櫻井良樹氏の新著『華北駐屯軍 義和団から盧溝橋への道』(岩波現代全書、2015年9月刊)を読了。盧溝橋事件(1937年)の発端となった華北駐屯軍の歴史を、義和団事件での北京議定書による創設から盧溝橋事件発生までを丹念に追いかけた本で、日本側の資料だけでなく、アメリカやイギリスの関連資料や中国側の資料なども掘り起こして、華北駐屯軍の当初の位置づけ、とくに「列強の行動を規制する側面」を明らかにした点や、その後の第2次山東出兵やとくに「満州事変」後の変質を丁寧にあとづけ、豊台に日本軍が駐屯していたことが決して北京議定書に照らして当然の事態でなかったことを明確にしたことは本書の貴重な成果といえる。
「第2次世界大戦」タグアーカイブ
橋下発言、世界的大問題に!!
橋下徹・日本維新の会共同代表・大阪市長の「発言」は、海外でも大きく報道されています。
BBC News – Japan WWII ‘comfort women’ were ‘necessary’ – Hashimoto
Mayor in Japan Says ‘Comfort Women’ Played a Useful Role – NYTimes.com
「日本の歴史を否定する新たな企て」N.Y.Times社説
すでに日本のメディアでも取り上げられていますが、米ニューヨークタイムズ紙が2日付で、「日本の歴史を否定する新たな企て」と題する社説を掲載しました。
安倍首相の、「従軍慰安婦」否定の動きにたいする批判です。論説は、あくまでアメリカの立場から「アジアの安定」を意図としたものですが、そういう立場からしてみても、第2次世界大戦での日本の侵略と「従軍慰安婦」の存在を否定する「歴史修正主義」の動きは、とても容認できるものではないということを示しています。
Another Attempt to Deny Japan's History – NYTimes.com
ということで、久々のヘッポコ訳です。
映画「サラの鍵」
昨日、フランス映画「サラの鍵」を見てきました。1942年7月のフランスにおけるユダヤ人一斉検挙をテーマにした作品です。
パリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリアは、夫の祖父母が暮らしていたアパルトマンに引っ越す準備をしていたが、ふとしたきっかけで、その部屋に祖父母が越してきたのが1942年8月だったことを知る。そこから、この部屋に秘められた歴史に踏み込んでゆきます。
「ペーパーバード 幸せは翼にのって」
休みが続いてすっかりヒッキーになりつつあるので、今日は、夕方になってから映画を見に出かけました。(今年8本目)
「ペーパーバード 幸せは翼にのって」。スペイン映画です。
舞台は、内戦が終結したあとのスペイン。フランコ軍の爆撃で妻と息子を失った喜劇役者ホルヘは、1年後、ふたたび旅劇団に復帰する。相方のエンリケ、そしてエンリケにひきとられた孤児のミゲルといっしょに、ふたたび舞台に立つ。内戦に勝利したフランコ政権は、反体制派に徹底的な弾圧を加える。一人の大尉がホルヘに目をつけ、劇団に部下のパストールを送り込む。やがて、劇団はフランコ総統の前で芸を見せることに……。
映画「誰がため」 スウェーデンの抵抗運動
今日も渋谷で映画を見てきました。デンマークの反ナチ抵抗運動を描いた「誰がため」。ナチスの幹部や対独協力者を処刑していく「フラメン」(炎)と「シトロン」(レモン)というコードネームで呼ばれた2人の、実話にもとづく映画です。(今年2本目)
映画「縞模様のパジャマの少年」
休みになるとテンションが下がりに下がってしまって、そのままだと軽く“ヒッキー”になってしまうので、今日は、昼からノコノコ出かけて新宿で映画を見てきました。
映画は、「ブラス!」「リトル・ヴォイス」のマーク・ハーマン監督の「縞模様のパジャマの少年」。東京では、そろそろ公開も終わりに近づいているのでしょうか、午前中と午後の1回目ぐらいまでの上映になってしまいました。
舞台は1940年代のドイツ。ナチスの将校の父親をもつブルーノ少年は、父親の仕事の都合で田舎に引っ越す。そこには、近くに「農場」があって、昼間からパジャマを着た人たちが働いていた。母親に「農場に行ってはいけない」と禁じられたブルーノだったが、母親の目を盗んで「農場」に出かけ、シュムールという同い年の少年と出会う。ブルーノは、シュムールに問いかける。「どうして、パジャマを着ているの?」「胸に数字が書いてあるけど、なんのゲームをしているの?」
映画「セントアンナの奇跡」
日曜日、散髪してさっぱりしたあと、夕方から日比谷シャンテで、映画「セントアンナの奇跡」を見てきました。
予告編を見たときは、ミステリー仕立ての映画だろうか? 事件の秘密をこの子どもが握っているのかなと思ったのですが、実際に見てみると、まったく違っていました。
長野・大町市で大量の兵事書類が見つかる
「兵事書類」というのは、戦前・戦中に全国の市町村役場が徴兵事務をおこなうためにつくった書類のこと。敗戦直後に陸軍が焼却処分を命じたために、ほとんど失われてしまった。
今朝のNHKニュースで、その兵事書類が、長野県大町市、旧社村の民家の土蔵からまとまって発見されたことを紹介していた。特集的なニュースだったので、NHKのサイトを覗いてみても記事は見つからなかったが、代わりに、信濃毎日新聞の記事を見つけた。
田母神問題スレ
コメントするのもばかばかしい問題だけれども、田母神氏のアパ懸賞論文問題で関連ニュースを貼り付けておく。
田母神氏の論文が懸賞論文で最優秀賞をとった経緯は、「朝日新聞」の記事でほぼ明らか。要するに、アパの元谷外志雄代表が強く推したからということのようで、事実上の出来レース。
で、そのアパは、小松基地周辺の宿舎借り上げで、契約の約3分の1を占めている。つまりは、お得意さんのトップに「懸賞論文」と称して、300万円のおカネを渡そうとした訳で、形こそ変えているが、事実上の賄賂ではないか。国家がどうしたこうしたと偉そうなことを言っていても、所詮、一皮むけばこんなもの。(-_-;)
「この人が空自トップ?」 驚き、あきれる外国人記者(中国新聞)
アパ代表のみ田母神氏に最高点 論文審査で(朝日新聞)
田母神氏の応募、審査前から認識 アパ代表(朝日新聞)
論文締め切り後、空自部隊で応募 主催者から事前了承(NIKKEI NET)
小松基地の宿舎、3分の1がアパと契約 03年度以降(朝日新聞)
しかし、自衛隊関係者がみんな田母神氏のような偏った考え方をしている訳ではない。元防衛庁幹部にだって、こういうふうに至極まっとうな考えを主張される方もいる。
あらためて考える時代と音楽
仕事の休みに、渋谷・ユーロスペースで映画「帝国オーケストラ ディレクターズカット版」を見てきました。ヒトラーが政権をとった1933年から45年までのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の歴史を、当時の楽団員ハンス・バスティアン(バイオリニスト、96歳)とエーリヒ・ハルトマン(コントラバス奏者、86歳)、それに当時の楽団員の子どもたちの“証言”によってふり返った作品です。
最近読んだ本
左から、戸谷由麻『東京裁判』(みすず書房)、坪井善明『ヴェトナム新時代』(岩波新書)、荒井信一『空爆の歴史』(岩波新書)。しばらく読み終わった本の感想を書き込むのをサボっていたので、3冊まとめて投稿します。(^_^;)
“帝大教授の戦災日記”
東条英機「手記」 最後まで敗北を理解せず
東条英機元首相が敗戦直前に書き残した「手記」が残っていたことが明らかになったというニュース。
内容をみてみると、東京もすっかり焼野原になり、広島、長崎に原爆が落とされ、ソ連が対日参戦を表明するという、本当にどん詰まりの段階にいたってなお、「戦いは常に最後の一瞬において決定する」とくり返し、「国政指導者及び国民の無気魂」を批判するばかりで、まったく戦況が見えていない。あらためて、ウルトラ精神主義が支配していた戦前・戦中の恐ろしさ(と愚かさ)を感じさせる。
東条元首相、終戦直前の手記みつかる 責任転嫁の言葉も(NIKKEI NET)
東条元首相の直筆メモ公開 無条件降伏「国民がのろう」(朝日新聞)
ユダヤ人絶滅の専門部隊としての武装SS
大杉一雄『日中戦争への道』
以前紹介した大杉一雄氏の『日中十五年戦争史』(中公新書、1996年刊)が、『日中戦争への道――満蒙華北問題と衝突への分岐点』と改題して、講談社学術文庫から新刊されました。
これは力作 大杉一雄『日中十五年戦争史』
先日、まろさんからご紹介をいただいた大杉一雄著『日中十五年戦争史』(中公新書)。版元品切れ・重版未定ということで、古本屋で手に入れて、読み終えました。
一言でいって、これはなかなかの力作。一読の価値ありの本です。
著者、大杉一雄氏は、1925年生まれ、東大経済学部卒業後、日本開発銀行に勤務し、その間、アジア経済研究所に出向、という経歴の持ち主。いわゆる専門の歴史研究者ではありません。しかし、なぜ日中は戦わざるを得なかったのか、戦争を回避する可能性はなかったのか、可能性があったとしたら、それを可能性のまま終わらせてしまったものは何か、それを追求した著作です。よく知られた各種資料はもちろんですが、それだけでなく、当時の雑誌などに掲載された政治家や知識人の論文や座談会での発言などを丹念に調べ上げて、いわば当時どんなふうに議論がなされていたかをふくめ再現されているのが特徴。とても勉強になりました。
加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』
吉田裕氏の『アジア・太平洋戦争』を先に読み終えて順序が逆になりましたが、岩波新書の「シリーズ日本近現代史<5>」の加藤陽子さんの『満州事変から日中戦争へ』を読み終えました。加藤さんは1960年生まれ、ということで僕より年下ですが、最近活躍の研究者です。
加藤さんが本書で追究したテーマの1つは、戦前の日本では中国が不法行為を働くから報償・復仇として武力を行使したのだと考えられていたとして、なぜ日本はそんなふうに考えるようになったのか、という問題。その中心は、いわゆる「満蒙の権益」なるもので、これが「国際的に認められたもの」であったにもかかわらず、中国がボイコットなど「不当に」侵害した、日本はそれを守るために仕方なく武力に及んだのだ、という議論です。
しかし、加藤さんは、日本の「満蒙特殊権益」がイギリスやアメリカから認められたことはなく、そのことは当時の日本の外交担当者、支配勢力も自覚していたことを明らかにされています。つまり、「満蒙特殊権益は国際法上認められていた」という主張は、実は、日本が戦争に向かうなかで「改変」された「記憶」だったということです。
米下院従軍慰安婦決議で社説を読む
米下院の従軍慰安婦決議について、地方紙の社説を調べてみました。
「北海道新聞」は、「慰安婦問題は重大な人権侵害問題だ。それなのに日本は心から反省も謝罪もしていない……そう見られても仕方のないような政治家の言動が絶えない」、「慰安婦問題を日米間の政治問題に矮小(わいしょう)化して見てはいけない」と指摘。「中日新聞」は、「後世に裁かれるべき歴史の暗部であったことに異論はないはずだ。時代のせいにはできない」として、歴史に学ぶことの大切さを強調している。「河北新報」は、「河野談話」を否定するような言動を念頭に置きつつ、これを「現在と未来に生かすこと」を求めている。
社説:米慰安婦決議*可決されたのはなぜか(北海道新聞)
社説:従軍慰安婦決議 歴史は学べ何度でも(中日新聞)
社説:「慰安婦決議」可決/政府は未来に向けた対応を(河北新報)
社説[慰安婦問題決議]よそ事とは思えない(沖縄タイムス)
見てきました「ドレスデン、運命の日」
5・3憲法集会&銀座パレードのあと、日比谷の映画館で、映画「ドレスデン、運命の日」を見てきました。(今年5本目)
1945年1月、なかなか降伏しようとしないヒトラー・ドイツにたいし、連合軍が大攻勢を開始。ドイツは制空権を失い、激しい攻撃に見舞われていた。ドイツ東部の都市ドレスデンでは、主人公アンナが、父カールが病院長を務める病院で看護師として働いていた。ある日、アンナは病院の地下で、銃弾で負傷した男を見かける。
同じころ、イギリスでは、ドイツ東部の都市を目標に大規模な戦略爆撃をおこなう計画を立てる。その対象に、ドレスデンが選ばれる。ついに、なにも知らないアンナたちの上空に爆撃機が迫ってくる…。
以下続く(ただし、一部ネタばれあり)