東京・国立市のマンション訴訟で、最高裁が判決。20メートル以上部分の撤去を求めていた住民側の訴えは退けられましたが、いわゆる景観利益については法的保護に値するとの初めての判断を示しました。
月別アーカイブ: 2006年3月
日歯連1億円ヤミ献金事件で地裁判決
日本歯科医師連盟の1億円ヤミ献金事件で、東京地裁は、政治資金規正法違反(不記載)に問われた村岡元官房長官に無罪判決を下しました。
もちろん、これは1億円のヤミ献金がなかったということではありません。政治資金収支報告書に記載しないという指示を、村岡元官房長官が出したという検察の主張が認められなかったというだけです。
判決は、2001年7月に都内の料亭で日歯連側から1億円の小切手が提供されたこと、その席に、橋本龍太郎元首相、青木幹雄・参議院会長、野中広務・元幹事長らが同席していたことなどを認定。「1億円は橋本元首相個人に対する献金だった可能性があり、01年7月に小切手を受け取った当初から、不記載は、既定の方針だった可能性がある」とも言及しています。
企業の余剰資金87兆円
日銀の資金循環統計による試算で、民間企業(金融を除く)の余剰資金が87兆3000億円になっていることが明らかに。
他方で、雇用者所得や家計の現金・預金は減少。かつては「大企業がもうかれば、やがて中小企業や家計も潤う」と言われましたが、今は、大企業がもうかっても、家計に「潤い」は回ってこなくなってしまっているのです。
高校教科書検定にかんする記事
29日、文部科学省が2007年度から使用される高校教科書の検定結果を発表。相変わらず、政府の立場を「書かせる」検定がおこなわれています。
教科書検定、文部省が難色 靖国訴訟の記述巡り(朝日新聞)
高校教科書検定:「日本の領土」明確化 首相参拝も修正(毎日新聞)
高校教科書検定:麻生外相の発言を削除(毎日新聞)
高校教科書検定:父子・母子家庭に意見相次ぐ(毎日新聞)
「日本の竹島、韓国占拠」 高校教科書検定(産経新聞)
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「つくる会」の奇々怪々(続々々々々)
会長・事務局長の「解任」騒動でゴタゴタの続く「新しい歴史教科書をつくる会」ですが、28日に理事会を開き、解任された八木秀次前会長を副会長に選出。「会長補佐」なる肩書きで超法規的復権を遂げていた藤岡信勝前副会長は、「会長補佐」を解かれ、ふたたび「失職」しました。
どうやら、「日本会議」筋による巻き返しが功を奏したようで、夏には、八木会長体制に復帰。宮崎正治事務局長も復職するらしい。何にしても、面妖な組織です。
久しぶりの星空
この間から出張で伊豆の山の中に来ています。
ばたばたと毎日忙しく、ちょっとお疲れモードですが、夜中に外へ出たら、東京ではお目にかかれないような満天の星。思わず見上げてしまいました。
やっぱり星空はいいですねえ〜 (*^_^*)
今年の新入社員は「ブログ型」
社会経済生産性本部が、今年の新入社員を表わすキーワードは「ブログ型」と発表。
「ブログ型」と命名した理由は、「表面上は従順だがさまざまな思いを秘め、時にインターネット上の日記を通じ大胆な自己主張をする」ということなのですが、う〜む、ブログってこんなイメージなんですかねぇ…。
ちなみに、このブログを書いているのはおっさんです。(^_^;)
日中関係、国交正常化の原点とはなにか
小泉首相が、靖国参拝にたいする中・韓の抗議にたいし、「理解できない」として厳しく批判。
首相は、その理由として「戦没者に哀悼の念をささげるため」と相変わらず主張しているが、これは、靖国神社は、戦没者の追悼をおこなっているのではなく、戦死した「英霊」の武勲を「顕彰」しているという事実をごまかすもの。「英霊」というのはたんなる戦争犠牲者のことではありません。また、「顕彰」という以上、そこには「あの戦争は正しかった」という考えが前提にされています。だからこそ、靖国神社の遊就館は、あの戦争を「正義の戦争」「アジア解放の戦争」だと描いているのです。A級戦犯を合祀したのも、そういう立場からのものです。A級戦犯の合祀も、もちろん問題ですが、A級戦犯の合祀だけが問題なのではなく、その根底にある「戦争正当化」の戦争観、歴史観こそが問題なのです。
米軍グアム移転経費の負担、78%が「納得できない」
沖縄の米海兵隊のグアム移転経費の75%の負担を求められている問題で、朝日新聞の世論調査では、78%が「納得できない」と回答。また、岩国などへの移転についても、「地元の同意を前提とすべき」との回答が63%にのぼりました。
今週の「九条の会」(3月26日まで)
各地の「九条の会」の動きを、インターネットを流れるニュースからピックアップして紹介しています。
いまの日本経済は「全体が底上げしている」と言えるのか?
日本経団連の奥田会長が、「格差社会」について、「全体が底上げしていれば、格差が拡大しても問題ない」と発言。
いまの日本、「全体が底上げしていれば」などと言えるのでしょうか? 「誤った印象論で構造改革を中断すべきない」と言う奥田会長の議論の前提の方が、そもそも「誤った印象論」なのでは?
教科書採択の特殊指定廃止問題
教科書採択について、公取委が特殊指定廃止の方向を打ち出した問題について、関連記事をまとめてみました。
教科書採択について、通常の範囲内で接待を認めるなどということになれば、販売合戦が泥沼化し、混乱を助長するだけ。とくに、最近は、「つくる会」の歴史教科書採択をめぐって、学校現場の教員の意見を周到に排除して、数名の教育委員会だけで採択を決定する傾向が強まっています。そこに、特殊指定廃止で教科書出版社の売り込みが「自由化」されたら、文字どおり「密室採択」になりかねません。
教科書採択は、本来は、実際に教科書を使って教育する先生方の意見を中心にして学校単位で自主的に決定するべきだと僕は思います。
特殊指定廃止に反対意見、教科書協会提出へ(読売新聞 3/24)
特殊指定で解決しない 教科書の廃止方針で公取委(共同通信 3/22)
教科書売り込みの規制緩和 公取委、特殊指定廃止へ(朝日新聞3/16)
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所得格差の拡大、87%が実感
「東京新聞」19日付の世論調査によると、所得格差が「広がっている」「どちらかといえば広がっている」と感じる人が合計で87%を占めていることが明らかになりました。
表1 所得格差は広がっているか
広がっている | 43.4% |
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どちらかといえば広がっている | 43.6% |
どちらかといえば広がっていない | 6.2% |
広がっていない | 2.0% |
わからない・無回答 | 4.8% |
表2 広がっていると思う理由
アルバイトやパートで働く人が増えている | 42.7% |
---|---|
企業規模や業種での賃金の差が広がっている | 31.5% |
経済社会の仕組みが金持ちに有利になってきている | 30.5% |
注)「広がっている」「どちらかといえば広がっている」と回答した人への質問。2つまで回答、上位3つ。
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読んでいます 中公版・日本の歴史『開国と攘夷』
先日の歴史教科書シンポジウムの討論のときに、琉球大学教授の高嶋伸欣さんが、日本の対アジア観という大事な問題に関連して、小西四郎著『開国と攘夷』(中央公論社版日本の歴史<19>、親本は1966年刊)を紹介されていました。ちょうど中公文庫で改版新刊が出たとろだったので、早速読み始めました。
高嶋氏が紹介していたのは、幕末に、日本がアメリカやイギリス、フランスなどに開国をせまられたとき、列強の植民地にならずにすんだのはなぜかという問題。この問題は、しばしばインドや中国が「遅れていた」のにたいし、日本は「進んでいた」から植民地化の危機を乗り越え、アジアで唯一独立をたもち、「近代化」にも成功した、というふうに論じられるのですが、高嶋氏は、そういう独りよがりな見方でよいのか、そういうところこそ、アジアが日本の歴史認識の問題としていちばん注目するところだというのです。
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読み終えました。『マルクスの使いみち』
稲葉振一郎・松尾匡・吉原直毅『マルクスの使いみち』(太田出版)を、とりあえず読み終わりました。
いまでもマルクスは有効だと思っている僕の目から見ると、松尾匡>吉原直毅>稲葉振一郎 の順で、言われていることに納得。第2章で、搾取理論を捨てたとされるローマーにたいし、「搾取概念にこだわっていく」とする松尾氏が、置塩先生の「マルクスの基本定理」に依拠しながら次のように指摘されているのに注目したいと思います。
マルクスの『経済学批判要綱』(1857?58年)でみてとれる『資本論』体系の根本的なストーリーは、資本主義というのは相対的剰余価値生産を推進するのだと。相対的剰余価値生産とは、人々が生活物資を作るための直接間接の労働生産性が上昇していって、人々の生活を再生産するためにどうしてもしなければならない労働が減少することですが、マルクスはこうして自由時間がつくられるのだといっています。人間が個性を開花させ、その能力を全面的に発揮して、本当に人間らしく生きることができるのは、この自由時間のなかにおいてだというわけです。マルクスのなかには、この自由時間を最大化することが人類の目的だというような志向があり、これは確かに、投下労働価値の森嶋流の定式化である労働最小化とぴったり合致します。マルクスにいわせれば、この、本来だったら自由時間になったはずの時間が、資本主義のもとでは他人のために働かされる時間になる。これが搾取だというロジックになっています。どこまでも自由を希求するのがマルクスの基本的価値観で、僕もそれを引き継いで先ほどから述べている搾取論解釈をとっているのです。(本書、100ページ)
現実の搾取を、そのたびに「本来の自由時間」と比較する必要はないと思いますが、マルクスの搾取論がそういう意義をもっていることは、松尾氏の指摘するとおりだと思います。
ついに匙を投げたブッシュ大統領
ブッシュ米大統領が記者会見で、イラク駐留米軍の完全撤退について「将来の(米国)大統領が決めること」と発言。
要するに、みずからの目論見が完全に破綻したことを認めざるをえなくなったということです。そして、イラク問題の解決を完全に投げ出してしまったということを意味します。あまりに無責任、ラムズフェルド交代などですむ話ではありません。まず大統領が辞任すべきではないでしょうか?
桜咲く
東京でソメイヨシノが開花。ということで、桜の開花予想は、早めの予想を出していた気象庁に軍配。
まだまだ続くWinnyによる情報流出
Winnyに感染するウイルスによるデータ流出事件が止まりません。国会議員の後援会リストの流出はともかく、その他は、全部、個人パソコンにデータを持ち込んだために起きた事件。問題はWinnyではなく、情報管理の原則を実際にやれるかどうか、というところにありそうです。
稲葉振一郎ほか『マルクスの使いみち』
先日、コンサートの帰りに本屋で見つけたのが、稲葉振一郎・松尾匡・吉原直毅『マルクスの使いみち』(太田出版、本体1800円)。「人文系ヘタレ中流インテリのためのマルクス再入門」というコピーが気になって、ついつい買ってしまいました。(^_^;)
「人文系ヘタレ中流インテリ」というのは、「マルクス主義の資本主義批判に何らかの意義、正しさのあることを直観しながら、他方において知的体系としてのマルクス主義の正統性喪失に途方にくれている人々」(同書、18ページ)のこと。稲葉振一郎氏の命名だけれども、半分は自分たちのことを自嘲気味に?いっているのだろうと思います。
要するに、こういうヘタレ中流インテリのために、「主流派経済学〔=新古典派のこと――引用者〕の道具立てで、かつてのマルクス経済学が追究していたテーマを新たに定式化し直し、きちんと論じよう」というのが本書の立場です。その立場から、稲葉振一郎氏を中心にして、数理マルクス派の松尾匡氏や吉原直毅氏とが対談をしながら、マルクス経済学の再解釈を論じています。
東京フィル第719回定期演奏会 シューベルト交響曲第4番、チャイコフスキー交響曲第6番他
3・19集会のあと、銀座パレードを我慢してぬけだしたのは、久しぶりの東京フィルハーモニーのコンサートにいくためでした。
プログラムは、以下の通り。
- シューベルト:交響曲第4番 ハ短調 D.417 “悲劇的”
- ホフマイスター:ヴィオラ協奏曲 ニ長調
- — 休憩 —
- チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74 “悲愴”
指揮は、ヴィオラ奏者でもあるユーリー・バシュメット。1曲目が「悲劇的」で3曲目が「悲愴」と、ちょいと暗めのプログラムですが、2曲目では、指揮者のバシュメット自身がヴィオラ・ソロをするという、いわゆる“弾き振り”を楽しませていただきました。
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