 1.進む 27   2.進まない 64   3.答えない 9

SQ【前問の答えが(2)の人だけ】
   あなたが憲法論議が進まないと思う理由を、次の中から、3つまであげて下さい。
 答え
 1.連立与党内で憲法問題に対する意見の違いがあるから 72
 2.連立与党が憲法論議をすることに消極的だから    24
 3.与野党が国会審議などで激しく対立しているから   21
 4.憲法問題よりも優先すべき課題があるから      35
 5.国民の関心が高まっていないから          24
 6.その他                      1
 7.答えない                     1

Q 昨年の衆議院選挙では、議員1人あたりの有権者数の格差は、最大で 2.3倍となっています。あなたは、国会は、こうした「一票の格差」を、できるだけ早く是正すきだと思いますか、是正すべきだが急ぐ必要はないと思いますか、それとも、是正する必要はないと思いますか。
 答え
 1.できるだけ早く是正すべきだ  42
 2.是正すべきだが急ぐ必要はない 34
 3.是正する必要はない 13
 4.答えない      11

Q あなたは、今年夏に行われる参議院選挙で、投票する候補者や政党を決めるとき、憲法問題への考え方を判断材料にしますか、しませんか。
 答え
 1.する 28
 2.しない 42
 3.どちらとも言えない 28
 4.答えない 2

Q 日本の憲法について、あなたが、今の条文を改めたり、新たな条文を加えたりする方がよいと思うものがあれば、次の中から、いくつでもあげて下さい。
 答え
 10.天皇の地位やあり方       16
 20.自衛のための軍隊保持      28
 30.積極的な国際協力        22
 40.行政機関の情報を知る権利    17
 50.個人情報やプライバシーの保護  17
 60.家族の尊重           11
 70.良好な環境で生活する権利    26
 80.緊急事態などへの首相の権限強化 11
 90.衆議院と参議院の役割      17
 01.国と地方の役割         30
 02.憲法裁判所の設置        4
 03.その他             0
 04.とくにない           24
 05.答えない            3

最後の設問についてみると、どの項目をとってみても、憲法を改正すべきだという回答は、最大でも30%しかない。つまり、それぐらい、国民の間で「この問題は憲法を変えなければ解決しない」という議論が煮詰まっている問題はない、ということです。

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