共産党・志位委員長、欧州財政危機から日本の政権交代、共産主義の未来まで大いに語る

「朝日新聞」2011年11月23日

「朝日新聞」2011年11月23日

今日の「朝日新聞」オピニオン欄に、共産党の志位和夫委員長が登場して、東大教授の宇野重規さん(政治思想史)のインタビューに答えています。

質問はヨーロッパの財政危機から「なぜ、いま、マルクスなのか」、中国をどうみるか、政権交代、政党のあり方、社会主義・共産主義の「定義」まで多岐にわたっています。志位さんがなんて答えたのかというのもおもしろいのですが、僕は、ホストの宇野教授の質問や発言も非常に興味深く読みました。

最初、「欧州の財政危機が世界を揺るがせています。ギリシャやイタリアで政権交代が起き、欧州連合(EU)各国を巻き込んで政治もきしむ。資本主義の矛盾が吹き出しているようにみえます」というところから話が始まり、「なぜ、いま、マルクスなんだと思いますか」というところへ。(ここで登場する、UBS銀行上級顧問のジョージ・マグナス氏の評論は、このブログでもヘッポコ訳を紹介しています)

さらに、一昨年の政権交代について質問が及び、志位さんが、09年の総選挙では民主党は「反自民」の旗を掲げたから勝ったが、いまや「看板は民主党でも、中身は自民党とすっかり同じ」と指摘すると、宇野教授も「現状認識には同意します」と答えているのは注目されます。

もちろん、そのあとには「ならばなぜ、共産党は受け皿になれなかったのでしょう」という、なかなか厳しい質問がまっているのですが、それにも志位さんは、共産党を選択肢の外におく「二大政党づくり」のしかけを指摘。そこから話は、政党の主体的な力や、社会に根を張った立ち位置の問題に発展します。宇野教授は、「政権交代後の政治の体たらくで二大政党制への不信が高まり」政権交代を求める声がたえないが、「社会に根のない政党」の離合集散には「意味はない」と指摘されています。「共産党は政党助成金を断り、赤旗の購読料など自前の資金を調達しています。政治家のおカネ集めは賄賂や汚職とつながるリスクがある半面、社会の声を聞く機会ともなる。民主党などは政党助成金への依存度が高く、その分、社会への根の張り方が浅くはないですか」「社会のどの部分に目を向け、根を張っていくか。政党は立ち位置をはっきりさせるべきです」とも語っておられますが、ここらあたりの「現状認識」には、私も「同意」します。

志位さんは、「米国と財界中心の古い政治を変えるかどうか。ここで政党の立ち位置が決まってきます」と答えていますが、そこからさらに話は、共産主義とはそもそもなんぞや、という話に発展。それにたいして志位さんも、「社会主義の核心は生産手段の社会化」、それは生産手段の国有化、集団化で終わりではなく、「自覚的に結びついた生産者が、生産手段の管理、運営する過程に民主的に参加し、『生産者が主人公』になってはじめて社会化といえる」、「旧ソ連には国有化、集団化はあったが、生産者は抑圧されていた」、だから「社会主義とはまったく無縁の社会」だった、生産手段の社会化という社会の仕組みの変革によって、社会のすべての人々に自由な人間的発展を保障するというのが私たちの未来社会だ、と応じています。

最後、宇野教授が「資本主義が行き詰まっている現在、日本も世界も大きな転換期にあります。そこで共産党がどんな役割を果たすか。関心をもって見ていきたいと思います」と語って終わっていますが、共産党の委員長と大学教授と、まったく立場が違う割にはかなり盛り上がったインタビューだったんじゃないでしょうか。

ということで、興味のある方は、ぜひ今日の朝日新聞をご一読ください。m(_’_)m

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