東京・立川市の防衛庁宿舎で自衛隊イラク派遣反対のビラを配布したとして、市民団体のメンバー3人が住居侵入罪に問われた事件で、16日、東京地裁八王子支部(長谷川憲一裁判長)は、無罪の判決を下しました。
判決は、自衛隊官舎の敷地は居室と一体で「住居」に該当し、郵便や宅配便の配達員、電気やガスの検針者など以外の者が、無断で敷地内に立ち入るのは「侵入」に該当するとしたものの、被告らが敷地内に立ち入った「動機は正当なもの」であり、「その態様も相当性を逸脱していない」、「生じた居住者や管理者の法益の侵害も極めて軽微なものにすぎない」と指摘しました。
注目すべきは、イラク派遣反対のビラの配布は「憲法21条1項の保障する政治的表現活動の一つであり、民主主義社会の根幹を成すもの」であるとして、「商業的宣伝ビラの投函」よりも優先して尊重されなければならないと指摘したこと。その立場から、宣伝ビラの配布を放置しながら、被告らのビラ配布について、事前の警告や抗議なしに「いきなり検挙」したのは疑問だとして、刑事罰にあたるような違法性はないと認定しました。
一般に外部の者が立ち入ることができるポストなどへのビラ配布は、表現の自由として正当なものだとして認めたのは、まったく妥当なものであり、当然の判決だと思います。
ところで、今日の東京新聞「こちら特報部」では、裁判の過程で、今回の事件で自衛退官者の管理人が提出したとされる被害届は、実は署名だけすればよい状態で警察があらかじめ準備していたものだったことが明らかになったそうです。その点でも、実際の被害などもともとは存在しなかった、「公安主導」の異常な捜査・立件だったといえます。
<イラク派遣反対ビラ>3被告に無罪判決 地裁八王子支部(毎日新聞)
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