写真:15日、ベネズエラの首都カラカスで、憲法を手に議会で演説するチャベス大統領(ロイター=共同)
ベネズエラでは、現在、「21世紀の社会主義」革命が進行中。国民多数が革命の継続を望むのであれば、革命にとって障害となる諸規定の変更を議会的な手続きをへてすすめるのは当然のこと。大統領の再選規制撤廃ばかりが注目を集めていますが、中央銀行を大統領の支配下に置くという改革こそ、経済改革との関係で注目されます。
写真:15日、ベネズエラの首都カラカスで、憲法を手に議会で演説するチャベス大統領(ロイター=共同)
ベネズエラでは、現在、「21世紀の社会主義」革命が進行中。国民多数が革命の継続を望むのであれば、革命にとって障害となる諸規定の変更を議会的な手続きをへてすすめるのは当然のこと。大統領の再選規制撤廃ばかりが注目を集めていますが、中央銀行を大統領の支配下に置くという改革こそ、経済改革との関係で注目されます。
雑誌『経済』6月号の新藤通弘さんの論文を読むと、ベネズエラではすでに社会主義の実現をめざす実践が始まっているという感じですね。社会主義をめぐる議論が始まったと思っていたら、事態はもっと先まですすんでいるようです。
とくに、チャベス大統領が呼びかけた「ベネズエラ統一社会主義党」(PSUV)の結成がどうなるか。人口2600万人の国で、すでに530万人が入党申込をすませているのだから、本当にこの党が組織されたら、5人に1人以上が革命に組織されるということになります。しばらくベネズエラから目が離せません。
社会主義新党に530万人申し込み ベネズエラ(しんぶん赤旗)
不要な私財提供を=支持者に呼び掛け?ベネズエラ大統領(時事通信)
ベネズエラチャベス大統領、農村改革へ(IBTimes)
先日、ベネズエラがIMF、世界銀行からの脱退を表明しましたが、3日、ラテンアメリカ6カ国の経済・金融相会議が、南米銀行、南米基金の設立を確認。南米銀行は6月に調印、年内に開設される見通しだそうです。
ベネズエラがIMFと世銀からの脱退を表明。
う〜む、だれも実行できるとは思ってなかったことかも知れないけれど、通貨の安定さえ守れるなら、確かにIMFや世銀に加盟していなければならない理由はありませんねぇ。しかし、正直、これからどうなっていくのか想像もつきません。いわゆる「成り注」です。
今年1月、左派のコレア氏が大統領に就任したエクアドルで、新憲法を制定するための憲法制定議会の設置をめぐる国民投票で、制憲議会設置賛成が圧倒的多数を占めたようです。
チャベス大統領のベネズエラでも、憲法改正が実際の改革のスタートになりました。エクアドルの変革も、新しい段階へすすんでいるようです。
エクアドルで、左派のラファエル・コレア新大統領が就任。
南米では、ベネズエラ、チリに続いてアルゼンチン、ウルグアイ、ボリビア、ガイアナで左派政権が誕生。中米のニカラグアでも左派サンディニスタのオルテガ氏が大統領に当選したほか、コスタリカとメキシコでも左派候補が当選まであと一歩のところまでせまるなど、新しい変革のうねりが広がっています。
チャベス大統領の3期目がスタートしたベネズエラ。ベネズエラ革命の新しい前進が始まりつつあるようです。
ベネズエラが電力会社をすべて国有化へ、米企業の保有会社も対象(ロイター)
ベネズエラ、天然ガス事業も国有化へ(NIKKEI NET)
ベネズエラ通信最大手CANTVの国有化、接収はない=財務相(ロイター)
チャベス「社会主義」加速、通信・電力再び国有化へ(読売新聞)
ベネズエラ大統領、国会に大統領権限の拡大要求(ロイター)
超重質油も国家管理強化へ 新任期目前にチャベス氏(西日本新聞)
ベネズエラ大統領、体制批判のメディアに免許更新を認めず(CNN)
ベネズエラ、ブラジルなどなど左派政権の誕生が続く南米ですが、今度は、エクアドルの大統領選挙で、左派のラファエル・コレア候補が当選確実に。南米の変革のうねりは、まだまだ広がっているようです。
ニカラグア大統領選挙で、サンディニスタ民族解放戦線のオルテガ元大統領が当選。開票率91.5%で、得票率38.1%。第2位とは9%近い得票差。
ニカラグア大統領選挙。今回の大統領選、当選のための条件は、<1>得票率40%以上をかちとるか、<2>得票率35%以上で次点候補者に5%以上の差をつけるか。
ロイターによれば、開票率61%の段階で、オルテガ候補の得票は38.7%で、8%程度のリードをえているそうなので、このまま推移すれば、オルテガ氏が当選することに。
Nicaragua’s Ortega closer to election win(Reuters.co.uk)
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ブラジル労働党のルラ大統領が再選を果たしました。
ブラジル大統領選決選投票、開票率80.2%時点でルラ大統領が60.1%得票=選管(ロイター)
ブラジル大統領選、選挙裁判所がルラ大統領の当選を公式発表(ロイター)
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7月2日投票のメキシコ大統領選挙。与党PAN(国民行動党)のカルデロン候補に対し、野党PRD(革命民主党)のロペスオブラドール(前メキシコ市長)候補がわずかにリード。
ラテン続きということで、新藤通弘『革命のベネズエラ紀行』のあと、山崎圭一・横浜国大教授の『リオのビーチから経済学 市場万能主義との決別』(新日本出版社)を読みました。
タイトルから、ブラジル経済を分析した本、あるいは開発経済学の立場からの新自由主義経済学批判という印象を持たれるかも知れませんが、読んでみると、いま経済学を勉強するなら、これぐらいのことを視野に入れて考えてほしいという著者の熱いメッセージ、という感じでした。経済学というと、数式や理論が飛び交うけれど、そういう数式や理論が経済学なのではない。それぞれの地域で、どんな人たちがどんなふうに働き、どんな生活を送っているか、そういう具体的なことを調べ、考えるのが経済学なのだ、ということを、発展途上国の貧困の問題やブラジルの実態を織り交ぜながら、くり返しくり返し強調されています。
1962年生まれと言うから、大学の先生としてはまだまだ若手の著者が、大学の講義で、いまどきの学生に向かって、口角泡を飛ばしながらど展開している、そんな光景が目に浮かびそうです。(^_^;)
新藤通弘氏の『革命のベネズエラ紀行』(新日本出版社)を読み終えました。読み終わった最初の感想は、ともかくおもしろい、ということ。
ベネズエラ革命が進めつつあるさまざまな社会改革については、以前、駐日ベネズエラ大使イシカワ氏の講演を聞いた話を紹介したことがありますが、本書では、そうした紹介にとどまらず、いったいベネズエラで何が進行しているのか、度重なる旧体制派の妨害をどうして打ち破ることができたのかが、著者の、ラテンの人たちに負けないぐらいの情熱を込めて明らかにされています。
ペルー大統領選挙は、左派「ペルーのための連合」のオジャンタ・ウマラ候補と中道左派のアラン・ガルシア候補(元大統領)との決選投票となることが明らかに。
1回目の投票では、ウマラ候補が第1位(30.62%)、2位がガルシア候補(24.3%)で、中道右派のルルデス・フロレス候補は23.8%で3位に。フロレス候補が第2位だと、決選投票でのウマラ候補の当選は確実と言われていましたが、左派系同士の決選投票となって、はたしてどうなるのでしょう?
今夜は、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(日本AALA)の「ベネズエラ革命と国際連帯」という講演会を聴いてきました。
講師は、駐日ベネズエラ大使のイシカワ・セイコウ氏。ご両親とも日本人で、御本人も外見はまるっきり日本人。といっても、講演はもちろんスペイン語でしたが。
まず驚いたのは、この大使が1972年生まれで、つい先日33歳になったばかりということ。なんという若さ! ベネズエラの大学卒業後、ハーバード大学の大学院でマーケティングなどを勉強し、マネージメントの会社に就職していたところを、2000年8月の大統領選挙でチャベス現大統領が60%の支持で再選されたあと、自らもベネズエラ革命に飛び込み、外交官となり、駐日経済・貿易参事官などを経て、今年8月から駐日大使になったという経歴。司会者の方が「革命をすすめている国ならではの息吹を感じる」と言われていましたが、まったくその通りです。