マルクス経済学の唯一の月刊誌『経済』が、ブログを開設。5月号の経済学入門特集「マルクスの経済学のすすめ」を紹介しています。
ここでも、こんなのやこんなの、それにこんなのなど、あらためてマルクスの経済学への注目が広がっていることを紹介してきましたが、そんな情勢だけに、雑誌『経済』の特集がどんな中身になるのか、僕も楽しみです。(^_^;)
いささか古い話になってしまいましたが、『週刊エコノミスト』新年号(1/1・8合併号)がおこなった特集「激動の2008年を生き抜くために読みたい 『戦略思考』を鍛える本」のなかで、「戦略思考的原点」の謎解きをした大著として、マルクスの『資本論』が紹介されています。
数日前から東京はすっかり冷え込んでいるが、今日は一段と寒い。こんなとき、自転車通勤はつらい。
富塚良三『経済原論』(有斐閣、1976年刊)から。
『資本論』第3部は、第32章に突入しました。「貨幣資本と現実資本」という共通したタイトルの3番目の章。話の中身は、第30章から続いています。
第2節に入ります。
第31章の続きです。
第30章のメモ。最後です。
経済理論学会の季刊『経済理論』2007年10月号に、金沢大学の伍賀一道氏が「間接雇用は雇用と働き方をどう変えたか」という論文を書いておられます。政府の統計資をつかって、こんにちの「間接雇用」(労働者派遣および、偽装請負を含む労働者供給事業)の実態を明らかにされています。
そのなかで、なるほどと思ったのは、総務省「事業所・企業統計調査」をつかった次の表です。
第30章の続きです。
第30章の続きです。
前にも書いた通り、まず問題の提示。それに続いて、新書823ページ2行目からのパラグラフ。ここは、言ってみれば、第29章で明らかにされた架空資本の復習の部分。たとえば「諸債務の蓄積でさえ資本の蓄積」のように見える、というのは「信用制度のなかで起こる歪曲の完成」だ(823ページ)などなど。
第30章?第32章は、前にも紹介したとおり、マルクスが「III)」として一まとめに書いた部分。したがって、エンゲルスの章節区分にこだわらず読んでゆくことが必要です。
で、第30章の冒頭、マルクスは「信用制度に関連してわれわれがいま取り組もうとする比類なく困難な問題」として、次の2つの問題をあげています(822ページ)。
時間がかかっているのは、途中、別な本を読んだりしたこともありますが、第3部第5編にはいって、マルクスの論述も込み入ってきたし、草稿からのエンゲルスの編集も輻輳して、すらすらとは行かなくなってきたため。
しかし、現代経済を考える上では、信用論が一番おもしろい部分の1つ。当時の信用制度の発達を理論的に解明し、イギリス経済の現実にせまってやろうというマルクスの意気込みみたいなものが感じられて、わくわくするところでもあります。
日曜日(9/2)の「毎日新聞」の書評欄で、伊東光晴氏が関志雄『中国を動かす経済学者たち』の書評を書かれていましたが、なかなか的確な書評だと思いました。
で、この書評で、伊東光晴氏は、「理解できない」「わからない」を連発されています。たとえば
『資本論』第3部を読んでいて、はてな?と思う翻訳を見つけました。
第2編「利潤の平均利潤への転化」第11章「生産価格にたいする労賃の一般的変動の影響」のなかの次の一節です。
労賃の騰貴または下落が必要生活諸手段の価値変動に由来するならば、上述したことの修正が起こりうるのは、その価格変化によって可変資本を増加または減少させる諸商品が不変資本にも構成要素としてはいり込み、それゆえ単に労賃に影響をおよぼすのではないという限りでのことである。しかし、それらの商品が労賃だけに影響する限りでは、これまでの展開だけで、言うべきことはすべて尽きている。(新日本新書版第9分冊、349ページ)
一読して、意味がすぐ分かりますか?
masanoriさんの最賃 – 慢性疲労、ふらふら日記で紹介されていたのですが、↓この論文、面白いです。
新美一正「わが国の最低賃金制度についての一考察?最低賃金は厳格な運用が必要?」(Japan Research Review 2002年11月号 OPINION)
『資本論』第2部、第3部は、マルクスの残した草稿をエンゲルスが整理したものだから、マルクスがあれやこれや考えながら書いたものがそのまま本文になっていて、読みにくい。「しかし」「しかし」がくり返されたり、「したがって」「それゆえに」でどこまでも文章が続いていたり、「ああでもない、こうでもない」と文章が錯綜していたりします。これは、エンゲルスの編集が悪いとか、翻訳が悪いとか問題ではなくて、もともとのマルクスの草稿がそうなのだから、どうしようもありません。
しかし、それにしても…という文章にぶつかってしまいました。(^_^;)
それは、たとえば『資本論』第3部 第1編第6章「価格変動の影響」のなかの次の部分。