単位の話 ベクレル

福島第1原発を中心にして、露地物野菜などから、放射性物質(ヨウ素、セシウムなど)が検出され、出荷停止、摂取停止の措置がとられた。さらに、都内でも、1平方メートルあたり5300ベクレルのセシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131が検出されただけでなく、浄水場でも放射性ヨウ素131が1リットル当たり210ベクレル検出された。

いよいよ日々、食べる物、飲む物が放射能に汚染されるという事態になってしまったといえる。

このレベルで考えられる放射線の健康被害は、将来の発癌率が高まることだから、オイラのような50歳代以上は、ある意味、腹をくくって暮らしていくしかない。しかし、現在妊娠している方、そして小さなお子さんは、できるだけそうしたものを摂取しないですませられるように、細心の注意を望みたい。

首都圏、放射性降下物増える 東京で前日比10倍も:朝日新聞
都の水道水 放射性物質を検出:NHKニュース

ところで、これらのニュースに新しく登場した単位ベクレル。1秒間に1個の原子核が崩壊して放射線を放つと1ベクレル。だから、1平方メートルあたり5300ベクレルのセシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131を検出したというのは、1平方メートルのなかで1秒間にセシウム137の原子5,300個とヨウ素131の原子3万2,000個が崩壊しているということ。

ベクレル

ベクレル(becquerel, 記号: Bq)とは、放射能の量を表す単位で、SI組立単位の一つである。1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1ベクレルである。たとえば、370Bqの放射性セシウムは、毎秒ごとに370個の原子核が崩壊して放射線を発している。なお、放出する放射線の強さ(エネルギー)とは異なる。(Wikipedia日本語版、2011年3月23日)

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計画停電 5グループをさらに細分化するというが

東京電力が、計画停電について、現在の第1から第5までの5つのグループを、それぞれさらに5つに細分化して、停電の予定を発表することにした。

計画停電 5グループを細分化 NHKニュース

しかし、このブログで前に指摘したように、現在でも、東京電力は、各グループを変電所ごとに14〜18の系統に分けて、計画停電を実施している。市町村ごとにきっちり分けられないのは、市町村や丁目の境界をこえて電線が引かれているから。グループを細分化したからと言って、グループ分けが市町村ごとにすっきりするわけではない。

現在では、こちらのページ(「お住まいのエリアから計画停電グループを調べる」)から、自分の住んでいる地域が第何グループなのかを知ることができる。

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日本学術会議が緊急集会「今、われわれにできることは何か?」

日本学術会議が、18日、緊急集会「今、われわれにできることは何か?」を開きました。

脆弱なシステム、改善に向け行動 大震災受け日本学術会議声明:日本経済新聞
原発事故 鎮静へ総力/学術会議が緊急集会:しんぶん赤旗

日本学術会議は、「日本学術会議法」にもとづいて設置されている「わが国の科学者の内外に対する代表機関」(同第2条)であり、独立して職務をおこなう(第3条)とともに、「科学を行政に反映させる」ため、あるいは「科学を産業及び国民生活に浸透させる」ために必要なことを「政府に勧告する」権限を与えられています(第5条)。

日本学術会議の報告はこちら↓。

日本学術会議 緊急集会「今、われわれにできることは何か?」に関する緊急報告

そのなかでは、学術会議にふさわしく、さまざまな貴重な提案が指摘されています。

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僕たちに音楽を聴かせてください

東京では、コンサートが次々と中止、あるいは延期となっている。ミューザ川崎は、前に紹介したように、ホールの天井が落下して、当分使用不可能になった。安心して音楽に身をゆだねられる日が早く来てくれることを願わずにはいられない。

今日の「日本経済新聞」文化欄で、仙台フィルの正指揮者の山下一史氏が仙台市青葉区の青年文化センターで地震にあったときのことを書かれている。リハーサル直前だったが、楽団員・事務局のみなさん無事だったそうだ。

そのとき仙台は雪。山下氏が楽団員の車でホテルに向かう途中、「歩道は、雪の中、傘もささずに歩いて帰路につく人々の列が延々と続いていた」という文章が、直後の仙台市内の様子を伝えている。仙台フィルは、6月末までのすべての主催公演が中止になった。山下氏は「音楽の出番は必ず来る」と書かれている。その日が一日も早くおとずれんことを。

仙台フィルハーモニー管弦楽団

山形交響楽団は、11日、12日の公演は中止せざるをえなかったが、27日の「オーケストラの日2011」公演は「被災者応援コンサート」としておこなわれるそうだ。

山形交響楽団│Yamagata Symphony Orchestra

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巨大地震による原発事故にかんする吉井英勝議員の質問趣意書(3)

巨大地震にともなう原発事故の問題にかんする共産党・吉井英勝衆議院議員(比例・近畿ブロック)の質問の第3弾です。

こんどは、やはり2006年12月に、吉井議員が提出した質問趣意書(「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」)と、それにたいする安倍晋三内閣総理大臣の答弁書。

巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書

その全文は、インターネットで見てもらうとして、ここでは、質問と答弁とを組み合わせて、吉井議員が何を質問して、それにたいして、当時の安倍晋三自民党・公明党内閣がどう答えていたのかをわかりやすく再構成しました。

吉井議員の質問は、大きくは3つの柱からなっています。第1は、大規模地震時の原発のバックアップ電源について。第2は、沸騰遷移と核燃料棒の安全性について。第3は、データ偽造、虚偽報告の続出について。

まずは、第1の「大規模地震時の原発のバックアップ電源について」から。

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共産党・吉井議員の質問(2)

共産党の吉井英勝衆議院議員(比例近畿ブロック)の、原発の地震・津波にたいする安全性にかんする国会質問の続きです。

同じく2006年の10月の国会質問。

ここで吉井議員が質問しているのは2つの問題。

  1. 大規模地震等によって原発事故が起こったときに、外部電源が得られない、あるいは内部電源でも複数のバックアップがダメになって、冷却系が動かなくなったとき、原子炉はどうなるのかということを原子力安全委員会自身がどう想定しているのか。
  2. 冷却系が働かず、崩壊熱が除去できなくなり、核燃料棒のバーンアウト、破損などが起きる事態になるということを、原子力安全委員会はどのように想定して、原発の安全審査を行っているのか。

で、それにたいする原子力安全委員会の答えは、「炉心が深刻な事態にならないようにするというのが我々がとっている方針」というもので、そもそもかみ合ってないのですが、吉井議員の質問には次のように答えています。

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原発が津波被害を受けたさいの対策をただす共産党・吉井英勝議員の質問

原発の津波被害について、日本共産党の吉井英勝衆議院議員(比例・近畿ブロック)が、2006年に、スマトラ沖地震の大津波を踏まえて、国会で質問していました。

まず3月1日の予算委員会での質問。このなかで、吉井議員は、冷却水が失われたときに崩壊熱を除去する機能が失われるとどうなるか、対策を考えておく必要がある、と追及しています。

衆議院会議録情報 第164回国会 予算委員会第七分科会 第2号

このとき答弁した広瀬研吉・資源エネルギー庁原子力安全・保安院長(原子力安全・保安院は現在は経済産業省所管)は、沸騰水型(福島第1は沸騰水型)の場合は「原子炉停止時冷却系で原子炉の崩壊熱を除去する」との考え方を示し、それは、原子炉から出てきた水蒸気を用いて、蒸気タービンで原子炉隔離時冷却ポンプを動かし、いま話題の「サプレッションプール」(2号機で異音がしたといわれる圧力抑制室のこと)の水で冷却をするというやり方で、「これが機能すると考えております」と答弁していました。

つまり、このとき、冷却水が失われてもサプレッションプールを含む「原子炉停止時冷却系」が機能する、という想定を原子力安全・保安院はしていたわけです。

しかし、現実には、電源が失われたため、その「原子炉停止時冷却系」が機能せず、現在の事態に立ち至っています。実は、このときの質問で吉井議員は、さらに「大規模地震でバックアップ電源の送電系統が破壊され、循環ポンプ機能そのものが失われた場合には、炉心溶融も起こりうる」と指摘して、それを念頭に置いた対策を求めていました。

政府や原子力安全・保安院が、吉井議員のこの指摘をまともに考えていれば、もう少し今の事態が違っていたかも知れません。

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本日130万アクセスを超えました

日頃からInternet Zone::WordPressでBlog生活をご愛顧いただき、ありがとうございます。本日、130万アクセスを超えました。

ただ、それらのうち少なくないアクセスは東日本大地震や福島原発にかんするものと思われることが、残念でなりません。いまなお困難な状況に立ち向かっている多くの方々の努力が、少しでも早く、少しでも多く報われることを願わずにはいられません。

これからもよろしくお願い申し上げます。

IAEA事務局長 「情報公開が必要」

IAEA(国際原子力機関)の天野事務局長が来日、菅首相と会談しました。会談で菅首相は、「福島原子力発電所の事故についての情報は最大限、透明性をもってお伝えする」と約束したそうですが、そもそもなんで情報の「透明性」などが問題になったかというと、天野事務局長が来日直後に、こう語っていました。

「深刻な事故だ。総理と話をしたい。国際社会の連携と情報の公開がもっと必要だ」

つまり、IAEAは、福島第1原発の事態は「深刻な事故」なのに、日本政府は必要な情報を公開してない、と認識しているのです。アメリカCNNのキャスターが、いまだに東京電力が情報を管理していることを批判していましたが、それが原発事故にたいする国際社会の常識なのです。

IAEA事務局長“深刻な事故”:NHKニュース
菅首相、情報は包み隠さず最大限開示:TBS News-i
事故対応「場当たり的」…政府、東電を世界中が非難:スポーツ報知

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ミューザ川崎、地震で天井板が落下

天井や軽量鉄骨が落ちたミューザ川崎シンフォニーホール=幸区で(東京新聞)

天井や軽量鉄骨が落ちたミューザ川崎(東京新聞)

東京交響楽団がホームグラウンドにしている「ミューザ川崎」が、11日の地震で、天井板が落下し、使用不能になっているそうです。リハーサル中だった松居直美さんは無事。公演中でなかったのが不幸中の幸いです。

しかし、9月までの全公演は中止に。一日も早い復旧を願っています。

東日本大震災:ミューザ川崎、天井落下し客席埋まる 9月まで全公演中止/神奈川:毎日新聞

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屋内退避圏の病院で薬不足などから2人死亡…

福島第1原発の事故で屋内退避の指示の出ている南相馬市の病院で、点滴薬がなくなるなどして2人の患者が死亡したそうです。屋内退避の地域であっても、入院中の方や妊産婦、乳幼児などは、まっさきに圏外に避難させるのが当然でしょう。

「先進国」日本で、なんでこんなことが起こるんでしょうか。

薬不足などで病院で2人死亡:NHKニュース

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震災・津波から1週間がたちました

東日本大地震・津波から1週間がたちました。

死者が6539人になりました。16年前の阪神大震災の6434人を超えたといわれていますが、阪神大震災のこの犠牲者数は、震災後に避難先などで亡くなられた方も含んだ数字です。あのとき、1週間後に判明していた死者の数は5051人でした。

さらに1万を超える方々の安否がいまもなお不明のままです。

あらためて、今回の被害の大きさに言葉を失います。

東日本大震災、死者6539人に 阪神の被害超える – 東日本大震災:朝日新聞

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「僕は原子力に詳しい」 菅首相、専門家を自任

連合元会長の笹森清・内閣特別顧問の話によると、菅首相は「僕はものすごく原子力に詳しいんだ」と専門家を自任していた、とか。しかし、中途半端な知識では事態を混乱させるだけ。東京電力にデータ評価をさせるのをすぐにやめさせ、謙虚に専門家の意見にしたがって対処してほしい。

「最悪なら東日本つぶれる」=専門家自任、笹森氏に明かす―菅首相:時事通信

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1800万世帯が計画停電 それでも電気が足らない

今日は、いちだんと寒かったこともあって、午後になって、計画停電を実施していても電力が逼迫し、このままでは大規模停電が起きるおそれがある、との発表がありました。

そのせいか、渋谷で大震災救援募金の呼びかけをやったあと帰ろうと思ったら、渋谷駅のホームは人でいっぱいでした。わずかな時間でしたが、募金にはたくさんの人が応じてくれましたが、しかし、渋谷の人通りがめっきり少なくなっていてびっくりしました。

【計画停電】1日2回実施で延べ1800万世帯に影響 電力需給逼迫で:MSN産経ニュース
計画停電:鉄道各社、対応に追われる 大規模停電の恐れで:毎日新聞

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「民間が情報を管理して、一般市民を誤った方向に導いている」

80km圏内の自国民に退避を勧告したアメリカで、日本の対応に疑問が広がっていて、CNNのキャスターは、「民間が情報を管理して、一般市民を誤った方向に導いている」と批判しているそうだ。

僕も、これは疑問に思っていた。福島第1原発の状態がどうなっているか、どれぐらいの放射線が検出されているか、そういうことをすべて東京電力が記者会見して発表している。そして、その都度、「ほぼ安定している」とか「落ち着いている」とか、評価を加えている。

しかし、そういうデータの評価は、東京電力ではなく、原発の規制・監督機関がおこなうべきではないだろうか? 東京電力は観測数値をすべてそのまま規制・監督機関に報告し、それを規制・監督機関が評価して、安定しているのかどうか、危険な方向に向かっていないかどうか判断すべきだろう。そうでないと、3号機が危ないとなると、メディアも政府も3号機がどうだというところへ突っ込んでしまって、気がつくと、他のところで問題が重大化していたということになってはいないだろうか。

なんにせよ、事態がここまでいたっているのに、いまだに東京電力が事態が安定しているかどうかを評価していて発表しているというのは、まったく疑問だ。

米、日本の原発対応に不信感 退避範囲の違いに疑問噴出:朝日新聞

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計画停電 今後の予定と最新情報

東京電力の計画停電。わかりにくいということで、いろいろ混乱しているようですが、ともかく終戦直後の時期を除けば、かつてなかった事態なのですから、停電にならなかったらラッキーだと思っておおように構えたほうがいいのではないでしょうか。

計画停電のスケジュールなどは、東京電力のホームページのトップに表示されています。そのなかの「東京電力からのお願い」のところに必要な情報が発表されています。

確認しておいたほうがよいポイントは、以下の通りです。

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アメリカ政府は原発80km圏外への避難を勧告

米軍は、放射線被曝を避けるため、軍関係者に福島第1原発から50マイル(約80km)圏内への立ち入りを原則禁止にしました。また、それとは別に、米政府の指示にもとづいて、在日アメリカ大使館は、原発80km圏内に居住するアメリカ人にたいして、圏外退避を勧告しました。

「予防的措置」だけれども、そうした準備をおこなうべき段階ということなのだろう。

米軍、福島原発80キロ圏内からの避難命令:WSJ.com
米大使館、原発80キロ圏内居住者に避難勧告 予防的措置:日本経済新聞

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日経新聞 「原発の最悪事態も想定し万全の対応を」の社説を掲載

日本経済新聞が、今朝の新聞で「原発の最悪事態も想定し万全の対応を」と題する社説を掲げました。

社説は「使用済み核燃料の過熱は予断を許さない」「原子炉が壊れて多数の人が被曝する惨事の恐れはなお拭いきれない」と指摘。さらに「放出された放射性物質は原発から半径30キロメートルを超える地域まで、微量ながらも広がりつつある」と懸念を表わし、「万が一の事態も想定し、広範囲の住民避難や医療提供の準備も急ぐべきだ」と提起しています。

原発の最悪事態も想定し万全の対応を:日本経済新聞

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