ひょんなきっかけで、昔買ったままになっていた東北大の村岡俊三氏の『資本輸出入と国際金融』(白桃書房、1998年)を再読。とりあえず、補論を残して読み終わりました。
対外直接投資は、なぜおこなわれるのか。なぜ各国の銀行資本は対外取引を展開するのか。外国為替取引とはいったい何か、などなど、マルクス『資本論』の見地に立ちながら、資本輸出と国際金融とを一貫させてとらえようとするもの。銀行信用や外国為替の理解の仕方は、通説とは異なるが、そこが村岡氏の理論的な突きどころなのだろう。
しかし、マルクス「後半体系」のとらえ方や、『資本論』第3部第5篇「信用論」の読み方など、昨今の草稿研究を踏まえた研究に比べると、かなり大雑把。とくにプランと現行『資本論』との関係のとらえ方などは、いまとなっては、大幅に見直しが必要だと思われるが、そうした部分は、村岡氏が考察を進めるための手がかりでしかないので、村岡氏の議論にとって致命的な訳ではない。
ということで、引き続き、村岡氏の最初の著作『マルクス世界市場論』(新評論、1976年)を読んでみることに。