日フィル「第九」コンサート

今日は、サントリーホールで、日フィルの「第九」コンサートを聴いてきました。
指揮は日フィル正指揮者の沼尻竜典氏。休憩前に、合唱団のアカペラで、武満徹氏の「うた」3曲を歌うというちょっと趣向凝らしたプログラムでした。

  • 武満徹:混声合唱のための《うた》より「翼」
         MI・YO・TA(沼尻竜典/編曲)
         混声合唱のための《うた》より「小さな空」
     (休憩)
  • ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125 「合唱」

前半は、東京音楽大学の合唱団によるアカペラということで、舞台の上は指揮の沼尻氏のみ。合唱団は舞台後ろのP席に陣取っているので、指揮台にのぼった沼尻氏とはちょっと距離があって、そこから沼尻氏がぐるぐると腕を振り回して指揮している様は、なかなか妙な構図でした。

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台湾のハンセン病元患者が補償を求め提訴

台湾のハンセン病元患者が、ハンセン病補償法にもとづく日本政府への補償請求を退けた厚生労働省の処分を不服として、処分取り消しの訴えを起こしました。

植民地支配の下で、国内の隔離政策に従って、強制隔離しておきながら、いまになって「外国人」であることを理由に補償しないというのは矛盾しているとしか言いようがありません。

台湾の元患者も集団提訴 ハンセン病隔離の補償求め(共同通信)
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立川自衛隊官舎ビラ配布事件(2)

昨日、無罪判決が出た立川の自衛隊官舎ビラ配布事件ですが、今日の新聞の談話を見ていると、憲法研究者などのコメントはいいのですが、刑事法研究者が否定的な談話を寄せているのが気になりました。

たとえば――

日本ではあまりにも政治的自由が主張され過ぎて私的領域の個人の自由への配慮が不足しており、改める必要があると思う。ミスを犯した判決だと思う。(渥美東洋・中央大大学院教授、「毎日」)

宿舎の管理者が立ち入りを拒否しているのは明白で、立ち入り禁止に(強い弱いの)程度はない。裁判所は立ち入り拒否の程度やプライバシー侵害の程度が低いと判断したが、住居侵入の違法性がゼロでない限り、居住者は保護されるべきであり、量刑で判断すべきだ。(土本武司・帝京大教授、「東京」)

しかし、僕にはこれらの主張が理解できません。刑事法の一般的な理解・立場って、こういうものなんでしょうか?
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「毎日」、盧武鉉大統領へのインタビュー掲載

17日付「毎日新聞」が、韓国・盧武鉉大統領へのインタビューを掲載しました。それを読むと、盧武鉉大統領がしっかりした原則をもって自らの考えを話していることがよく分かりますね。以前、大統領選前に書かれた『私は韓国を変える』(青柳純一、青柳優子訳、朝日新聞社)を読んだときも、その点で非常に新鮮な印象を受けたことを覚えています。

韓国大統領 一問一答(毎日新聞)
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「精力善用」「自他共栄」

『丁玲自伝』を読み終えたので、こんどは計見一雄『統合失調症あるいは精神分裂病』(講談社選書メチエ)を読み始めました。講演録ということで、文章は相当に乱暴?ですが、つらつら読んでいたら「私の高校は加納治五郎という人が理事長だったので、柔道場に『自他共栄』って書いてあるんです」という文章にぶちあたりました。ということは、計見さんはわが高校の大先輩! 

わが校出身の精神科医が和田秀樹みたいなのばっかりじゃなかったことが分かり、安心しました。(^^;)

立川自衛隊官舎ビラ配布事件、一審無罪判決

東京・立川市の防衛庁宿舎で自衛隊イラク派遣反対のビラを配布したとして、市民団体のメンバー3人が住居侵入罪に問われた事件で、16日、東京地裁八王子支部(長谷川憲一裁判長)は、無罪の判決を下しました。

判決は、自衛隊官舎の敷地は居室と一体で「住居」に該当し、郵便や宅配便の配達員、電気やガスの検針者など以外の者が、無断で敷地内に立ち入るのは「侵入」に該当するとしたものの、被告らが敷地内に立ち入った「動機は正当なもの」であり、「その態様も相当性を逸脱していない」、「生じた居住者や管理者の法益の侵害も極めて軽微なものにすぎない」と指摘しました。
注目すべきは、イラク派遣反対のビラの配布は「憲法21条1項の保障する政治的表現活動の一つであり、民主主義社会の根幹を成すもの」であるとして、「商業的宣伝ビラの投函」よりも優先して尊重されなければならないと指摘したこと。その立場から、宣伝ビラの配布を放置しながら、被告らのビラ配布について、事前の警告や抗議なしに「いきなり検挙」したのは疑問だとして、刑事罰にあたるような違法性はないと認定しました。

一般に外部の者が立ち入ることができるポストなどへのビラ配布は、表現の自由として正当なものだとして認めたのは、まったく妥当なものであり、当然の判決だと思います。

ところで、今日の東京新聞「こちら特報部」では、裁判の過程で、今回の事件で自衛退官者の管理人が提出したとされる被害届は、実は署名だけすればよい状態で警察があらかじめ準備していたものだったことが明らかになったそうです。その点でも、実際の被害などもともとは存在しなかった、「公安主導」の異常な捜査・立件だったといえます。

<イラク派遣反対ビラ>3被告に無罪判決 地裁八王子支部(毎日新聞)
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マツダ、深夜の工場火災

15日深夜、広島のマツダ宇品第1工場で火災発生。

驚くのは、火災発生時(夜10時45分頃)に隣接する第2工場と合わせて1000人以上の労働者が働いていたということ。いくら新車の売れ行きが好調だからと言って、宇品工場だけでなく、全国の工場が24時間操業というのはあまりに異常です。

マツダ火災 7時間後に鎮火 広島・宇品第1工場(毎日新聞)
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『丁玲自伝』

丁玲自伝

昨日(正確には一昨日)買ってきた丁玲著『丁玲自伝』(東方書店)ですが、今日(正確には昨日…あ〜面倒くさい)読み終えてしまいました。

同書は、丁玲が1933年に上海で逮捕され国民党によって3年間余り幽閉されていた時代のことを書いた「暗黒の世界で」(原題は『魍魎世界』)と、1957年の「反右派闘争」から「文化大革命」の時期の体験を書いた「風雪に耐えて」(原題は『風雪人間』)の2部構成です。

とくに上海で幽閉されている時期に、国民党によって、「丁玲は裏切った」というデマが流され、それが「反右派闘争」や「文化大革命」の時期に「右派」の証拠として持ち出されるなど、苦労を重ねることになります。しかし本書では、そうした境遇で苦しむ自分の気持ちとともに、そのとき、そのときのさまざまな人との出会い――そのなかには、裏切りや挫折もありますが、思いやりある人々との出会いがていねいに書かれていて、あらためて、革命運動というものはそうした人々の思いによって支えられ、継承され、発展していくものなのだということを強く感じました。

【書誌情報】著者:丁玲 Ding Ling/書名:丁玲自伝 中国革命を生きた女性作家の回想/訳者:田畑佐和子/出版社:東方書店/発行:2004年10月/INBN4-497-20415-4/定価:本体2400円+税