日経BPから中山元訳で『資本論』新訳がでるらしい

twitterを眺めていたら、こんな記事が…

黒沢正俊 (383kuro) は Twitter を利用しています

383kuro 黒沢正俊
このところ、『資本論』第1巻の4章までのゲラと格闘している。マルクス、凄い。画期的な新訳とPRしておこう。タイミングもいい。動乱の季節は1970年代以来。
31分前

さらに、こんな記事も。

383kuro 黒沢正俊
『資本論 第1巻』の第1章商品、第3節価値形態または交換価値は、この本の白眉だけど、見出しの階層が他と違っていて、分かりにくい。そこで祖父江慎さんの事務所のデザイナー佐藤亜沙美さんが思い切ったデザインをしてくれた。実にわかりやすい。なんだ、オリジナルの編集が下手だっただけか。
10月3日

383kuro 黒沢正俊
ミル『自由論』の次は『資本論 第1巻』。第1編商品と貨幣、中山元訳は非常に分かりやすいのだが、やはり独特の世界だね。
9月4日

黒沢正俊氏は、日経BPの編集者。日経BPといえば、アダム・スミス『国富論』やジョン・スチュアート・ミル『自由論』、ウェーバー『プロ倫』など、いろんな古典の新訳を出している。どうやらその日経BPが、中山元氏の翻訳による新訳『資本論』第1巻を出そうとしているようだ。

まだゲラになっているのは第4章までのようだが、う〜む、どんな翻訳になるのだろう。

『資本論』の翻訳というと、第1篇「商品と貨幣」の、がっちりと組み立てられた理論部分の厳格な翻訳、あるいは分かりやすい翻訳が問題にされるが、僕がドイツ語と首っ引きで日本語訳を読んだ感覚からいうと、第8章「労働日」、あるいは第13章「機械と大工業」、第23章「資本主義的蓄積の一般的法則」、第24章「いわゆる本源的蓄積」などの、いわゆる歴史的展開をふくむ部分の翻訳のほうが、読んだだけで分かる日本語にするのには苦労するところだと思う。「理屈」だけで訳してゆくこともできず、訳者には歴史的事実にたいする知識が要求される。さらに、イギリス史などに知識のない読者のためには、最低限の訳注も必要だろう。マルクスの込み入った独文を、大胆に日本語に置き換える度胸も求められる。

【追記】

さらに、インターネットをぐぐったら、こんなの発見。中山元訳『資本論』第1巻は4分冊で、第1分冊は11月28日に発売されるらしい。

日経BPクラシックシリーズ 資本論 経済学批判 第1巻 I/カール・マルクス 訳:中山元 本 : オンライン書店e-hon

ところで、底本はいったい何にしたのだろう?

日経BPから中山元訳で『資本論』新訳がでるらしい」への2件のフィードバック

  1. Gakuさん、おはようございます。
    「資本論」は、「我々は、99%だ!!」の核心となる「聖書」ですから、心強いです。
    私は、どこででも読める文庫本の岡崎次郎訳で読んでいます。今、やっと、第三巻の「差額地代」まで読み進めて来ました。時々、デッドコピー版の原文(第三巻は1894年発行)を参照しています。
    何気ない訳文でも、原文を読むと、複雑な文体になっていることがあります。翻訳者が上手に訳出しているので問題ありませんが、しかし、ドイツ語自体が複雑なのか、マルクスの文体が独特なのか、よくわかりません。逆に、翻訳文はよくわかりますが、原文を読むと、なんとも、余りにも簡単で、驚くこともあります。
    「我々は、99%だ!!」の運動の発展に寄与するためにも、新訳にも期待しています。

  2. barabaraさん、こんばんは。

    独力で『資本論』第3部まで読み進められたのですか? すごいですねぇ〜 

    僕もドイツ語版と首っ引きで邦訳を読み返したことがありますが、正直言って、ドイツ語の方が分かりやすいという個所はたくさんありますね。

    といっても、マルクスの文章そのものもかなり難しいと思います。聖書やシェイクスピアなどをふんだんに使って、修辞に凝ったところもあるし。(^_^;)

    そもそも、それまでの経済学にはまったく存在しなかった新しい中身を、一人で頭の中から産みだして書いていくのですから、分かりにくいのは当たり前と思って読むべきなのかもしれません。

    それでも、現在の邦訳の多くは、30年から50年以上前のもの。いくら定評ある訳文でも、コトバの感覚そのものが時代遅れになっているところもあると思います。たとえば「機構」「体制」と訳されているところも、いまなら「メカニズム」「システム」と訳した方がぴったりくるところも多々あります。「活力」と訳されていて、何のことかよく分からず、原語を確かめたらエネルギーだったりすることもありますが、まだ「エネルギー」という言葉が一般化していなかった時代に、訳者の方がどう翻訳するか苦労したにちがいありません。

    現代社会の格差や貧困、あるいは不況、失業、金融危機などを理解するためには、『資本論』は必須の文献。『資本論』に挑戦する人が増えることを願ってやみません。

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