本日の「日本経済新聞」の「大機小機」。立場はまるきり違うけれど、これを僕なりにいえば、
- 日本の景気回復には国内需要の回復が欠かせない。
- 「このままだと日本もギリシャのように大変なことになる」というのは脅しである。
- 庶民増税は景気回復にマイナスである。
という3点を指摘したものだと思うのだが、どうだろうか。
【大機小機】経済復興のマクロ的条件
[日本経済新聞 2011/12/07朝刊]
11月下旬、東日本大震災の本格的復興を目的とした第3次補正予算が成立した。震災からの復興が現在の日本の政策の中心であることはもちろんだが、これには2つのマクロ経済的条件が必要である。1つは経常収支の均衡であり、もう1つは国内経済の需給の拡大的バランスだ。
第一の国際的条件については、最近の輸出の不振から、月によっては貿易収支が赤字となり、懸念する声もある。
しかし貿易収支は赤字でも貿易外収支は大幅黒字で、両者を合わせた経常収支は受け取り超過である。経済の発展段階が進めばこのような姿になるのは当然で、貿易収支が輸入超過になるのは不思議ではない。
急速な円高を受け、輸出が不振となるのを避けるため国家が市場介入をしているが、これは妥当ではない。もともと自国の通貨を安くして輸出を伸ばすというのは、経常収支が赤字の国が採用する政策である。日本のような黒字国がこうした政策をとれば、赤字国はいっそう通貨安政策を促進し、国際的な通貨の切り下げ競争が起きる。日本は通貨の切り下げでなく、産業構造を変えて国内需要を増やし輸出依存度を下げるべきである。
次に国内の収支バランスという点では、国債を中心とする公的債務の残高が国内総生産(GDP)の2倍に近い状況なので、需要が過大であるという見方がある。
しかし国内では設備も労働力も余っており、供給力も十分にある。国債発行高が大きいのは政府部門が赤字であるからで、民間部門はこれをカバーし、国全体では収支は黒字である。
政府は第3次補正予算で、復興財源となる復興債の償還期限を当初案の10年から25年へと延長した。これは妥当であるが、現実の予算規模はもっと大きくなり、さらに追加が必要となろう。また国債の償還財源として所得税、法人税などを引き上げる予定である。
これでは国債増加による需要増を、増税による民間の需要減で打ち消すことになり、拡大的需給バランスを実現することはできない。一時的には財政赤字が拡大しても、技術革新などによって民間の需要を拡大し、税収を増やすべきである。
日本は経済復興のマクロ的条件を2つとも満たしている。政策が誤ってそれを阻害してはならない。(越渓)
円高を放置し、財政赤字を増やし、庶民増税を主張しないのはとんでもないことのようにいうマスメディアのマンネリ報道に比べると、議論としては何倍も面白いと思う。
全くその通りだと思います。小生は日経は読まないのですが、3点は正しいと思います。特に「このままだと日本もギリシャのように大変なことになる」はマスコミよって盛んに煽られています。理論的に説明の無いまま不安だけを煽られても困ります。亦、庶民増税は景気回復にマイナスである。は税金として重大な欠陥を孕んでいる消費増税は愚策中の愚策です。橋本龍太郎政権で実証済みなのに何故という感じがします。
Raidersさん、こんばんは。
日経新聞がこういうことを言っている、というところがポイントだと思います。
この「大機小機」は匿名のコラム欄で、書き手もいろいろ、主張もいろいろで、輸出大企業やアメリカの言い分をそのまま繰り返すような論が展開される時もありますが、時々、こういうちゃんとした議論が載ったりするので、なかなか面白いと思います。
その通りです。書き手がアメリカの言い分や財務省の言い分を展開されているのみて唖然とすることが多いのですが、今回の記事は良いですね。日経にも色々な人がいるものだと思います。
私は、大機小機の書き手は社内のメンバーとは限らないと思っています。