『共産党宣言』を手に入れました!!

『共産党宣言』初版(リプリント版)

こんどは、1848年に発行された『共産党宣言』の初版を手に入れました。もちろんリプリント。いわゆる23ページ本で、1965年に旧東ドイツで発行された、リプリント版としては一番よく出回っているものです。中身はヒゲ文字ですので、オイラにはほとんど読めません(涙)。

海外の古書サイトで、送料込みで£12.54、約1,700円。意外と安く手に入りました。(^_^)v

買いました!! フランス語版『資本論』

フランス語版『資本論』(極東書店1967年リプリント)

フランス語版『資本論』。私が手に入れたのは、1967年に極東書店が発行したリプリント版です。ホンモノは100万円以上しますので、とても僕には買えません。(^_^;)

フランス語版『資本論』は、1872年から75年にかけて、パリのラシャートル社から9セット44分冊で発行されました。訳者はM.J.ロワですが、マルクスは、ロワの翻訳に満足せず、訳文をすべて校閲して大幅な書き直しをするなど、手を加えました。

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「古典教室」第1回 『賃金、価格および利潤』(その1) 受講しました

昨日、日本共産党の「綱領・古典の連続教室」の古典教室第1回がひらかれ、私も受講してきました。講師は不破哲三さん、古典教室の第1回と来月(第2回)のテキストは、マルクスの『賃金、価格および利潤』です。

講義は約90分。前半は、「古典」とは何か、「マルクス、エンゲルスはどんな時代の人か?」、あるいは『賃金、価格および利潤』の書かれた背景などの解説。そのうえで、『賃金、価格および利潤』の第1章から第5章は、経済学の理論が分からなくてもすぐに分かるウェストン君のたわごとへの批判で、いろいろおもしろいところあるが今回は割愛しますと断って、講義は第6章に進みました。

まずなにより、不破さんの講義は分かりやすくて、おもしろい。古典というと、難しい、読みにくいと敬遠する向きもありますが、そうしたイメージを一新してくれたのではないでしょうか。それでいて、理論的には、なるほどと唸らされるところがいっぱいあり、私自身、古典の講義、解説というのはこうでなくちゃいけないとつくづく反省させられました。

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『賃金、価格および利潤』第6章を読んでみた

明日から始まる「連続教室」を前に、テキストのマルクス『賃金、価格および利潤』の第6章を読み返してみました。

第5章まではウェストン君のたわごとへの反論で、第6章から本格的な経済学の理論が始まる。これは、従来から言われていることです。

そこでマルクスが最初に提示する問題は、「商品の価値とは何か? それはどのようにして決定されるか?」というもの。そして、以下マルクスの説明が始まるのですが、僕は、この部分を、『資本論』第1部第1章第1節の説明を簡単に繰り返したものだと思って読んでいました。多くの方もそうだろうし、新日本出版社の古典選書版『賃労働と資本/賃金、価格および利潤』の125ページには、わざわざ「以下の叙述については、『資本論』第1巻第1章第1節参照」という訳注までついています ((この訳注が間違っているということではありません。この訳注から、『賃金、価格および利潤』を『資本論』第1章第1節の要約解説だと誤解されるとしたら、それが問題だということが言いたいだけです。誤解のないように、念のため。))。

しかし、つらつら読み返してみると、価値の社会的実体が労働であり、価値の大きさを決めるのは商品に体現された労働の量であることを明らかにした後で、マルクスは、次のような「質問」を取り上げていることに気づきました。

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『剰余価値学説史』はどう読めばよいのか(2)

サー・ジェイムズ・スチュアート、重農学派と、文字どおり「剰余価値」にかんする諸学説を扱ってきたマルクスだけれど、「A・スミス」になって、ちょっと調子が変わってくる。

草稿ノート第6冊243ページ(大月版『資本論草稿集』第5分冊、51ページ)から、スミスの剰余価値論について書かれているが、ノート257ページ(同、77ページ)にきて、{}にくくられた次のような書き込みがある。{}は、草稿でマルクスが[]でかこっていた部分。

{ここでなお次のことを考察するべきであろう。(1)A・スミスにおける剰余価値と利潤との混同。(2)生産的労働に関する彼の見解。(3)彼が地代と利潤とを価値の源泉としていること、および、原料や用具の価値が収入の3源泉〔賃金、利潤および地代――大月版訳注〕の価格と別個に存在したり別個に考察されたりしてはならないような商品の「自然価格」についての彼のまちがった分析。}

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『剰余価値学説史』はどう読めばいいのか?

『剰余価値学説史』(「1861-63年草稿」の「剰余価値にかんする諸学説」部分)には何度か挑戦していますが、まったく歯が立ちません。(^_^;)

そもそもマルクスは、何を明らかにするためにこれを書いたのか? それを考える以前に、全体の組み立てさえよく分からない。そのまま闇雲に読み始めてみても、さっぱりつかめいない。

マルクスがここはこうだと見通しをもって書いている部分と、マルクス自身が経済学者の著作と格闘している探求的部分とがあるようだ。そこを区別しながら読み進むしかないのだろうか。

まず、全体の組み立てを整理しておこう。ということで、まず『資本論草稿集』(大月書店)の目次から。

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マルクスの市場価値論

高橋勉『市場と恐慌』(法律文化社)

高橋勉『市場と恐慌』(法律文化社、2009年)を読み始めた。『季刊・経済理論』第47巻第3号(2010年10月、桜井書店)では、長島誠一氏が詳しい書評を書かれているが、なかなかの理論作品であることは間違いない。

まだ第1部「市場メカニズムに関する基礎的考察」の第2章までしか読んでいない。第1章で、投下労働を基準とした均衡が成り立っている場合には使用価値での部門間均衡が成り立つが、投下資本を基準とした均衡、投下自己資本を基準とした均衡では、均衡水準が動くので、使用価値での部門間均衡が崩れることが明らかにされている。投下自己資本を基準とした均衡というのが新しい議論なのだが、まだよく分からないところもある。いずれにせよ、生産価格が成り立つようになると、使用価値での部門間均衡が崩れ、そのことが資本主義の不均衡の一番根底にある不均衡ではないかという議論は、よく分かる。

しかし第2章でマルクスの市場価値論について著者が論じたもののを読んでいると、いろいろと疑問になるところが出てきた。それで、あらためて『資本論』を読み返してみた。自分でもまだも整理できていないが、とりあえずのメモとして、気づいたことなどを書いておく。

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これは凄い論文だ!! 『経済』11月号

『経済』2010年11月号(新日本出版社)

新日本出版社発行の雑誌『経済』11月号が届いたので、早速読んでいます。その中でも、これは素晴らしい論文だと思ったのは、貧困問題や非正規雇用の問題を取り上げた2本の論文。

 唐鎌直義「なぜ資本主義は貧困を広げるのか」
 関野秀明「非正規労働は『自己責任』なのか」

いずれも、貧困問題、非正規雇用の問題に、マルクス『資本論』の「相対的過剰人口(産業予備軍)」論の立場からきわめて鋭く、戦闘的にせまって、資本主義のもとでの貧困とはいったい何か? 「非正規雇用」問題の本質は何か? ずばり真正面から解明されています。

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いま読んでいる本

村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』(新日本出版社)小林賢齊『マルクス「信用論」の解明』(八朔社)安西徹雄『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫)

左から、村岡俊三『グローバリゼーションをマルクスの目で読み解く』(新日本出版社、2010年9月)、小林賢齊『マルクス「信用論」の解明』(八朔社、2010年7月)、安西徹雄『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫、1995年)

村岡俊三氏の著作については、ここでも2冊(『マルクス世界市場論』『資本輸出入と国際金融』)紹介しましたが、本書は、今月刊行されたばかりの新刊書。「グローバリゼーション」(あるいはグローバリズム)の実態や現状分析にかんする本は数あれど、この本はそうした実態を分析した本ではありません。

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時計の仕組みを調べてみる

『資本論』第12章「分業とマニュファクチュア」第3節「マニュファクチュアの2つの基本形態」で、マルクスは、異種的マニュファクチュアの例として、時計のマニュファクチュア的分業を取り上げています。

そこには、1つの時計を組み立てるにあたっての細目労働の職名がずらりあげられているのですが、なにせ、そもそも時計というのはどういうふうに作られるのかを知らないので、さっぱり分かりません。

それで、なにか参考になるものはないかと思っていたら、こんな本を見つけました。

本間誠二監修『機械式時計 解体新書』(大泉書店)

本間誠二監修『機械式時計 解体新書』(大泉書店)。昨年12月に出版されたばかりで、クラシカル・ウォッチの魅力を紹介するためのものなのですが、その前段として、機械式時計のメカニズムについても詳しく紹介をしています。

マルクスは、時計マニュファクチュアについて、次のように述べています。

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的場氏よ、嘘をついてはいけません

的場昭弘『新訳共産党宣言』(作品社)

的場昭弘氏(神奈川大学教授)の翻訳で、『共産党宣言』の新しい翻訳が出ています。

これまで様々な翻訳が出版されてきた『共産党宣言』ですが、なぜ的場氏は新訳を出版したのか? 同書は表紙に小さい文字で「初版ブルクハルト版(1848年)」と書かれており ((奥付でも書名は「新版 共産党宣言 初版ブルクハルト版(1848年)」となっている。))、そのことについて、的場氏は「凡例」で次のように説明しています。

 翻訳のテキストは、『共産党宣言』(『宣言』)の初版とされるブルクハルト版全23頁のものを使用した。第5篇研究篇の歴史で述べるように、この初版にも数種類のバリアントがある。これまで邦訳されてきたものの多くは1933年のアドラツキー版旧メガ(Marx Engels Gesamtausgabe)所収のものからの翻訳である(最近の浜林正夫監修版、大月書店、2009年ではかつて初版といわれ、今では第2版といわれる30頁版が使用されている。……) 〔同書、11ページ、強調は引用者〕

つまり、「これまで邦訳されてきたものの多く」は30ページ本を底本としていたのにたいして、自分の新訳は23ページ組みの「ブルクハルト版」を底本にしている。そこに新訳の意味があるというのです。

しかし、いわゆる23ページ本にもとづく邦訳といえば、東北大学の服部文男氏が、1989年1月に新日本出版社から新日本文庫の1冊として出版したものがすでにあります ((服部氏が底本とした23ページ本が「ブルクハルト版」であることは、新日本文庫40ページに掲載された『共産党宣言』の表紙写真から確認できる。))。同氏の翻訳は、その後、1998年に同じ新日本出版社から「科学的社会主義の古典選書シリーズ」の1冊として刊行され、現在も入手可能です。

それにもかかわらず、この画期的な服部文男訳 ((服部文男氏の訳業は、「共産党宣言」各国語版の序文を、それぞれ発表された各国語から直接翻訳したという点でも、従来の翻訳史にはない画期的な意義をもつ。たとえば、1890年ドイツ語版には、エンゲルスが元のドイツ語版原稿を紛失したためロシア語からエンゲルス自身が翻訳しなおしたロシア語版序文が引用されている。従来は、この部分は、その後発見された原稿にしたがってドイツ語から翻訳されていたが、服部氏はロシア語版の序文を使って日本語への翻訳を行われ、たとえばドイツ語原稿では「プロレタリア革命」となっている部分がロシア語では「労働者革命」となっていたこと(そのことは訳注で指摘されている)など新しい事実が判明した。また、ポーランド語版序文では、従来の各種翻訳ではドイツ語にしたがって「ブルジョアジーの仕事をプロレタリアートにさせた」と訳されていた部分が、ポーランド語では文字どおり「火中の栗を拾わせる」となっているとして、その通り日本語に訳されている。))は、的場氏の新訳では一言も言及されていないのです。

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『1861-63年草稿』を読む(1)

大月書店「資本論草稿集」の『1861-63年草稿』<1>。

第3章「資本一般」I「資本の生産過程」1「貨幣の資本への転化」の部分。

『資本論』では、第2篇「貨幣の資本への転化」第4章「貨幣の資本への転化」に相当する部分だが、『資本論』では次の第3篇「絶対的剰余価値の生産」に含まれる「労働過程」や「価値増殖過程」、「貨幣の資本への転化が分解する2つの部分」(第6章「不変資本と可変資本」に相当)などが、ここに含まれている。

42ページ下段〜43ページ上段にかけて「資本主義的生産」が登場する。これが『1861-63年草稿』での初出か? しかしすでにマルクスは、「資本主義的生産」は自明な用語として使っている。「資本主義的生産」という言葉は、すでに「資本にかんする章のブラン草案」や「引用ノートへの索引」「私自身のノートにかんする摘録」(『資本論草稿集』第3分冊)に登場する。「資本主義的生産の制限」という表現が登場する(「自分自身を止揚する資本主義的生産の諸制限」454ページ上段、483ページ下段、515ページ上段) ((重田澄男『再論・資本主義の発見』桜井書店、2010年、によると、「資本主義的」という用語は「プラン草案」には1回、「私自身のノートにかんする摘録」では14回登場するらしい(同書、111ページ)。このことからみても、「プラン草案」→「私自身のノートにかんする摘録」という執筆順序が想定できる。))。「資本主義的」という形容詞が初めて登場するときに、それが「資本主義的生産の諸制限」という角度から登場したことは興味深い。

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とりあえず『資本論』第1部読破

かなり前から取り組んでいた『資本論』第1部をドイツ語とにらめっこしながら読む作業。

いろいろな発見を含みつつ、とりあえず、本日、無事、第25章「近代の植民地理論」まで読み終えることができました。ヽ(^o^)/

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昨日のお買い物

内田樹×石川康宏『若者よ マルクスを読もう』(かもがわ出版)

昨日、本屋で見つけた新刊書。神戸女学院大学の内田樹氏と石川康宏氏との、手紙の交換形式によるマルクスの薦めです。取り上げられているのは、『共産党宣言』『ユダヤ人問題に寄せて』『ヘーゲル法哲学批判序説』『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』の5冊。

これら5つの文献は、どれもマルクスが20歳代に書いたもの。そこから、「20歳代の模索と情熱」というサブタイトルが生まれ、そんな同世代人マルクスの書いたものを若者は「いいから黙って読みなさい」ということになるのでしょう。

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マルクスとリンカーンの交流

共産主義の生みの親マルクスと、米共和党初の大統領リンカーンとのあいだに実は交流があった、という話が話題になっています。

マルクスからリンカーンへの手紙というのは、1864年にリンカーンが大統領に再選されたときに、国際労働者協会(インタナショナル)がリンカーンに送った「あいさつ」です。マルクスが起草して、11月29日の中央評議会で採択され、ロンドン駐在の米公使を通じてリンカーンに送られました。これは、『マルクス・エンゲルス全集』第16巻に収録されています。

それにたいして、翌1865年1月28日に、リンカーンの指示による返書が中央評議会に届けられました。

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CDで聴く『資本論』

audio CD--Karl Marx:Das Kapital(6CDs)

audio CD--Karl Marx:Das Kapital(6CDs)

注文していた『資本論』の朗読CDが届きました。

さっそく聴いてみましたが、ただ延々と『資本論』を朗読しているだけ。もちろんドイツ語で、カピタルとかアルバイツ、ポリティシェ・エコノミなど、ところどころ分かる単語が出てきますが、あとはチンプンカンプン…

しかし、文字でしか追ったことのなかった『資本論』がネイティブの発音で聴ける、というのは、ちょっと不思議な感覚です。(^_^;)

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今の時代が幸せかどうかは「腹の据え方」

不破哲三『マルクスは生きている』

不破哲三『マルクスは生きている』

不破さんが、昨年10月、11月に東京大学駒場キャンパスでおこなった連続セミナーの講演記録です。

平凡社新書の『マルクスは生きている』をベースにした講演で、1回目はマルクスの自然観と社会観、2回目は資本主義論と未来社会論ということになっています。しかし、目の前にいる人たちに直接語りかけているという点でも、その人たちが大学生だという点でも、また違った趣があります。(たとえば、1回目は「大学時代にマルクスが必読な理由」という角度から、マルクスの自然観、社会観が取り上げられています)

また、参加者からの質問にも答えていて、それが東大らしく(質問者が東大生かどうかは不明ですが)、「アインシュタインやボーアは唯物論者ではないのに、偉大な成果を上げているのは、どう説明したらよいのか」とか「人間の精神がDNAやニューロンによって左右されるのだったら、私の『主体性』はどこに行ってしまうのか」など、かなり突っ込んだ質問が出ていて、それにたいする不破さんのずばりと切り込む回答がまたおもしろいのです。

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