いずれも出たばかりの新刊。左から順番に、
- デヴィッド・ハーヴェイ『〈資本論〉入門』(作品社、本体2,800円)
- 竹内正浩『地図と愉しむ東京歴史散歩』(中公新書、本体940円)
- 元木泰雄『河内源氏 頼朝を生んだ武士本流』(中公新書、本体800円)
- 安西祐一郎『心と脳 認知科学入門』(岩波新書、本体860円)
デヴィッド・ハーヴェイは、専門は経済地理学に分類されるけど、『新自由主義――その歴史的展開と現在』という著作で有名なアメリカのマルクス経済学者。この本は、英語ででたものを買ってパラパラと読み始めていたのだけれど、いかんせんオイラの語学力では、ほとんど読み進まないでいるうちに、翻訳が出てしまった。(^_^;)
まだ、序章「『資本論』をどう読むべきか」を読み終えて、第1章「商品と価値」にとっかかり始めたところだけれど、「マルクス主義」とか「マルクス主義者」にたいする先入観などを脇に置いて、「マルクス自身の観点にもとづいて」資本論を読むことを強調している点は、科学的社会主義の理論をマルクスそのものに即して、マルクスたちを取り囲む歴史と、マルクス自身の理論や実践の歴史の中で読むという、この間強調されてきた点と相通ずるものがあっておもしろい。
また、ハーヴェイはマルクスの方法論にも着目し、弁証法的方法の意義を強調していることも注目される。その立場から、「分析的マルクス主義」にたいする批判もおこなわれている。
『資本論』の読み方が実践的な点も注目される。資本論の「労働日」の章を取り上げた第5章は「労働日と階級闘争の政治学」というタイトルになっていて、全体490ページほどのうち約40ページが費やされている。ちなみに、第1章「商品と価値」は約50ページだ。「機械と大工業」は、第7章と第8章の2つの章に分けて取り上げられていて、第7章は「機械と大工業I――技術と諸契機の弁証法」、第8章は「機械と大工業II――機械と階級闘争のダイナミズム」と題されている。
「省察と予測 資本主義の諸矛盾と恐慌」と題された終章では、第2部の再生産論や第3部の信用論なども視野に入れつつ、恐慌の問題に言及しているが、ハーヴェイが、恐慌を利潤率の傾向的低下に結びつけて狭くとらえずに、資本主義のさまざまな矛盾と結びつけて広くとらえようとしていることが注目されるだろう。
なにはともあれ、読んでみる価値は十分ありそうだ。
2冊目は、読んで楽しむ「ブラタモリ」といったところ。ただし、基本は明治以降。
3冊目は、先日、平清盛の本を読んだので、今度は源氏ということだけではない。平安時代の社会のなかで、どのように「武士」が誕生してきたかというのは、歴史のおもしろいテーマ。
最後は、社会科学系ばかりではくたびれるので、ちょっと趣を変えて。「心と脳」の問題は、唯物論的世界観にとって重要なテーマなので、気分転換を含めて自然科学系も読んでみよう。(^_^;)