世界の投機マネーはいったいいくらあるのか?

世界の投機マネーはいったいいくらあるのか? 以前、水野和夫氏の研究を紹介しましたが、あれから何年もたち、はたしていまはどうなっているのでしょうか?

そもそも投機マネーについての公式統計など存在しない ((それは、ヘッジファンドなど私的投資についての公式統計がない、ということとともに、そもそも資本主義の立場からは投資と投機の区別ができないという問題があるからです。))ということは分かった上で、調べてみました。

先日の「読売新聞」(10月1日付)によれば、世界の株式の時価総額は、2011年9月末で約47兆6685億ドル。さらに、先日の「日本経済新聞」(11月25日付)によれば、10月28日から11月23日までに、「世界の時価総額はこの間に約6兆ドル減った」とのこと。したがって、現時点では株式の時価総額は約42兆ドルより少ないということになりそうです。

しかし、そのほかの分野はどうなんでしょうか? と思って探していて見つけたのがこちら↓の記事。1年前のものですが、これを手がかりに調べてみました。

2009年末 世界の政府債務残高 34兆1039億ドル – 石油監査人

ということで、まず紹介されているBISの最新情報を探してみました。12月12日に発表されたBIS Quarterly Review, December 2011によると、

2011年6月末の世界の政府債務残高は、41兆589億ドル。
昨年同期は35兆3,874億ドルなので、16.0%増になる。
さらに同時期の金融機関の債務残高は21兆8,195億ドル、社債は7兆343億ドル。
これらを合計すると、69兆9,128億ドルになる。

問題はこのうちどれくらいの債務が投機マネーによって持たれているのか、ということ。それは不明ですが、以前、水野和夫氏は、世界の金融資産を「世界の株式時価総額+世界の債券発行残高+世界の預金(マネーサプライ)」として計算されていました。最後のマネーサプライは不明ですが、株式の時価総額は約40兆ドル、債務残高は全部で約70兆ドル、あわせて110兆ドルということになるのでしょうか。

さらに、同報告によれば、店頭デリバティブの残高は、ななな〜んと707兆5690億ドルに昇ります。ただし、店頭デリバティブの額面はレバレッジが効いていて何倍にも膨らまされているので、それだけ丸々投機マネーがあるとはいえないでしょう(リーマンショックの時もデリバティブを清算したときに、実際の損額がいくらになるかが大問題になりました)。

さらに調べていくと、ドイツの週刊誌シュピーゲル(2011年8月22日)には、こんな記事が出ているのを発見しました。

Out of Control: The Destructive Power of the Financial Markets – SPIEGEL ONLINE – News – International

で、そのなかに載っていたグラフがこちら。

独「シュピーゲル」2011年8月22日

独「シュピーゲル」2011年8月22日

これによれば、一番内側が、世界のGDP総額で約63兆ドル。で、その外側が「株式と債券の取引総額」が87兆ドル、さらにデリバティブ残高(2010年12月末)が601兆ドル、そして最後、いちばん外側が外国通貨の年間総取引額が955兆ドルということになっています(いずれも2010年)。外国為替市場で取り引される通貨は、年間でいうと、GDPの約15倍になります。実際の貿易にも外国通貨は必要ですから、これも全部投機マネーとは言えませんが、それでも為替通貨取引総額のかなりの部分が、実際の貿易取引にかかわらない取引だといえそうです。

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